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第57話、クランクインの衝撃と、王者の帰還

初めはももかを悪役にするつもりがw


ついに始まったドラマ『画面の向こう側』の撮影現場。


2シーンの撮影を終えて

休憩に入ったクリスタルの周りでは

異様な光景が繰り広げられていた。


スターエイトのお飾り社長とマネージャーが

まるで「主君」に仕えるかのように

甲斐甲斐しく飲み物を出したり肩を揉んだりして

機嫌を取っているのだ。


「クリスタルさん、お疲れ様です! お口に合いますか?」

「ああ、冷えとってええわ」


周囲のスタッフや他の役者たちは

「なんだあのパワフルなライバーは……」と

遠巻きに眺めていた。



そこへ、今をときめく

人気若手俳優の純也が足早に近づいてきた。


「殿! お久しぶりです、純也です!」

「え? 純也!? お前、覚えててくれたんか!」


クリスタルが破顔一笑。


純也はかつてゼロQライバーとして活動しており

クリスタルの枠の古参リスナーだったのだ。

3年前に俳優としてブレイクし引退したが

今でも王者を敬愛している。


「キャスティングに殿の名前を見つけて、もう嬉しくて!」

「俺も活躍見とるで。

漫才もドラマも、お前なら余裕やろって思っとったわ」


さらに、今度は若手女優のミントが駆け寄ってきた。


「クリスタル様ぁぁ!」

「お、ミント……ジャスミンやな? 芸名変えたんか」

「はい、ジャスミンです! 会いたかったですぅ!」


彼女もまた、元リスナーの「ジャスミン」。

半泣きで喜ぶ二人の姿に、現場は騒然とする。


「殿呼び? 様付け? 何者なんだあの人は……」


一方で、事情を知るダブルスター所属の役者たちは

「社長を尻に敷いてる噂はマジだったんだな」と

別の意味で戦慄していた。



思い出話に花を咲かせる中、ももかが現場入りした。


「ももか! 用件終わったらこっち来い!」


王者の呼び出しに

ももかは「はーい!」と元気よく駆け寄る。


「純也にミント。知っとるやろ?

こいつらも元ライバーで、俺のリスナーや。

で、こっちが事務所の後輩で

俺が今マネージャーしとる白百合ももか。よろしくな」


「殿がマネージャー!?

羨ましいわぁ、最強王者に面倒見てもらえるなんて!」


純也の言葉に、ももかは

「よろしくお願いします!」と誇らしげに頭を下げた。


ワイワイと盛り上がる4人の様子を

現場のスタッフたちは不思議そうに見ていた。


(あれだけ演技も華もあるのに

なぜ配信をメインにしているんだ……?)


そんな疑問が渦巻く中

一人の大物俳優が現場入りした。


彼はクリスタルを一瞥し、鼻で笑った。

(ふん、あれが『最強王者』か。

役者経験もないただのライバー如きが

サブメインとはな。笑わせてくれる)

業界の「壁」を分からせてやると言わんばかりに

彼は冷ややかに出番を待った。



ついに、クリスタルとももかの

絡みのシーンが始まった。


スターダストを待ち伏せしていた

ガチ恋リスナー・美波が

ついに最終通告を受ける緊迫の場面だ。


「……何度言えばわかんねん。

自撮り大量に送りつけてくるわ

枠の序列は乱すわ。辞めろ言うたよな?」


冷たく、射抜くような王者の視線。

スターダストになりきったクリスタルの迫力に

周囲の空気が一変する。


ももかも負けてはいない。

目に涙を溜めながら、全く反省の色を見せずに縋り付く。


「私のこと……見て欲しくて。好きなの……!」


「ふざけんな! 俺だけ迷惑被るならまだええ。

他のリスナーに迷惑かけて

枠をめちゃくちゃにする女はいらねーんだよ。

もうブロックすんからな!」


「えっ、やだ! 見れなくなるの嫌ぁぁ!」


足元に泣き崩れるももかを

クリスタルは面倒くさそうに

しかし残酷に振り払って歩き出す。



「はい、カーーット!」

監督の叫びと同時に、現場は静まり返った。


「……おい、あの子素人だよな? 今、本当に泣いてたぞ」

「クリスタルさんの生々しさ、やばすぎる……」


先ほどまでクリスタルを蔑んでいた大物俳優も

唖然としたまま目を離せずにいた。


あまりにも息がぴったりで

そこには「ライバーとリスナー」の歪な愛憎が

リアルに存在していたのだ。


ダブルスターの社長は

モニター越しにももかの演技を見て深く頷いた。


「ももかの破壊力も大したもんだ。

これは……化けるぞ」


新星の誕生と、王者の揺るぎない実力。

ドラマの現場は、早くもゼロQ勢の圧倒的な勢いに

飲み込まれようとしていた。



お読み頂きありがとうございます

次回も楽しみに♡

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