別れ
二人でベンチでぼーっと座り、桜を見ていたらふと少女が、
「お姉さんは戻りたくないの?」
「人間に」
と真剣な表情で聞いてきた。
「私は......もう100年もこの姿で、会いたい人ももういないだろうからね。
そんな気持ちは消えたよ。」
「そっか......」
「もし、100年前に戻れるとしたら?」
と少女はそんなことを聞いてきた。
100年前にもどれるとしたら......か......
そんなの当然
「戻りたい......と思う
友達と馬鹿話したり恋バナしたりしてキャーキャー言ったりしていたころに......」
「僕、実は戻せるんだ。」
心臓が止まるかと思った。
時が一瞬止まったようなそんな感覚。
「今、なんて......?」
私は驚愕した表情で聞き返していた。
「僕、旅の中で守り神の過去を歪めてならないようにすることができるようになったんだ。」
「僕自身にはできないんだけどね......」
と下を向き暗い表情で少女は言った。
「皮肉な能力でしょ。」
「......そうだね。確かに皮肉だ。」
「でもいいのかい?そんなことしたらあんたの話し相手が減っちゃうよ。」
「うん。そうだね。寂しいけどいいんだ。戻りたいっていう気持ちは痛いほどわかるから」
少女は微笑んでそういった。
私は少女に聞く。
「ねえ、私を戻すのは、自分の戻りたいという気持ちを少しでも救いたいから?それとも同じ痛みを持つ私を放っておけないだけ?」
少女は優しく微笑んで
「放っとけないんじゃない?多分」
と私の肩に手を置く。
その次の瞬間私の体は光を放っていた。
「......放っとけない、ね。ふふ、多分、っていうのがあなたらしい。」
私は静かに笑い、落ちてくる桜の花びらを掌に載せる。
私の体がどんどん光を放ちながら薄くなっていく。
少女は笑顔で
「ほかの人が代わりに守り神になるっていうことはないから心配しないで。
また会えたら会おうね」
と言っていた。
その言葉を聞いたのを最後に私は神社から消えた。




