1話-19
「北野川優穂です。大道芸研究会所属で、二年生です。未の動物です。生徒会にいるのは、双子の姉の愛理です。」そう紹介したのは、眼鏡をかけた大人しめの女性だった。髪は肩くらいで、上品な顔立ちをしている。生徒会の北野川さんと同じ名前だったが、双子だったのか。それにしては、双子というより姉妹にみえる。
「基本的に、お客様にお見せするパフォーマンスならなんでもやります。大道芸が多いですね。手品。歌。地域の方々との交流を深める為の活動をしています。よろしくお願いします」
「挑戦は?」
「あ、しません。すみません」
二人いるので彼女を優穂先輩と呼ぶが、優穂先輩は、少し気弱そうに見えた。愛理先輩の方が涼しげで仕事ができるタイプなので、どうしても見比べてしまう。まぁ、あまり見るのも失礼だからやめよう。
会長が話を促す。「松本先輩」
「ウッキッキー。情報部三年生部長の松本だ。我が情報部は、情報集めが主だが、情報を流したりもする。情報をどこへ流すのかは俺次第で、どこに流さないかも俺次第だ。楽しい一年になるよう精一杯情報戦をしかけるので、みんな、よろしく頼む! 北野川、今月は戦いを挑ませてもらう。」松本先輩は、包容力のありそうな、低くて心地良い声の持ち主だった。横分けの髪と顎髭がもっさりしていて、チェック柄のシャツにジーンズ、一体制服はどうしたの? という出で立ちだが、何故か見ていて落ち着く。兄貴とか、近所にいたお兄さんって感じで、頼りになりそうだ。発言は物騒だが。
「西園寺姫依。酉。ワンゲルの三年だ。山を登りたいなら、教えてやる。ついてこい」
西園寺先輩は小柄で、春日野さんより低いかもしれない。余計な事は云わず、一言一言を大事に話す人だ。ワンダーフォーゲル──登山部かな。あんな小柄で登れるのかと思うが、人は見かけによらない事も知ってるので、決めつけない。今度山を教えてもらおう。ついていきますっ!
残りは二人になった。春日野さんと、その隣にいる子。
「はじめまして、今年、料理研究会に入部しました、一年生の舞咲一華といいます。……この様な集まりに参加するのも、代表に選ばれるのも初めての事なのでとても緊張してます。精一杯頑張りますので……よろしくお願いします!」舞咲さんっていうんだ。照れながら辿々しく話す姿は、好感が持てる。背中ほどまである艶のある黒髪に、可愛らしい顔立ち。だけれど、ここでは見せないが、芯の強さもありそうな感じだ。周りからはよろしくねーだの、頑張れーだの、沢山声がかかった。それに対してペコペコ返すと、テーブルにおでこをぶつけてた。
「春日野ちよ子です。一年生、陸上部でイノシシです。自分の名前が古臭い感じがするので、チョコと呼んでもらえたら嬉しいです。」チョコ、私はちよ子も可愛らしいおばあちゃんって感じで好きだよ。
春日野さんは腰より長い、サラサラの明るい髪。背が低いが元気はいっぱいだ。先輩方を前にして緊張もしてないし、あだ名で呼んでもらえるようアピールもしてた。
「さて、最後は羽月、君だ」会長が私をご指名なさった。ええ? 私もやるの?
「一年生、猫の羽月真央です。陸上部入部を目指してこの一ヶ月よろしくお願いします!」
「それだけか? 随分低い目標にしたな。」いいんです。陸上やれればそれで。
「よし、それなら今回の集まりはこれにて終了。もうすぐチャイムが鳴るから、二限から授業に出てくれ。一限はホームルームで、部活についての説明だったと思うから、一年生の諸君は安心してくれ。先生方にも許可はいただいている。挑戦した部活と、それを受けた部活の者はこちらに集まってくれ」




