30:00③
「あづー!」
「溶ける〜!」
「じぬー!」
2限終わりの昼休み、いつものように学生会館の2階の席についた俺たちは、そんなIQ0な会話をする。まじで福井暑い。いや、むしろ蒸し暑い(どこかのヒキガエルくんの真似じゃないよ)。でも、そんな思考回路しかなくなるほど、脳が解けてしまっている。普通に死ねる。
押し寄せてくるレポートの山を乗り越えて、ようやく一息つけるようになった火曜日は、あと一コマ乗り越えたら桜と買い物だ。明日にはまた新しく課題が出るし、今週末にはダイビングの自己紹介カードの完成が待っている。ゆっくりできるのは本当に今日までだ。あー、明日からのこと考えたら憂鬱で、あと二日三日は寝ときたい。
「なんか大阪より暑ない?」
「それな。緑多いからマシかな思ってたけど、あんま関係なさそう。」
「しかも、雨多いから湿気多いし。」
今日は俺が作った、お揃いの弁当を開いて手を合わせる。献立はお好み焼きとご飯だ。まあ、このお好み焼きはちょっと前に作って冷凍していたものだけど。
このお好み焼きはしっかりとお好み焼きだ。広島焼きとかいう邪道とは全くの別物。むしろ、「広島風お好み焼き」とかいう名前をつけて、お好み焼きを汚すのはやめてくれないか?あれは全くの別物やろ?
こんなことをいつまでも言っていたら戦争が起きかねないので、一旦落ち着く。すぅーはぁー。
前に学科のメンバーにこの弁当を見せたら発狂していた(主に蒼空が)。でも、俺も桜も根っからの大阪人なので、逆にこの組み合わせじゃないと違和感がある。
「んで、今日はどこ行くん?」
「まあ、考えてるのは映画。」
「ほう。なんかおもろいのあるん?」
「いや、新しいのちゃうくて2回目見よっかなって。」
まだ公開中のアニメの映画の2回目を見ようかと提案する。ちなみに1回目は公開初日に行った。大阪なら初日に行くことなんかほぼ無理に近いけど、福井なら難なく入れた。
でも、そのときは周りにたくさんの人がいたため、少しだけ騒がしかった。だから、今度は静かなところでもう一度見たい。
「あー、そういうことね。たしかに私ももう1回見たいかも。」
その気持ちは桜も同じだったようで、とりあえず今日の行先は決定。その後のことはまた後で決めたらいいだろう。
なんて話しながら食べているうちに、もうタッパーの中は空っぽ。時間もいい時間になってきた。
「そろそろ行くか。」
「やな。導入ゼミめんどー!」
「それな、今回も座りっぱなし?」
「多分。久志も?」
「せやろな。んじゃ、今日もここ集合でええか?」
「うん。ええよー。」
席を立ち上がり、共通講義棟に向かって歩き始める。そしてアトリウムの上で別れた。




