週に一度くらいは①
宿泊研修が終わっても、俺たちの日常は何ら変わることはない。むしろ忙しくなったまである。
「行動科学のレポートいつまで?」
「再来週やな。それよりもダイビングのやつ色々書かなあかん。」
「やば。忙し。」
日々訪れるレポートの締切。そして、テスト。もう頭がパンクしそうだ。桜を見ているからこそ、経済学部との差が分かっているから、本当に羨ましい。なんで、こんな格差があるんやろ?
まあ、そんな地獄のような日々を過ごしている俺も、今日は予定がある。
3限までの授業を終わらせて、学生会館で桜と待ち合わせる。お互いバイトをしているため、基本的に家でしか一緒にならないが、火曜日だけは2人とも空けるようにしている。所謂、二人の時間ってやつだ。
「ごめん、待たせた?」
入口から入ってきた桜が手を振りながらこっちに歩いてくる。
大学に通い始めてから2ヶ月、桜は少し変わった気がする。それは纏っている雰囲気だけでなく、その立ち振る舞いもだ。なんだか、落ち着いたというか、大人っぽくなったというか。それでいて取っ付きにくい訳ではなく、むしろ高校時代よりもオープンになった感じ。2年生や3年生と言われても信じてしまうほどに。服装も高校時代の私服のちょっとかっこいい系から、ふわふわとした感じになっている。それでも、俺からしたらかっこいいように見えるし、それでいて反応は可愛いからギャップで何度死にかけたことか。
「こっちの授業早よ終わっただけやから。お疲れさん。」
「いやいや、そっちと同じ内容やねんし、遊びみたいなもんやろ?」
「それは違いない。」
火曜3限はゼミ。しかも、経済と海洋合同のものだ。内容は高校で習ったようなことや、一般常識的なこと。しかもそれを聞き続けるだけなので眠くなってくる。現に今日は俺も寝てたし。
でも、そんな授業を聞いてるだけで1単位貰える(経済は2単位…チクショー!)から、出ないわけにはいかない。そして、そんな憂鬱な1時間半を過ごしたら、もう火曜の授業は終わり。こうやって時間を過ごせる。
「バスまでは?」
「20分ぐらい。あれに並びたくないやろ?」
窓の外を指さすと、バス停に並ぶ大量の人が。こんなんバスに入りきらんやろと思うけど、これがなんと全員入る…入れる。それはもうぎゅうぎゅうに。動ける隙間もないくらいに。
「嫌やね。」
桜は苦笑いを浮かべて俺の隣に座る。普段ならここで課題を取り出すが、今日はお互いにそれはしない。
そう、今日は、火曜日はデートという体の買い物だから。




