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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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side ハリス


 ペリーから聞いてた話とは全く違う。ヒュースケンから聞いてた話の方が近い。だがどちらにせよ、あれはデーモンだ。何ならサタンと言う方が近いかもしれん。こちらの目的を的確に読んだ上で、自分の国家を脅すなど考えられん。しかもまだ子供。


 そうか。子供だから、まだデーモンなのか。これからサタンに成長するデーモンなのか。聞けばペリーのヤツも、手柄欲しさにだいぶ無茶な要求を突きつけて、デーモンにやっつけられたらしいし。良かったな、サタンだったらもっとやられてるぞ。


 あんなヤツ、絶対に敵に回したらダメだ。逆らったらダメだ。部下たちにもきちんと伝えておこう。同盟国にも教えてやらねば。世界を食い尽くされるかもしれない。日本から出ないように、何としてでも足止めしとかねば。いくらデーモンが恐ろしかろうが、こんな後進国、流石に我が国が誇る最新鋭軍艦を見たら恐れ慄くだけだ。何より逆らえない。機密情報は隠したままで良いと言っていたな。なんでそこまで配慮出来るんだ?


 恐ろしい。何でも見透かしてるような、あの黒い瞳。何がどこまで見えてるんだ?




 江戸に来た。待たされてる。これで5日目だ。腐っても俺は国賓のはず。ヘラヘラニヤニヤ媚び諂うような笑みを浮かべて、何やら大層な食事を並べてくるが、何を言ってるかも何をしたいかも分からん。大体俺は食事をしに来たわけじゃない。こんなことならデーモンがいたとしても、話が出来る横浜にいた方がラクではないか。ヒュースケンもオランダ語すらも通じないと言っているし。おっ、あれは我が軍の空砲か。ここまでよく聞こえる。分かっていてもちょっと怖いな。おぉ、日本人怯えてる。




 まだ待たされてる。なにがしたいんだ、ここの連中は。そう言えばデーモンが言っていたな。ペリーのように怒れ、と。サー、デーモン。



 毎日毎日怯えながら食事だけは用意してくるのに、こちらの話を一向に聞こうともしない。演技じゃなくても怒れる。デーモン様、ここは本気で怒っても良いところですよね?



 肉のない食事、話しても怒っても何も通じない。ただヘラヘラニヤニヤ。ヒュースケンも怒り始めてる。空砲が聞こえるから正気を保ててる部分がある。デーモン様、そろそろ我を救いたまえ。こんなもんある種の監禁だ。始めは演技で怒ってたが、今や本気だ。


 おっ!ようやく知った顔が来た。ゲンポだったか。デーモン様が助けを寄越してくれた。ありがたい。もう何でも良い。デーモン様、これで私の役割は終わりましたね?助けてくれてありがとうございます。




 横浜に帰って来れた。ようやくデーモン様にお会い出来る。あなたのお顔を見たかった。私は役目を果たしましたよ。



—---------------


 ハリスさんとヒュースケンもだいぶげっそりしてたな。そりゃそうさ、遠く異国まで来て緊張してる中、片言とはいえ言葉が通じてホッとした次の瞬間、急になにも通じない環境に放り込まれる。ストレス半端なかっただろう。一回横浜挟んだ分だけダメージデカそう。ホントのダメージくらったのは守旧派らしいけどね。ざまーみろ。天才たちの偉大さ思いしれ。せいぜい自分らがどんだけ井の中だったかを学べ。ここの人らは自力で大海を進む人なんだ。


 ということで、公使館予定地の庭になるであろう一角にプレゼントを準備。BBQ台とピザ窯。耐火煉瓦とセメントの試作が出来上がったから、作ってみた。実用実験も兼ねて。イースト菌がないしトマトもバジルもない。でもオリーブの実とかオイルサーディン、チーズを持ち込んでた。味噌作ってる人からちょっと拝借。上手く発酵してくれた。ちょっと生地がしょっぱいのはご愛嬌。肉も分厚いステーキ肉を用意してあげた。炭火で焼いて美味いでしょ?ピザもどきとステーキ、そして取り寄せたワイン。美味いモン食うだけで幸せになるよね。何でか知らんが手を合わせて「デーモン」って言ってたのは気になるけど。そこは「アーメン」じゃないの?キリスト教的には。


 結局20日も持たなかった。やっぱり威勢だけだったな。歯牙にかける必要すらない。情けない。まあ、守旧派は邪魔さえしなければそれで良い。口だけだ。生かさず殺さずくらいがちょうどいいかもね。そうだ、オークションの参加の権利を、守旧派と近い所を外してもらおうか。気づかないところからじわじわと苦しめてやれ。


 箕作様にはだいぶ怒られた。すぐに用意していた書類にサインするわけにはいかず、慰めながら謝りながら労わりながら話をするのがしんどかった。みんながみんな、オマエみたいに面の皮が厚いわけじゃないぞ、と。でも、結局は事前に決めていた内容で合意。1箇所だけ誤読できるように変えといたけど。そこはヒュースケンにも意味を確認された。


 問題ないよ。土地の賃料の支払い先を幕府ではなく、日本って書き換えただけ。つまり俺らが徴収してその先が違うだけだから。窓口一緒。幕府の財布じゃなく俺らの財布に入れるだけ。そもそも幕府は貸してるって認識すらない。共通言語も共通認識も持たないんだから。


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― 新着の感想 ―
今、Xで話題のBBQで懐柔するかぁ~ 「理詰め」スゴいって作品なのに要所要所で「人の心の機微」が描写されてて 泣けます…そうだよなぁハリスとヒュースケンつらかっただろうなぁ って
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