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別:元クラスで一番かわいかった女の子 (婚約破棄された女の子)

別視点です。

 元クラスで1番かわいかった女の子。

 お嬢様系女子、華玲風花。

 茶髪で縦ロールの髪型が特徴的な女の子。

 見た目通り、実家はいくつかの会社を経営する名家であり、本物のお嬢様。


 だがしかし・・・

 今では1位の座を朽木さんに奪われ。

 その次には朽木さんの親友。

 美波さんに2位の座まで奪われて3位に転落。

 華麗はクラスで3番目にかわいい女の子になっていた。 


 ここ数週間でありえない程奇麗になった2人の女の子。

 朽木さんと美波さん。

 

 その反面。

 華玲の見た目は変わっていなかった。

 化粧や髪型を頑張ってみたりもしたが、ほとんど効果はなかった。

 縦ロールが1巻き増えたところで気づく者は少ない。


 2人の変化。

 漆の様な黒髪、粉雪の様な美しい柔肌。

 朽木さんはそれに加え、豊満なバストとピカピカの爪。

 その変化に比べれば。

 華玲の髪型や化粧など、ささいな変化でしかない。


 今までは女の子にも、男の子にもちやほやされていた華玲。

 何度も男の子から告白を受けていたが。

 ぴたりとやんだ。


 自分より奇麗な女の子が2人もいるのだ。

 3番目の女の子に好意をよせる男の子は少ない。

 わざわざ劣った女の子を気にしないだろう。

 彼らの選別眼は敏感だった。

 それに最近は、女の子の華玲に対する対応も軽くなっていた。

 今までは華玲に憧れていた子も、今では2人に鞍替えした。 


 順位が落ちた結果が露骨に出たのだ。

 華玲が醜くなったわけではない。

 ただ・・・他の子が奇麗になっただけで。

 相対的に彼女の魅力は落ちたのだった。



 そしてなんと・・・

 恐れていたことが起きてしまった。


 『婚約を破棄したい』


 婚約者から告げられたのだ。

 華玲はショックを受けたが、それを表に出すことはしなかった。

 

 表向きの婚約破棄の理由は、「華麗は自分にはもったいない」ということ。

 断る際の常套句。

 真の理由は何か分からないが・・・

 私の魅力が相対的に落ちていることに関係していると思った。

 女の感だ。

 



 婚約者を含め、周りの生徒の自分に対する対応が変わる中。 

 華玲は疑っていた。

 朽木さんに美波さん。

 2人の変化はありえないと。

 とうてい自然なことではないと。


 他の多くの女の子も同様の疑念を抱いていた。

 いくらなんでも変わりすぎている。

 おかしいと。


 男の子はあまり疑念に思っていないみたい。

 成長期だと思っているようだけど。

 大半の女の子は疑っていた。

 自分自身の経験から、ありえないと感づいていたんだと思う。

 あんなに変わる分けない。


 よく女の子同士の会話の中では、この疑念が囁かれている。

 今一番の感心ごと。 


 でも・・・

 化粧で奇麗になったわけでないのは見ただけで分かる。

 美容整形でないのも。

 整形特有の、歪みのようなところは見当たらない。

 全く自然にみえるので、疑念は疑念でおわる。

 

 その結果。

 偶々奇跡が起こったと皆が思いはじめた。

 「いつか私も朽木さん達の様に奇麗になるかも?」っと、希望を抱く子まで出始めた。

 熱心に朽木さんと美波さんに食べているものや、寝る時間など。

 生活習慣を聞きまわって実践している子もいる。

 

 しかし・・・

 おかしい。

 そんなことでは変わらないと思う。

 生活習慣を改善したところで・・・

 こんな短期間にあれ程奇麗になるなんておかしい。

 あの2人には何か秘密があるに決まっている。

 絶対に何かやっているはず。

 華玲の心の中では疑念がうずまいていた。


 

 朽木さんと美波さん。

 2人の共通点といえば・・・

 朽木さんの彼氏。 

 結城君と仲がよいことぐらい。

 それぐらいしかない・・・

 でも・・・

 男の子と仲がいいぐらいでは、奇麗にならないだろう。


 分からない。

 分からない。

 どうして2人が奇麗になったのか。

 全然分からない。


 だけど・・・

 どうにかして彼女達が奇麗になった秘密を突き止め。

 私自身に適応し。

 また1番に返り咲きたいと華玲は願ったのだった。

 

 元々私が1位だったのだから。 

 それが当然だと思っていた。


 絶対に、朽木さん達の秘密を突き止めてやると。

華玲は誓ったのだった。


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