表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/137

ぐらんぶるーに潜りたくて①

 福井県立大学には体育実技Ⅲを取ると、夏にはスキューバダイビング、冬にはまた別の種目の授業を受けることができる。中でもスキューバダイビングではOWSの資格を取ることができ、機材さえ持っていればどこでも潜ることができるようになるのだ。


 学生の中でもやはり、海洋系の学部である俺たちはこの授業を取る人も多く、先輩後輩関わらず、名簿のところも海洋系ばかり。先輩後輩の交流会かと思うほどだ。


「なっが…」


事前課題としてやってこいって言われたデジタル教材。その右下の文字を見て恐怖を感じた。分母がなぜか「100」と書いているのだ。しかも、この中にはテストが含まれているから、相当地獄が待っているに違いない。それをあと2日でやるなんて…やば。


「どしたん?」


この課題に関しては桜はやらないし、別に誰かの目がないとサボるとかそんな気はないので、自分の部屋にこもってやろうとしていたけど、さすがに声が大きすぎたのか、桜が心配して声をかけてきた。


「いや、ダイビングの課題の量がヤバすぎるってだけ。」


ドア越しにそう返したら、呆れたようなため息が聞こえてくる。


「あれ結構前から出てたやろ?溜め込んだ久志が悪いわ。」

「それは百百承知してる。普通にミスったわ。」

「せやな。今回は手助けせぇへんけどいい?」


本当に魅力的な提案をしてくる。正直終わる気がしないし、この後のテストも不安になってくるけど、そうとはいえ手伝ってもらうのは今回ばかりは危険だ。なぜなら、この中には命に関わることが書かれているし、実技になればそれができないと死ぬ可能性もある。


「ええよ。自分の命に関わることやし。」

「わかった。あんま遅くならんようにな。」

「おう。」


そう返事を返すけど、きっと俺は体力の限界までやるんだろう。そしてきっと遅くなって、明日「寝坊したー!」って起きるはずだ。


 学べって話だ。でも、桜は呆れながらも笑ってそんな俺を支えてくれる。これは信頼なのか、依存なのか…ええやんこれ。哲学の期末レポートのテーマ「恋とは」にしよ。


 話が逸れたが、なんやかんや世話焼きの桜は、寝坊した俺をちゃんと学校まで連れて行ってくれる。きっとそうだから、第4章くらいまでやろう。そしたら明日は2つだけだから楽になる。そうしよう。


「よし!」


頬をパンと叩いて、少し濃いめに淹れたコーヒーを飲んで、マウスを持つ。そして、イントロダクションから読み始めた。



※※※※※※※※※※※※※※


先週、お休みをいただいた理由はこの話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ