3話-19
「うわぁ、それ可愛いね」
「真央さんも、とってもお似合いです」
「二人ともとっても似合ってます」
「下克上」当日。
本日はエレベーターで会場階まで降りた後、三つの控え室にわかれた。それぞれ、私たちと優穂先輩。西園寺先輩と世良先輩、そして小峰先輩。男子の先輩方二人である。
控え室にて服飾部に渡された衣装を、着る前に一度胸元へ当ててみる。お互いを見比べ、感想を述べ合った。チアガールとアイドルの衣装を足して二で割った衣装で、基本的に同じデザインだが、私とチョコで細部が違っており、それぞれの体格に合わせたものとなっている。縫製も丁寧で縫い目も美しい。
「着替えてきま〜す」
試着室に入り、着替えてみる。
仮縫いの状態で一度試着してみたが、こうして着ると身体のラインにぴったりしていて着心地がよい。姿勢に合わせて生地が伸縮し、通気性も良いので運動に適している。
肩周りの生地が若干厚いのは、何か理由があるんだろうか。
「お待たせしました〜」
試着室からチョコが出てきたので、二人で鏡の前に立って最終チェックをする。優穂先輩が後ろに立って、私たちの衣装のシワをのばしてくれる。
「そうして並んで立つと、姉妹みたいですね」
衣装のせいだろうか。顔立ちも体格も全然違うのに、姉妹と云われればその通りに思われる位には私たちは似て見えた。面白いものである。チョコは少し恥ずかしがっていた。
動きのチェックをする為に、そのまま屈伸をしたり、その場で軽く跳んでみた。
くるっと回ると小さなスカートがふわっと広がり、フリルがなびく。
「ちょっと恥ずかしいね」
「でも、その姿を修弥さんに見せれば、好きになってもらえるかもしれないですよ」
そうだよ! なんでその事に頭が至らなかったんだろう。修弥に見せれば惚れなおすかもしれない。
私はチョコの肩をガシッと掴んで礼を云った。
「その通りだよ、チョコ、ありがとう!
しゅうちゃんに衣装姿の私を見せて、『下克上』にも勝てば、
『真央、その服似合うな。よかったら今度それ来て俺とデートしないか?』って誘われるよっ!」
「いえ、待ってくださいっ!! そんな衣装でデートとか恥ずかしいんで絶対しないでくださいよ!!! 陸上部全体が阿呆だと思われますから!!」
妄想の中ではいいではないか。現代日本に暮らす私だって、妄想の中では膨らんだ袖のドレスとか着てみたいのだ。かぼちゃの馬車に乗ってみたいし、王子さまと呪いが解ける魔法のキスをしたい。
「ふふふ、羽月さんはホント倉多さんが好きなんですね……あら? 二人とも出番のようですよ」
会場の準備が整ったようだ。
「ペタンク、楽しんできてね。私もモニター越しに応援しているから」
「先輩も缶蹴り頑張って下さい! 松本先輩をぼこぼこにしちゃってください」
「真央さん! 優穂先輩、応援してますね」
よしっ、今日もいっちよ、勝ってきますか!!!




