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花束を持って、君と  作者: 雲雀ヶ丘高校文芸部
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1話-6

 雲雀ヶ丘高等学校。麻生区にある、小田急線柿生駅北口より降りて徒歩五分程。創立百四十年程の、都立高校である。

 伝統と自然に敬愛の念を抱き、地域や自然との触れ合いを学生に体験させ、自然の中で育まれる人格形成を強く謳った学校である。

 学区内では他に比べ高い学力を備え、あらゆる方面で活躍する生徒を輩出している。独特のカリキュラムで組まれた授業は、成果が高い反面、あまり学外に伝わっていない。

 受験生からは、部活面で活躍する学生が多い、「部活に強い高校」という事で倍率が高い。私は、何もせずとも頭の良い修弥、勉強家の大和、卒なくこなす絵茉に追いつく為に、毎朝ランニングの後に朝勉を取り入れてようやく合格した。と思う。

 大和からは「地力を発揮できただけだから、高校生活でも周りに遅れは取らない」と云われたが、既に及び腰である。勉強は苦手ではないのだが、皆で集まって勉強会をした時、三者三様の鬼を見た気がした。

 今でも、心底合格してよかったと思う。受験に落ちた時にあの鬼教官たちの顔を見るのが怖かったというのが、まさか勉強に本腰を入れた理由だとは彼らは知らないだろう。そして、及び腰だというのも、合格後に三人共が「勉強会はよかった」「他者の視点で己の学力を見直せた」「これからは定期的に行おう」という、かつて見せたことのない満面の笑みで言っていたということ。その実、勉強会自体は各人の勉強法への指摘の応酬と、各々が考えたオリジナルテストでの腹の探り合い。最終的には何故か掴み合いにまで発展して、勿論私はそれ以前に三人のペースに全然ついていけず初っ端から脱落、ひたすらやってるフリをしながら三人を諫めた。


 さて、正門をくぐりぬけてまず真っ先に目に入ったのは、学園中に咲き誇る草花の数々。どっしりと構える桜を始め、そこいら中の地面から一斉に顔を覗かせ、色とりどりの花を咲かせ、それぞれが個性を強く主張している。校舎には、窓に沿って細いベランダがついており、そこには大量のプランターや、水路が施されている。プランターには春の花が植えられており、水路にも、水草や水辺に生える草花がいきいきとしている様子が窺える。

 一体何処から大量の水を汲んでいるのだろうと思うだろうが、この学校は、兼貯水池としての機能を持っているらしい。大雨が降った時に一時的に地下にある貯水池に雨水を溜め、オリフィス構造によって横を流れる片平川に少しずつ流していくのだ。

 昔は片平七堰という田んぼに水を引いたり雨量調整の為の機能があったのだが、麻生区に沢山の貯水池が設けられた事と、土地の開発が進んだり護岸の為のコンクリート化によって雨量の調整が容易になり、今では片平川の乏しい水量は足がつく箇所も多数あり、水をあまり流す必要がないという事で、貯水池の水をほぼ学内へ流しているというのが現状だ。

 今では七堰はどこも跡地となり、それぞれの場所に碑が建ててある。朝方、川沿いの散歩コースを歩いてみると、少しかすれた文字で書かれた七堰の由来と、歌が記されているのを認める事ができるらしい。

 ちなみに、雨上がりの校庭は水に沈み、夕方になると夕焼けが校庭いっぱいに赤い絵の具を垂らしたかのように広がり、水の反射と相まって非常に美しいそうだ。その瞬間に好きな人に告白すると、両想いになるという伝説がこの高校にはある。私は密かにこれを狙っている。

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