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花束を持って、君と  作者: 雲雀ヶ丘高校文芸部
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2話-11

「今日も疲れたなー」

「そうですねー」

 くたくたになるまで走り込んで、これから帰宅だ。クールダウンを入念に行ったが、これからベッドの誘惑に抗ってご飯とお風呂を済まさないと、身体が出来上がらない。今日出された宿題も、そこそこ量があった。

「では、また明日です」

 春日野さんと駅で分かれて、電車に乗る。ドア付近に立って、窓から見える景色を眺めながら、同時に映る疲れた顔をした自分を見つけ、窓に近づいて反射を消した。

 毎日一緒に登下校するはずだった修弥とは、私の部活が遅くまで練習をする為に会えていない。ライトアップされた校庭で絞り切るまで走らされるし、クールダウンに時間がかかる。修弥のいるブラスバンド部は、人数も多い為防音室以外でも練習をする為か、なるべく早い時間帯で近所の方々のクレーム防止の為に練習を終える。楽譜読みや運指、マッピ練習は自宅でもできる為、平日は早々に帰ってしまうのだ。

「あれ?」あの特徴ある髪型は本澤先輩だ。可愛い女の子と一緒に何やら楽しそうにおしゃべりしてるが、彼女だろうか。

 声をかけようか迷っていると、次の駅で降りてしまった。ドアの外で本澤先輩の声が聞こえ、別の誰かが返事をした。そして、その誰かが電車に乗ってきた。

「あれ、羽月さん? 部活上がり? お疲れ様」

 球技部の宇佐見先輩と、その後ろから絵茉がやってきた。「おう真央、部活お疲れー」

「絵茉。それに宇佐見先輩も。二人とも何してたんですか?」

「ランニングっす。隣駅だし、クールダウンにちょうど良いっス。終わったら、小腹が空くのでつまむっス」

「だらだら走って、だらだら食ってたとこ。んで、現地解散でこれから飯食いに帰る」二人とも満足しきった表情をしてる。彼女たちを見てお腹がグゥ~っと鳴った。

「え~、いいなぁ誘ってよ……で、荷物は?」二人とも手ぶらに見えるが、どうしたのだろうか。

「勿論おきべん。スマホと財布だけ持って走ってきた」ペットボトルのいちごオレを飲みながら絵茉が答える。

「宿題どうするの!!?」

「球技部には伝統の教材棚があるので、ノープロブレムっす」

 話を聞くと、球技部の部室には教材棚と云われるものが置いてあり、あらゆる教科に対応した、過去の先輩方からの贈り物が並べてあるらしい。

 球技部は朝方早く集まり、一斉に宿題を解いて、解けた者から朝練に打ち込む伝統的な習わしがあるそうだ。

「なので、宿題が出たらとりあえず内容を暗記して、翌日一気にやる。睡眠学習も兼ねているから、記憶力もよくなる。一度覚える事で再び問題に取り組むときに反復練習にもなる為記憶に刻み込まれて、好成績も出せる」

云ってる事はそれっぽいが、なんとも力技である。

「ちなみに宇佐見先輩はそれだけで学年五位になった」

 それは凄い。

 二人と雑談を交わし、疲れていた身体が少し和らいだ。一人でいる時は色々考えてしまうが、誰かといると、くだらない話が心を安らげる。

 欲を云えば、その誰かは好きな人が好ましいのだが……。

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