表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学年のマドンナの彼氏になったら大学生活も共に過ごすことになった  作者: 136君
figure2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

231/234

たった1日③

 映画が始まる前の予告編。その間にトイレに行ったり、軽くポップコーンを食べたりと時間を潰す。久志もその間にトイレを済ませて、映画の予告編を見始めた。


「「あっ」」


私たちが見たのは去年2人で2周したアニメの劇場版。その公開が今週末にまで迫っていた。


「俺さ、公開今月末かと思ってたわ。」

「そうなん?見に行く?」

「見に行きたい気持ちは山々なんやけどさ、これはここでやってないんよな。」

「どこやったらやってるん?」

「そっち。」


そっちというのは私が住んでいる福井市にある映画館のこと。2人でよく行っていた、エルパにある映画館だ。


「じゃあ、土曜の晩にでもこっち来て、レイトショー見て泊まったら?」

「それいいかもな。じゃあ、また決まったら連絡するわ。」

「早くしないと先見るで。」

「それは待っててーや。」


そんな会話をしていると予告編も終わったようで暗くなる。中の人全員の注目がスクリーンに集まり、静かになった。


 本編が始まる。ガヤガヤとした日常。その中で起こる事件。様々な人とのつながりや、今回出会った人たちとのつながり。そして、今回の中心となる人物。ゆるりとした日常の中にも、事件解決のためのヒントが散りばめられていて……


 隣の久志を見る。その目はスクリーンに向けられていて、同じように推理しているのだろう。久志はアニメや映画を見るとき、没入するような質だ。その世界の中に飛び込んで、登場人物たちと同じように考え、動く。アクション系のものを見たときは疲れてるし、推理系のものを見たときは糖分を求める。


(そういうとこ、ほんと可愛いなぁ)


肘掛けに体重を乗せると、手が何かに当たる感覚が。見ると久志の手だった。


(あ、集中してたのに、やっちゃったかな?)


そう思って顔を窺うと、何も気にしていないようにスクリーンに夢中だった。


(よかった。でも、ちょっと癪。)


久志の手をそっと握る。ポップコーンを食べられなくなるし、ドリンクも飲めなくなるけどいい。久志はささやかな私の抵抗を受けたらいい。


 そして映画本編はクライマックスに。今年は若干アクション要素が強かったから、推理と合わせて久志は疲れているだろう。


 本編が終わって来年の映画の予告。これに関しては私も驚いた。まさか、あれが繋がってくるとは。たぶん、来年の飲み物はコーヒーかな。


「あ」


そしてやっと久志が気付く。


「真ん中ぐらいからずっと握ってたで。」

「そうなんや。気づかんかったわ。」


手を放して、荷物を持って、最後に忘れ物がないかを確認。時間はまだ夕方だけど、ここから帰るとなるとそこそこ時間がかかるわけで。


「送ってくわ。」

「別にええのに。」

「いや、俺がそうしたいだけだから。」


久志はそっぽを向く。ああ、これは、


「そんなに私と一緒にいたいんや。」

「そうやで。悪いか?」


恥ずかしそうに言う久志に笑いかける。こういうの言うの珍しいから。


「んーん、嬉しい。」


たった1日。1か月ぶりのこの数時間は私にとってもかけがえのない時間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ