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【完結】エドラックは通りかかった「だけ」なのに!?【300万PV感謝!】  作者: ひろしたよだか


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82)異変

太陽が昇りきりシーラ達やクルーも目覚め、朝食の席を囲む。


その席でポロンポが「位置関係から考えて、やはりロック島には4日目の昼頃の到着となりそうですね」と言った。


そこでアメリアから


「せっかくなので、何かお手伝いできませんか? お掃除とかでもやりますので」


との提案があり、ポロンポは遠慮したものの、他のエル・ポーロの面々も賛成したため諸々のお手伝いをする事になった。


クロトとシーラは膂力を活かし、帆を操る手伝いと、甲板の掃除。


ジュリアはコック長のクルーと、皿洗いと食材の仕込み。手際の良さにコック長も驚いていたそう。


アメリアは掃除でもなんでもやる気満々だったが、流石にポロンポとしては一国の王女に掃除を任せる気にはならなかったのだろう、操舵室へ連れてゆき、操舵の補助をしてもらう事に。


本当かどうかはわからないが「もし、エル・ポーロの方々が船を操縦する事になったら、一人くらい操舵を覚えておいた方が良い」という理由だ。


一夜明けてようやく復調したが本調子とはいえないアーヴァントは、ピエールとともに偵察任務についた。


フレアはラック君とともに船内警備である。


そうして順調に航海を続け、4日の昼前、最初に違和感に気づいたのは偵察のピエールだった。


「帆! 下げろ!」


その声に、クロトとシーラも手伝い慌てて帆を下ろす。


「どうした!」ポロンポの声に「一旦旋回、ここに留まってください!」と叫ぶピエール。


急遽、錨を下ろし、全員が食堂に集まった。


「理由を聞こうか。ピエール」ポロンポが言う。


「なんか、、ロックの港が変です。停留船が少なすぎると言うか、、、とにかくなんか変です」


「ちょっと待っていろ」と言って、ポロンポと副船長のペリントが連れ立って様子を見に立ち上がる。


少しして戻ってくると、座ってから深くため息をつくポロンポ。


「ピエールの言う通り、、、何かおかしい。なんと言うか、雰囲気が静か過ぎる。嫌な予感がする。。」


ポロンポのつぶやきに、ペリントも同意する。


「でしょう」とはピエール。


判然としない不安が場の空気を支配する中、それを破ったのはクロトだ。


「とにかくロック上陸は諦めて撤収だろ? どこに向かえばいいんだ」


キョトンとしてポロンポが問う


「クロトさん、いいのですか? 目的地は目の前ですか、、?」


「いいも何も、俺、ばあちゃんから何度も言われたことがあるんだけど「獣人の勘」だけは疎かにするなって。獣人の一番の武器は身体能力じゃなくて「勘」だって。そんで、ポロンポ達がやばいって思ったんだろ? じゃあ逃げの一手だろ。短い付き合いだけど、俺はポロンポたちの勘、信じるよ」


「クロトさん、、、」


ポロンポがちょっと驚いた顔をした。


「クロトさんが言うなら、ボクも信じるよ」


ジュリアの言葉を聞いて、ポロンポはぎゅっと目をつぶってから決断する。


「分かりました。では船長判断として命じます。ロック島への寄港は中止。ただし、近くで停泊できる島を探し、状況を精査することとします!」


「アイサ!」ポロンポの決断にクルーが応え、急ぎ、停泊先を探すために海図が用意される。


「この辺はロック島って言う大きな港があるので、ウチの船が止められるほどの港はあまりありませんが、、」


ゴリアテ族のパックが眉間にシワを寄せる。


「港である必要はない。なるべく近い島で停泊できるところなら良い」とポロンポ。


「であれば、ここですね」パックが指し示したのは、ロックより少し南にある小さな島。


「確かここは無人島だったはずです。小さいけど浜辺があったと記憶しているので、ここからなら一番近い」


パックの言を聞き入れ、ポロンポは無人島へと進路を決めた。


パックの指定した島の浜辺はロック島に背を向けるような位置にあった。


浜辺が見え始めるとピエールが「あれ?」と声をあげた。見ると、浜辺にはすでに2隻の船が停泊している。


「我々と同じように様子を見ている船でしょうか?」


「わからん。が、いきなり戦闘とはなるまい。とにかく近づいてみよう」ポロンポの言で船を進める。


小船を出して浜辺に進むと、島の奥の森から3名の獣人が現れ「止まれ!」と声を荒らげる。


「我々はポロンポ商会と言う! 敵対の意思はない! とにかく話を聞いてほしい!」とポロンポが返すも、向こうは「他に行け!」の一点張り。


「どうします?」ピエールが確認していると、向こうが弓を構え、次の瞬間、放った。


「甘い!」シーラが即広域シールドを張り、矢を弾き返す。それを見ていきり立つ相手。剣も抜き始め、本格的な戦闘姿勢に入る。


しかし、その段階で勝負は決まっていた。相手がシーラのシールドに気を取られた瞬間、クロトが行動を開始。


船から加速ブーストで飛び上がると、先ほど弓をひいたサイ型の獣人を蹴り飛ばす。


と、砂に足を取られて体制を崩したところに残った馬型獣人が襲いかかるが、そいつにジュリアの「尖ってない方」の矢が直撃。クロトに剣が届くことなく崩れ落ちた。


残ったトラ型獣人の1人はアーヴァントのウォータープリズンによって、水の球体に包まれ踠いていた。ひときわ大きく空気を吐き出したところで術を解くと、咳き込みながら砂浜に倒れる。


「ジュリアー、アーヴァントー、ナイスだ! 助かった!」


浜辺で手を振るクロトにジュリアがブンブンと手を振り返す。唖然としているポロンポ達。


「大丈夫ですよ。クロトさんも手加減してますから。さぁ、あの方達の話を聞きましょう」


平然と小船を浜に進めるように促すアメリアを見て、冷や汗をかきながら着岸させるのだった。





シーラが先ほどウォータープリズンで倒れたトラ型獣人を起こし、簡単に拘束。


「さて、いきなり攻撃してくるとは、どう言う了見だ?」


シーラが鞘を砂に突き刺しながら問う。


「やはり貴様ら、商人などではないな! 追手だろう! 皆、追手が来た! 注意しろ!!」


そう大声で叫ぶと、呼応するように森の方から咆哮が聞こえた。


そこから、ぞろぞろと現れる20人ほどの獣人。いずれも着ているものから戦士と思われた。


「貴様らが追手か! 八つ裂きにしてくれる!」


殺気を充満させる獣人の戦士たちの中から、ベア族の戦士が吠える。


「待て待て、俺たちは弓で狙われたから無力化させてもらっただけだ。追手ってなんのことだ? まずは落ち着け」


「仲間が倒れている! 貴様らの言うことなど信用できるか!」


その勢いにピエール達クルーは「ヒィっ」と怯えた声を出し、慌てて小船へと逃げる。


その場に留まったのはエル・ポーロ以外ではポロンポ、プルドの船長副船長コンビと腕に自信があるパックだけだ。


「参ったな。一旦全員黙らせるか?」


足場は悪いが、アメリアに抱っこされて漸く浜辺に上陸したフレアもクロトの足元に来ている。


と、ちょこちょこっと走って来てクロトの裾を引っ張るジュリア。


「クロトお兄ちゃん、あのね、ウサギのおじちゃんに貰ったやつ使ってみたら?」


「ウサギのおじちゃん、、、? ああ、コムタにもらったやつか! そういえば獣人とトラブルになったら使ってみろって言ってたな」


「コムタ?」取り囲む獣人の一人が反応する。


「あーちょっと待ってな。アーヴァント、あったか?」


無限の皮袋を探っていたアーヴァントが「あった」と割符をクロトに投げてよこした。


「通用するかわからんが、大陸で会った獣人に貰ったんだ。お前らに意味わかるか?」


先ほど吠えたベア族の戦士が近づき、引ったくるように割符を奪う。


そうしてまじまじと見ると、驚きの表情になり


「これは、本当にコームターランドの、、、」


そのつぶやきに、他の獣人たちもベア族の男から割符を受け取り、口々に驚きの声をあげる。


「おい。これはどうした? 盗んだのか?」


「失敬な。もらったんだよ。シルクハットかぶったラビッターのおっさんに」


経緯を説明すると、ベア族の男が目を細める。


「その外見は、コームターランドやあやつらの特徴だ。本当にこれを貰ったのだな、、、」


急速にしぼんでゆく殺気。とりあえずぶっ飛ばしたやつ治療してやるから連れてこいと言うクロト。


多少渋っていたが、ぶっ飛ばれたやつを含めた3人をアメリアがヒールしてやると、漸く武器を下げて話を聞く雰囲気となった。


ポロンポが代表して、ロックの港の異変によって退避のためにこの島に寄港したことを説明する。


「そんで、お前らはなんなんだ?」


クロトの質問に、「説明する前に許可がいる。しばし、待て」と言って、獣人の一人が森へと消えてゆくのだった。

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