第1章9 注意すべき相手とは
アルタクルエ国際戦技大会。前回大会順位。
ー 1位:フェル・クアルド代表
ー 2位:オシトリア泉国代表
ー 3位:アルタクルエ神聖公国代表
ー 4位:パルラス島国代表
ー 5位:クルディ代表
ー 6位:ヌーヴルガン代表
ー 7位:ドマスーク代表
ー 8位:ルクシャード皇国代表
ー 9位:レンテグラーダ代表
ー10位:グリス民国代表
ー11位:ネフタリア後国代表
ー12位:ネオデラーダ代表(今大会不参加)
ー13位:クルダイン統国代表(今大会不参加)
ー14位:ヘネスイア王国代表
ー15位:エルトリカ共和国代表
ー16位:イスルバ代表
ー17位:マージラ諸島連合代表
ー18位:フレンシア代表
「―――と、いう具合だ。今大会においては2国が完全不参加だと確定した故、今大会に参加するは全16か国となる」
ルクシャード皇国代表チーム団が全員そろったこの日、ガントによるミーティングが行われていた。
ミーティングとはいっても事前知識の拡充と確認ごとが中心。とはいえ、ミーティングを進行するガントの表情は真剣そのものだった。
「あー、話の途中で悪いけど……そのなんだ、その不参加の国ってのはなんで今回は出てこないんだ? 前の大会には出てたんだろ??」
リッドが片手を軽くあげて疑問を呈する。
かなり長い楕円形テーブルの各席には出場選手全員と支援団から自称支援団長のエステランタ、そして面倒だからとミーティングに出るのを渋っていた補欠のシオウが、アルタクルエ内で確保した新書をエサに、半強制で席につけさせられていた。
「それは分からん。国によって事情は異なるは無論だが、選手を輩出することができなかったのやもしれん。……が、なぜそのような事を聞く、リッド=ヨデック?」
ガントは疑義として呈するほどの事かと言いたげにリッドに問い返した。
「いやー、まぁちょっとなんていうか……不参加国が出るってことはさ、大会はトーナメント形式なわけだし。ほら、シード枠とかもなくなる事になるじゃんか、ちょうど16チームになったから、影響結構あると思うしさ?」
言われてガントは、フムとアゴに手を当てた。
直後、ホワイトボードへと簡易的に仮のトーナメント表を書きだす。
「―――確かにな。前大会であれば2回戦に9チームが上がり、そこで1チームがシード枠を獲得できるゆえそれを加味しての、シード獲得権利を持った2チームが1回戦で自動的に対戦を組まれる事となっていた。しかし今大会ではシード枠がないゆえ、抽選および各チームの戦略にも影響が生じる……か、なかなか良い着眼点だな、リッド=ヨデック」
ガントのいう通り前大会では、前々大会の1位チームと2位チームがシード権を所持し、2回戦のシード枠―――つまり1回戦を勝てば2回戦は不戦で自動的に3回戦へと上がれるという特権を保持できる仕組みだった。
しかし今大会では16チームと常に2で割り切れる参加国数なので、途中でシード枠が発生しない。当然、前大会とは1回戦の組み合わせの段階から異なってくるので、各国代表チームはその辺りも込みで戦略を練ってくるだろう。
「そっかりー、シード枠前提なら少なくとも2つチームん相手にするはナシナシだもんなー、1回戦わっか」
「なるほど、つまり本来なら前の大会の優勝国と準優勝国の代表チームとは1回戦で当たることはなかった……」
「だけど今回は前の大会で決勝戦に進んだ強豪も、1回戦から当たる可能性があるってことだねー、なるほどねー」
ジクーデン、モーロッソ、ハルがリレーでつなぐように言葉をつなぐ。
なるほどと場にいる全員が理解を深める中、リッドはそこまで深くは考えてなかったといった様子で、苦笑いを浮かべていた。
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ミーティングが始まってより1時間。話の内容はリッドの疑問から議論は1回戦で当たる相手へと発展していた。
「―――さしあたって厄介な相手は前大会の優勝国フェル・クアルドではない」
「へー、意外ですねー。なら警戒する相手はもっと他におるゆーことですん?」
ガントの意外な物言いに、スィルカが驚いたように反応する。
通常、前大会の優勝国を警戒するのは当然のことだ。しかしガントはそこまでフェル・クアルドの代表チームを評価してはいなかった。
「かのチームはまだ順当に強い、というのが妥当なところだからだ。フェル・クアルド自体、荒事に偏っている国というわけでもない……無論、今年の代表チームがどのような選手か次第ゆえ、一概に決めつける事はできんがな」
「ではガント。あなたほどの人が前大会優勝国を差し置いて警戒、または注目しているチームとは?」
ジッパムが丁寧に問いかけると、ガントは即座にホワイトボードにその国名を書き出していった。
下から順に、バルラス島国、ドマスーク、クルディ、そして一番上にはオシトリア泉国。
「オシトリア……前大会の準優勝国か」
リッドは納得と不納得の入り混じるような呟きを吐いた。
前大会の成績を見れば妥当。なれど優勝国を差し置いて名を出すほどだろうかと思わずにいられなかった。そしてリッドだけではなく、場にいる半数以上の者も同じ疑問を抱いていた。
それを見透かすように、ガントは静かに一言だけ述べた。
「重要なのは大会成績ではない。これらの国々はそれぞれ事情こそは異なっているものの、共通して戦技に対し、常々一級品の意識を持っているのだ、国をあげてな」




