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入学⑫

「まあ、夕君は優秀な人材。みんなが欲しがるのは、幼なじみの私がよぉ~く知っています。

 そして、あなたも夕君が欲しいのでしょう?」


 値踏みするかのように言う織川。

 力量を図っているようだ。

 倉木は年上の余裕をみせ、立川と織川をからかっているつもりだったのだが、思わぬ切り返しにあって、目を大きく見開く。

 そして、一瞬目をつぶり、一呼吸する――


「そうだ! 俺も九頭龍帝が欲しい」


 真剣な表情で言う倉木。

 なんとか自分の仲間にしたいと思っているのだろう。


「ふぅ~ん。夕君のすごさに気づいて仲間にしようとする度胸を認めてあげるけれども、本当に夕君を仲間にするだけの力量があなたにあるの?」


 挑発する織川。


「と、言うと?」と、倉木。

「さっき、夕君に剣術を教えると言っていたけれども、それだけの力量があるかどうかを知りたいのよ」と、織川。

「俺の力量が気になる」と、倉木。

「当然、夕君に無駄な時間を使わせるわけにはいかないわ」と、織川。

「それでは、どうする?」と、倉木。

「試させてもらうわ」と、織川。

「いいよ。俺の力が気になるっていうのは、幼なじみとして当然だ」と、倉木。

「ま、待て織川。いきなり先輩を試すって失礼すぎるぞ」


 あせったように、倉木と織川の話に割り込む立川。

 さっきまでの倉木の話の流れに違和感を感じられなかった。嘘をついている気配を感じられなかった。

 確かに織川の言う通り、織川自身の力量と話の裏付けを取る必要性を感じるものの、いきなりこの場で本音で話してくれたであろう倉木に対して疑うような発言は控えたかった。

 だから、倉木と織川の話にわって入ったのだった。

 織川は立川の話に対して、一瞬、むっとしたが、


「夕君がそう言うのであれば、今までの話をなかったことにしますが……」

「じゃあ、そうしてくれっ」と、立川。

「ま、、待ってくれ!

 織川さんの言っていることはもっともだ。

 実際に九頭龍帝だって、俺の実力については気になっているだろう。

 それに、もし気になっている点があったら、他にもあれば言って欲しい」


 紳士的に対応しようとする倉木。

 だが、立川が気になっているのは、倉木の実力の他にはサークル内での立ち位置。こればっかりは、他の人に聞いて確認しなければいけない。

 と、立川がだまって考えながら下を見ていると、織川は立川の状況を確認したあと、


「それでは、私がいなかったとき、夕君とあなたが話した内容の確認として、夕君があなたの仲間になれば夕君にサークル内で一番腕のあるあなたが剣術をしっかりと教える、と言うことでよかったのですね?」

「そうだけど……」


 不満? と言う声が聞こえてきそうな表情をする倉木。

 それに対して、織川は明らかに不満そうに、


「夕君を仲間にするってことは、私も夕君の見方をするから間接的に私も味方なるようなもの。

 なので現在の状況では不満があるわ」

「ま、まあ、そうとも言えるね。

 じゃ、じゃあ、バベルの塔の一階に強力な刀が発見されている。そして、その地図を俺は持っている。

 もし、仲間になってくれたらその刀を九頭龍帝に進呈するっていうことでどうだい?」と、倉木。


 倉木自身は刀について、もともと計画していたものを話したのだろう。

 だが、倉木の持っている隠し玉はすべて出し切った、と織かは長年の経験から判断した。


「それで言いわ。

 じゃあ、さっさとあなたの実力を試して前向きな行動に早く移りましょう」


 二コリ、と微笑みながら織川は言った。

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