二十七話
最近、世代差っていうんですかね?っていうのを感じたんですよ。どうやって知ったかは説明が面倒なので省きますが、なにやら、もうとうとうカセットテープとか、VHSとかの存在すら知らない世代ができちゃったみたいで…テレビでそんなことを聞いたことはあったんですけど、まさかこんな近くにその世代がいるとは…
もう、テープが擦り切れるっていう表現は使えなくなったんですかね。ピンを折るのも知らないんですかね。カセットテープが伸びると、穴にボールペンかなんかを差し込んで巻き戻すことも知らないんですかね。世代差って怖い。ということで、二十七話目です。
今回は夢も見ずに目を覚ました。鍛錬のために、少し早めに起きようとしたが、どうやら体が反応してくれたようだ。王国陸軍制服に着替えて、軽く鍛練をし、部屋から出ようと引き戸を引くと、そこにはノックをしようとするメイドがいた。
なにやら起こしてくれようとしたようだ。確かに、今起きたら、仕事には丁度よく間に合うはずだ。下調べをしたのだろう。まぁ、俺が朝、鍛錬をしていることは知っていなかった模様。
メイドは一瞬ポカーンとしていると、口を開いてくれた。
「お、お目覚めになりましたか、お屋敷様。この度は私の不手際で、お起こしするのが遅くなりました。まさか、もう準備を整えているとは思えませんでした。どうか、お、お許しを…っ!」
なぜか声を震わせながら、深々と西洋式のお辞儀をした。それに、なんか汗がメイドの額からだらだらと流れ出している。顔色も悪い。
確か俺って、結構怯えられていたよね。そのせいだよな、これ。もしかして、このせいで首が飛ぶとでも思ってるのかな?
「メイドさん、落ち着いてください。起床時間を伝えていない俺が悪いんですから。ほら、顔も上げて、これで汗も拭いて、ね?」
俺はそう言って、必死に微笑みながらハンカチを渡した。汗すごいもん、この娘。
すると、メイドがゆっくり顔を上げた。
ここでひとつ、俺の誤算があった。このメイドは、必ずや俺の顔を下から見上げる感じになる。みんな知っての通り、顔は下から見ると、映えが悪い。ただでさえ映えが悪いんだ。俺の場合は、悪役のボスみたいになる。そんな奴が必死に微笑んでるんだ。加えて、俺の声もかなり低く、悪い意味で俺の容姿とマッチしている。こんなやつを見たら、普通は怯える。勿論、この娘も怯えた。
俺の顔を見た瞬間、メイドの顔は真っ白になり、そこで一瞬固まっていると、白目を剥ぎながら、そのまま地べたに倒れ…そうになったのを、俺が手で急いで支えた。
まさかこれほどの迫力があるとはと、心外に関心しながら、メイドをお姫様抱っこして、一階に降りた。そして、使用人たちの部屋にノックをする。
「はい、いかがなされ、ま…」
出向いてくれたメイドも硬直した。うん、そうだよね、硬直するよね。もう説明が面倒になり、
「この娘が倒れた。看病してやれ」
とだけいい、部屋を後にした。
あとは、朝食(すごく美味しい)を急いで食べ、職場へと向かった。その間、メイドたちはなぜかさらに震えていた。朝なのに、なんだか疲れちゃった。
誤字脱字、間違い等ございましたら、教えてくだされば幸いです。




