1話-7
というのが風景に興味がある方々への配慮で、正門をくぐりぬけた私たちは、早速先輩方の勧誘攻撃を喰らった。
さて、正門をくぐりぬけてまず真っ先に目に入ったのは、学園中に名を揚げたいだろう部活代表の精鋭の数々。どっしりと構える柔道着を着た面々を始め、そこいら中の地面から生えているかのように一斉に顔を覗かせ、目を血走らせ、それぞれが個性を強く主張している。
色とりどりの衣装やジャージ、部着。そこに渦巻く熱気まで着飾ってとびきりの笑顔で出迎えられる。あまりの歓待の圧力に、腹の底から出した大声に、気圧の変化に似たようなものを感じて、少し目眩を感じる位だ。
驚きもあり、それ以上に新生活に対しての興奮を覚え、貰えるだけの勧誘チラシをいただいた。目星の部活が見当たらないが、チラシの一枚一枚が細部に拘っていて面白い。白い紙に筆で手書きした様な硬派なものから、丸く切った紙にたこ焼きの絵が描かれており、隙間から覗いた蛸が手招きをしているチラシ、二つ折りにしてあり、開くと飛び出してくるチラシ、代表の電話番号以外書かれてなく、あとは絵だけで部活内容ややりがい等が表現されたチラシ等、飽きない。
後ろからくる他の新入生に押される様に、流されながら進んでいく。先の方で赤いラインが横に引かれており、そのラインで勧誘は終わるようだ。その更に向こうにはチラシ回収リサイクルボックスが置かれていた。私たちは、自分に必要がないと思う部活のチラシを、少し名残惜しいけどそっとボックスに入れた。
「凄い人の数だったな」両手一杯にチラシを受け取った大和は、せっせと自分の鞄に詰めていた。そういう所はホント律儀だなと思う。彼の性分で捨てられないのだ。多分、家に帰ってからしっかり読み込み、その上でリサイクルに出すつもりなのだろう。
修弥はブラスバンド、絵茉は運動系の部活のチラシを持っている。大和も多分ブラスバンドだろう。私は……たこ焼きのチラシと、その他に面白いチラシ数枚を持っていた。
「真央、それは食べられないぞ」「わかってまーす」幾らチラシだと分かっていても、このたこ焼きの絵のうまさに、先程から唾液が止まらない。
(そういえば、さっき勧誘の時に揉みくちゃになったけど、しゅうちゃん、守ってくれたなぁ)
ちょうど転びかけた私の肩にそっと手を添え軽く抱き寄せた修弥に、ドキっとした。修弥の顔を見ても、そんなことなかったかのように自然に笑っていて、大和と絵茉にちょっかいをかけている。
これから高校も同じクラスで、毎日一緒にお昼ご飯食べて、部活終わりに待ち合わせて、一緒に帰るんだ。それで、恋人になって、最高の高校生活を満喫するぞーっ!
「おーい、真央。野郎共に置いてかれるぞー」
「あっ! 待ってー!」絵茉と私は、他の新入生に混じって下駄箱前の掲示板を眺める二人の方へ向かった。




