黒い獅子
カタカタ カタカタ カタカタ
黒い獅子の頭が音を立てて揺れる。金のメッキの歯と黒く塗り潰された目、ポッカリと空いた口からだらんと垂れる赤い舌が見える。
嗚呼、綺麗だな。
乾いた風が吹き、白い粉のような雪を舞いあげる。赤い陽の光に反射し、目を細めるとより一層黒い獅子が浮き彫りになる。
「さんざん祭り上げといて飽けば自分勝手にしまい込む、冷たいねぇ人は……」
少し雪をかぶった社の中にある普段祭りの時しか見ることのない神が宿るといわれる獅子の頭を模した被り物?を見てると、友人(勝手にそう思っているだけかもしれないが)が感情のこもってない声でそういった。黒い獅子は当然だか何も言わずそこにある。祭りの時に見るのは体格のいい男が獅子の頭を被り踊っている時だ。こう見ると細かく作られている、一体なんの素材なんだろうなと思い目を細める。
「そんなに見つめてなんになる?動き出すわけでもあるまいし」
そう言われ友人に目を向ける、茶色っぽい黒髪(寝癖のせいか、少しはねている)に赤いメガネ、少し人より高めの身長そして極めつけは大人しそうな美形で一見優しそうな好少年に見えるが変わり者(自分も人の事はいえないが)、神は平等とか言っていたのはどこの誰だったかと思い溜息をつく
「おいおい、人の顔を見て溜息なんて失礼だろ?ああそうさ、そうに決まっているよ」
少し文句ありげににらんでくる友人を横目に黒い獅子をもう一度見る。
嗚呼、平和だな。
「そういえば獅子を使った殺人事件が起きたらしいじゃないか、殺された人の頭が無くて変わりに獅子の頭が置かれているのさ、怖いねぇ、怖いよ」
訂正、全然平和じゃなかった。




