いざ温泉へ
私が村に戻るとやっぱりと言うか……。私の言う事を聞いてくれた男の人が周りから責められていた。
「あんた達うるさいわよ」
そう言うと男たちがこちらを見てくる。
「ル、ルイ様!」
「私が逃げたとでも思った?」
「それは?」
「ああ。あんた達が言う所の魔物の首」
「た、倒したのか?」
「ええ。ついでにあの湖に結界も張ったから安心しなさい」
ま、私がドヤって言う事ではないけど。
「や、やはり女神様……」
「ルイ様に祝杯を!!」
「ところでルイ様」
「なに?」
「ルイ様はご結婚は?」
凄く嫌な予感が。
「し、してないけど」
「おい」
「はっ」
いや、だからこのジジイキャラ守れや!
あっという間に男たちに囲まれ
「さて、ルイ様。この中から好きな男を選んで頂いて、是非結婚を!そしてこの村で一生を!」
「いや、しねえし!男だから!……っつ!」
電流が身体を駆け巡る。マジでイナンナが居なくても発動するのね。
「ルイ様?」
「ごめんなさい。私には魔王討伐の宿命があるから」
ホント気が休まないわ。
「ま、魔王を倒されるのですか!?」
あ、マジで居るんだ魔王。
「ええ。だから行かないと行けないんだけど……今日だけ泊めてもらえる?」
流石に色々あって疲れた。
「ええ。それはもちろん」
「ではルイ様。食事と宿を用意させて頂きます」
「ありがとう」
「後、こちらを」
「ん?服?」
「ええ。妻のですが。この村には温泉がありますのでそちらでゆっくりされて下さい」
「ありがとう」
……妻?と、言うと。
服を広げて見る。うん。そうだよね。女性用だよね。はぁ、仕方ないけどさ。
「案内は妻たちにさせますので」
そういやあの魔物に攫われないように女性たちは隠れていたんだっけ。
「そう。助かるわ」
やっとむさ苦しい男たちから解放される。ゆっくりしよう。そう思った私が馬鹿でした。