ラブレター
朝。
クルミと学校に向っていると、妙に視線を感じるようになった。
なんだろう?
クルミに目を留める生徒や通行人が多いからかもしれないな。
最近こういう事が多い。
ほんとよくある。
「どうしたの?隼人」
「いやー、なんかねー、視線を感じて」
「あっ、あたしもー。そうだよね。最近なんかよく見られている気がするんだよねー。不思議。」
「だな。まぁ、気にしなくて良いか」
「だねー。多分気のせいだし」
俺たちは校舎に入り。
下駄箱に。
クルミが自分の下駄箱を開けると。
さっー。
中から手紙が落ちる。
彼女が拾って見ると。
「またかー」っと呟いている。
「クルミー、なんだそれ?」
「多分、ラブレター。最近多いんだぁ。困っちゃう」
「えっ、ラブレターって、俺いるじゃん!」
うんうん。
ほんと。
俺がクルミの彼氏だよね。
俺の一方的な勘違いじゃないよね。
「うん・・・でもほらっ、付き合ってること知らない人もいると思うから」
「あぁ、なるほどー」
全員が俺たちの関係を知っているわけじゃないしな。
最近クルミの人気が上がっているので。
これまでの彼女を知らない人も多ければそうなるか。
クルミは手紙を鞄にしまうと。
俺達は教室に向った。
頭の片隅には、ラブレターのことが残った。
◇
授業合間の休憩時間。
親友のタカシが何か熱心にスマホで見ていた。
「タカシ、何見てるんだ?エロサイトか?」
「うわぁ、後ろからこそっとくるな。
って、違うわっー。ほらっ、学年で一番可愛い子は誰かと思って」
タカシのスマホには・・・
数人の女子生徒の写真。
「盗撮か?これ」
「違うわー、ちゃんと本人に許可とってるから。バッチリ合法よ」
「ほう」
まぁ、タカシは女子受けが良いからな。
多分本当だろう。
アングルもちゃんと正面だし、決め顔ピースしてる写真まである。
合法的なものほんだ。
「でさー、知ってるかー隼人?」
「何をだ?」
「朽木さん、今学年で一番可愛いって言われてるんだよ」
「へぇー、そうなのか?」
「そうそう、マジ情報。ほらっ、前は胸がまな板だったから相手にもされなかったけど。
最近奇麗になったし、胸も大きくなったから」
「ほーう。あのクルミがねー」
ずっと一緒にいるためだろうか。
あまり変化に気づきにくかった。
皆が可愛い可愛いといってることは聞くし。
彼女は学年で一番かわいいと聞いたこともあるが・・・・
なんだかピンとこない。
かわいいとは思うけど・・・昔からかわいかったし。
うーん。
なんだろうなー。
不思議。
皆と俺の、クルミに対する評価が違うからだろう。
「隼人、いいかー、よく聞くんだな」
「?」
「気をつけるこった。彼女が美人になると、面倒なことがあるかもしれないぜ?」
「ほーう、例えばどんな?」
「そりゃー、イケメンが朽木さんを狙ったり、よからぬ男が近づいてきたり。色々」
「そうかもな。まぁ、一応注意しとく」
「隼人、俺に任せろ。俺がしっかりと見張っといてやる」
妙な自身を見せるタカシ。
「へへへっ」と怪しく笑っている。
「お好きにどうぞ」
と冷静に言ったものの。
俺は僅かばかし懸念を抱いたのだった。
クルミに対する周りの変化に、僅かに動揺したのだ。
ザザーッと心の中でさざ波がうった。
俺とクルミの関係が変化しているかもしれないと。
ほんのちょっと思ったのだ。
未来に対して、いいようのない不安を感じだ。
今日はもう一話投稿です。
メモ/日間総合5位 日間ジャンル別現実世界〔恋愛〕1位