転生
遠い昔。神の執政に反感持った天使達がいた。彼らは、ルシフェルを筆頭に神に反旗をひるがえし、新天地を求めて旅に出る。そして、ようやく見つかった場所はのちに『魔界』と呼ばれる場所だった。
魔界には先住民である魔物が数多く住み着いていた。ルシフェル側は魔界に移住したいと、魔界の先住民たちへ交渉したが、決裂。結果、当初の永きにわたる戦争が始まった。
戦争は苛烈を極め、両者は傷つき合った。互いに疲弊が著しくなってきたときにルシフェルが和平交渉を再度魔界の先住民側に持ちかけ、魔界の先住民たちは受け入れ、戦争は終結し、魔界に平和が訪れたのだった。
そうして、誕生したのが、魔界の初代皇帝ルシフェルなる。
ルシフェルの治世はとてもよく、永きにわたる戦争で疲弊していたところがみるみるうちに良くなり、発展していく様子が見て取れた。
魔界に住んでいる者たちは、ルシフェルの治世に対して大きな期待を寄せ、明るい未来を夢見ていた。
だが、そうした発展の一方で、魔界に平和が訪れたことに対して快く思っていない者たちがいた。
そう、それは天界の天使たちになる。
以前から天界の一部の者に魔界の存在は知られており、豊富な資源や領土があるとわかっていた。
しかし、凶悪な魔物たちがいるから、遠征軍を何度出しても負けてしまい、魔界を天界の植民地にすることができなかったのだ。
天界の正規軍ができなかったことをルシフェルが成し遂げてしまったことは、天界に残った者たちにとってとても腹立たしく、放って置けない存在になってしまったのだった。
しかも、天界に反旗をひるがえしたルシフェルの治世がうまくいっているのが余計に腹立たしかった。
だから、天界は総力を挙げて魔界に攻め込むことになる。ルシフェル側と魔界の先住民たちは、互いに戦争をしてまだ復興に時間がかかる状態。疲弊したままの今の状態ならば、容易に責め落とせると思ったのだ。
だが、結論から言えば、天界側の失敗に終わる。
第三勢力である天界からいきなり責め込まれた魔界は、ルシフェルの治世に反対していた一部の魔界の先住民までもルシフェルに対して強固に団結する状況を作ってしまったのだった。
強固に団結した魔界側は天使側をルシフェルの指揮のもと撃破。天界から降伏の知らせがルシフェルに届く。
魔界側の多くの者たちは後顧の憂をなくすため、天界を徹底に潰すべきだ、という主張が多かった。
しかし、自分の生まれ故郷である天界をなくすというのは考えられない、と思い、自分の魂の一部を消費して魔界を世界から隔離させる。
そうして、天界と魔界とが、領土不可侵の状態が生まれたのだった。
この物語はルシフェルが結界を張るのに消費した魂の一部が、近未来に転生した物語となる。