男は斯くして『成った』のか
皆様おはぐるみでございますわよ!
現在、IRIAMで活動しております、
とある事情で参加した実験で物に憑依する存在になった元人間
被検体NO.09 - ステフドールでございますわ~!
本作品は『被検体NO.09 - ステフドール』の過去の『とある事情で参加した実験』のお話。
そのプロローグ。
ぜひ、お楽しみくださいませ。
奇病というものを知っているだろうか?
現実にも奇病と呼ばれるものもあるため、ここでは漫画、小説、アニメ、ゲーム――あらゆる創作物に登場する、架空の現実に存在しない病気であると明言しておこう。
そう現存しない病である。しかしそれは、人々の知らない場所で存在している――ただ、知られていないだけである。
10月29日生まれ。現在30歳手前の一般人の男。『煙草は命の源』と口にする、いわゆるヘビースモーカーの男。この男はある理由で病院に診察に来ていた。別にタバコの吸いすぎで、というわけではない。現実では考えられない現象が、男の身体に起きていた。
いくつもの病院に行っても、原因も何もわからずたらい回しにされた末、たどり着いた小さな病院で、男は最後の診察を受けていた。ここでダメならもう諦めようと。
「その現象について一人だけ心当たりがある。その人物を紹介しても良い。ただし――」
そこで医者に言われたのはそんな言葉。『ぜひ!』と希望を抱いた男は、その後に続けられた言葉に口を閉じる。
「治療の保証はできないし、”被検体”としてその現象の研究に協力してもらうことになる」
医者の口から続けて紡がれた言葉に、男の思考は停止する。それはそうだろう。暗に『君には研究のためのモルモットになってもらう』と言われているのと同義なのだから。
しかし医者は、そんな男の様子を知ってか知らずか、話を続けていた。
「君のその現象は所謂”奇病”と呼ばれるもの――その中でも”崩砂症”と呼ばれるものだ」
身体が徐々に砂と化し崩壊していき、最後にはゆっくりと死に至る病。それが”崩砂症”だと医者は言う。医者から説明された症状は確かに自分の症状と同じなのは分かる。しかしやはり、かつて調べたことのある奇病に関する知識や情報を頭中から引っ張り出しても、”崩砂症”という言葉も、自分の身に来ている症状も、一切見つからない。
「聞いたことないだろう?それはそうさ。君の罹った奇病、それは本来なら現実には存在しないとされている類の――所謂架空の存在と言われている部類の”奇病”なのだから」
医者からの言葉に男は『コイツ頭イカれてんのか?』と思いたかったが、それはすぐに思考の隅に落ちていく。自身に起こった現象をそれ以外の言葉で説明できる情報も知識も何もなかったのだから。
「”被検体”と言っても、生きたまま解剖するとかはないよ。採血とか、テストとか、治療薬の治験を試してもらうとか、くらいだ――さて、どうする?」
これ以上説明することはない。と言わんばかりの医者が男にそう問いかけてくる。
このまま緩やかに死を待つのか、それともモルモットとなる道をとるか、男のとる選択は――
「はぁ...分かった。医療の礎に――なんて考えはねぇ。家族も恋人もいねぇしやりたいこともない。なってやるよ”被検体”に」
医者の言葉を簡単に信用したわけではない。
男の口からも言われた通り、医療の礎になんて考えは全くない。
彼のその選択をあえて言葉にするのなら『やけくそ』その一言に尽きる。
「飯と寝床くらいは保証されるんだろ――もう疲れた」
「そうか、では彼女のもとへと行こう」
医者の言葉に対する男の『え、今から?』という言葉は無視され、車に乗せられ、あれよあれよと医者の言う”彼女”のもとへと向かうこととなった。
これは奇病に罹った男が、施設で過ごす話。
出会い。別れ。覚悟。役目。
それらを経て、男が『被検体NO.09 - ステフドール』となるまでの話。
皆様おはぐるみでございますわよ!
被検体NO.09 - ステフドールでございますわ~!
本作品は元人間だったお人形さんが『被検体NO.09 - ステフドール』となるまでの過去のお話。
今回はそのプロローグでございます。
今後の彼の、出会い。別れ。覚悟。役目。
投稿頻度は不定期となりますが、それらを楽しみにしてもらえたら嬉しいですわ~!
ではまた次回、また遊ぼうね~!




