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週に一度くらいは③

「ふーんふふーん♪ふーんふふーん♪」


見るからに機嫌が良さそうな桜。それに比べて俺は、


「疲れた…」

「普段こういうことせーへんからやろ?」

「やりたないもん。絶対。」


広々とした通路を歩きながら、肩を落とす。四限フルで入っている日よりも体力が持っていかれたような気が…


「余裕で死ねるわ。」

「私としては大満足やけどね。」

「そうやろうけど。」


俺の手に握られている袋は2つ。中には普段の俺からは想像できない、ちゃんとデザインに凝っている上下一式が。おかげでお財布は軽くなってしまったが、これも必要投資ってことで。


 桜に着せ替え人形にされること1時間。ようやく、自分でも納得いくものを選んだ。桜は俺の新しいところを見たいとか言って、なんかちょっと派手なヤツにしようとしてきたけど、その反対を押し切った形だ。でも、まぁいつもよりマシかってことで、上機嫌なのである。


 そんな訳で、時間も溶けていきもう6時前。そろそろ家に帰るか晩飯にするかしないといけない。


「晩飯どーする?」

「ん〜、家なんかあったっけ?」

「なんもなかった気する…ん〜、まぁいいか。」


冷蔵庫の中は作り置き系は色々あるけど、それ以外はあまりなかったような気がする。今日は一応デートってことになっているから、いきなり日常に戻るのも、なんか寂しい。


「なんかピザとかでも買って帰らん?そんで、なんか映画でも観ながらさ、食べようや。」

「食費やばいことならへん?」

「なるけど、まぁいいやろ。週に一度くらいは。」


そうだ。俺たちは頑張りすぎている。だから、週に一度くらいはこんな日があってもいい。


「せやな。たしかに。たまには手抜くのも大事やわ。」

「せやろ?」


そうと決まればあとは行動するだけ。エルパの中に入っているスーパーで、ジャンクで太りそうなものばかりを買っていく。


「チーズはもちろん「マシマシ!」早いなぁ。んじゃ、あと買うもんは?「ポテト!」はいよ。」


桜の口から出てくる、カロリーの塊みたいな単語たち。どうやったらそんな細さでずっといられるのか分からないくらいだ。3年間一緒に過ごしているが、その努力は見せない。おそらく部屋でやっているんやろうし、こういうのは見られたくないと思うから見ないけど。


 レジに並ぶ桜はさらに上機嫌だ。鼻歌を歌いながら、体を左右に揺らしている。そんな桜の後ろに並んでいる俺が持つカゴの中には、ピザが2枚、フライドポテトはそこそこの量、チョリソー1袋にコーラが2本だ。


「こりゃあ、俺もダイエットせなアカンな。」

「久志はええやろ?バイトがバイトやねんし。」

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