二十九話
本日、なんと二連投!大丈夫なのか?!(だいじょばない)余裕はあるのか?!(ない)
二十九話めです。
回収された紙はすべて白紙のままだった。まぁ、そうだろうなと思ってたよ。向かい側に座っているハークは、あからさま安堵している。そりゃそうだ。疚しいことがなくとも、部下の不条理があったら、進級に大きな妨げになる。
「…紙には何も書かれていませんね」
「え、えぇ、そうですね!」
ハークは機嫌良さげにそういう。
おそらくだが、この部隊では、本当に不条理があると思われる。さっき、用紙の記入時間でも、末端の兵士たちが特に、すぐれない顔をしていた。書きたくても、書けないのであろう。書いたら殺すとか言われたんじゃないかな。
賄賂の受け取りの方は確実ではない。判断するにはあまりにも根拠が足りないのだ。こっちはとりあえず保留だ。
まず解決できそうな、できるかはわからないが、解決しないといけない問題から見てみよう。
「ハーク小隊長」
「へあっ、なんでしょう」
驚き方なんだよ。
「俺は、この部隊を見て周りたいと思うんだが、いいかね?」
「へ?」
「ダメかね?」
ちょっと力を込めてそう言った。だって、疚しいことがないんだったら、見て周っても問題はないんだよね?なんなら、部隊の中がよかったら、賞をやってもいいんだよ?
「し、しかし、いきなりすぎませんか?今日は視察としか伺っておりませんが?」
「見て周るのも視察なのだろう。それか、なんだい?もしかして、なにか隠し事でもあるのかね?」
「そんな、滅相もございません!」
「ならば、俺は見て回るとしよう」
そう言って、俺は部屋を後にした。
部屋を出た俺は上のジャケットを脱ぎ、鞄に入れた。この国の国軍の制服は、ジャケットにのみ階級章があるため、ジャケットさえ脱げば、軍人手帳を提示しない限り、所属と階級がわからない。つまり、今の俺のこの状態は、軍人であることだけが分かる状態だ。まぁ、厳密にいうと、これは軍規違反になるが、暗黙の了解で許す空気だという。
それに、さっきの大食堂でも、俺をちゃんと見たやつなんていない。大隊規模の人数を収容するだけの広さの部屋で、人一人を見つけるのは難しいが、ぎゅうぎゅうの状態だったら尚更だ。
俺はシャツにネクタイの姿で部隊を見て周る。
誤字脱字、間違い等ございましたら、幸いです。




