第59話:王者の分析と、美しき捕食者の影
久しぶりに姫宮サラ出しちゃいました
クリスタルは
自分のプロフィールのリスナー欄を
じっと眺めていた。
そこには枠レベル400近い
「化け物級」の猛者から
50前後の常連までがズラリと並んでいる。
「……ん?」
ふと指が止まった。
スクロールした先にあったのは
姫宮サラの名前。
枠レベルは「51」だ。
クリスタルは計算した。
月に250時間は配信している自分の枠で
レベル50に到達するには
かなりの視聴時間とギフトが必要だ。
「エンタメVIIの頃から通っとったとしても
この上がり方は急やな……」
まるで「私に気づいて」と
叫んでいるような不自然な浮上。
偵察部隊の猛者たちが
一斉に警戒したのも頷ける。
「俺にガチ恋? まさかな。
美波(ドラマの役)みたいな迷惑系は
古参が蹴散らしてくれるはずやけど……」
ふと、モデルの山本勇次の顔が浮かぶ。
「勇次もサラのことは知っとるはずや。
一丁、探ってみるか」
クリスタルは独り言をこぼしながら
何気なくテレビのスイッチを入れた。
テレビをつけると
ちょうど『LIVE配信特集』が放送されていた。
最近のトレンドとして
「ゼロQLIVE」が紹介され
笑いも演技も完璧なライバーとして
クリスタルの名前が挙がる。
「へぇ、分かっとるやんけ」
ニヤつくクリスタルの目に
続いて白百合ももかの名前も映った。
(当たり前や
俺が育てたスターエイトの秘蔵っ子やからな)
その時、ひな壇から甘い声が響いた。
「私、クリスタルさんのファンなんですー!」
カメラが向いた先には、姫宮サラがいた。
「おいおい、まじで本人やったんかよ……」
MCに「いつからファンなんですか?」と
聞かれたサラは、可憐な笑みで答える。
「笑ってなんぼを見て興味を持って
ドラマの演技を見て完全にハマっちゃいました!」
クリスタルの背中に冷たいものが走った。
ドラマからハマった?
それで既に枠レベル51?
(仕事の合間にどんだけ
俺の配信流しとんねん。
ヤバいもん枠に入れてしもた気がするわ……)
そこへ、偵察部隊リーダー格から
グループチャットに通知が入った。
【他枠で殿のことを嗅ぎ回っている形跡あり。
警戒レベルを引き上げます】
「……なんや、あの女。獲物でも狙う目か?」
王者は、初めて自分の城に
「得体の知れない侵入者」が
入ったことを確信した。
その足で、クリスタルは
山本勇次の配信枠に乗り込んだ。
派手なプロライバーエフェクトと共に
「姫宮サラと仕事したことあるか?」と
直球のコメントを投下する。
「サラ? ああ、昔一緒に仕事したことあるけど。
……どうかしたん?」
そこへクリスタルの偵察部隊も合流し
現状を報告する。
『クリスタル:ファンや言うて
高いギフト投げてきたんや。
でも枠レベル確認したら既に51。不気味やろ』
勇次は一瞬絶句した後、大爆笑した。
「あー、狙われたね(笑)。
サラって気に入った相手を
自分のモノにするのに手段選ばないんで有名だもん。
俺も狙われてたっぽいけど
クリスタルに鞍替えしたか! なら安心だわ!」
『クリスタル:おい! 笑い事じゃねーぞ!』
王者が怒りのコメントを打つ中
勇次はふと気づいた。
さっきまでコメントしていたミサキが
ピタッと黙っている。
(ヤベッ、俺が狙われてたってバラしちゃった!
ミサキを不安にさせたか!?)
焦った勇次は
「クリスタルなら蹴散らせるでしょ!」と
大袈裟にフォローしつつ
(ミサキ、頼むからコメントして!)
と心の中で絶叫した。
『偵察リスナー:他のメンバーにも共有します。
殿と枠は俺たちが守ります』
『クリスタル:おう。うちの古参リスナーを舐めんなよ』
コメント欄は
「最強王者に本物のガチ恋勢現る!?」と
蜂の巣をつついたような騒ぎに。
王者の平穏な配信ライフに
かつてない強敵が牙を剥こうとしていた。
お読み頂きありがとうございます
次回もお楽しみに♡




