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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
7章 冬から春へ

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第04話 観覧車での出来事……再び

 お昼が少しすぎているのでタクシーで駅前に移動してお昼ごはんを食べた、クリスマスイヴなだけあって昼過ぎでも結構混んでいた。


 クリスマスツリー点灯の時間まではブラブラとお店を回っている。今日はいつもより肌寒いのでボトムパンツにダッフルコートというコーデだ。咲夜さんは白いニットにスカートとその上からロングコートを羽織っている、そして朱天は去年と同様どこかの女マフィアのボスの様な出で立ちだ。


 今年のクリスマスプレゼントはお互いにそれぞれ手袋を渡すことに決めている、今もしているけど去年は両親から揃いのマフラーを貰ったからね。それとだね、サンタクロースというものが存在しないことはもうわかってるよ、ずっと筋トレグッズがプレゼントだったのは気になってたんだけど父さんのせいだったとはね。


 そんなわけで揃いの手袋で色違いの物をお互いプレゼントすることにした、プレゼント交換は家に帰ってからだ、だって手袋越しより直接素肌で手をつなぎたいと思うからね。


 女性の三人連れということで何度かナンパされそうな気がしたけど朱天が睨みを効かせているのでそういうイベントも特になかった。そしてクリスマスツリーのライトアップが始まるのをツリーから少し離れた場所で俺は咲夜さんと手をつなぎながら待っている。


 そして16時になった辺りで始まったのがプロジェクションマッピングによる光の演出だ、駅前デパートの壁面と利用し映像が映されて軽快な音楽がなり始めた。それを見ていると時間になったのかプロジェクションマッピングは終了した。


 視線をクリスマスツリーに向けると再びBGMが流れ始めクリスマスツリーのイルミネーションが点灯する。


「綺麗ですね」


「そうね」


 俺と咲夜さんはそれだけ言うと手の感触を確かめるように握り直し、しばらくクリスマスツリーを眺めていた。


「ふむ、主殿きれいなのはわかるがの、昨年同様あの回る乗り物観覧車といったかのアレに乗ってきてはどうかの」


 朱天にそう言われてそれも良いかもしれないと思った、去年はあれだなんていうか色々あったのであまり楽しめなかった気がするからリベンジということでいいかもしれない。


「お姉様今年も観覧車に乗ってみませんか?」


「いいわよ、去年は怜に驚かされたからね」


「うっ、それは言わないで下さい、思い出しただけで居た堪れなくなってしまうので」


「ふふ、それじゃあ早速いきましょうか」


「はい、じゃあ朱天は適当に待てって貰っていいかな」


「良かろう適当にその辺りをぶらついておるわ、呼べばすぐいくでの、何かあればすぐに呼ぶが良いぞ」


「うん、ありがとう」


 俺と咲夜さんは駅ビルの中に入り観覧車のりばまでエレベーターで上がる、観覧車のりばには俺たちと同じ目的なカップルが結構な数並んでいた、待ち時間は30分くらいみたいだ。待ち時間の間は他愛もない会話を楽しむ、順番が回ってきて観覧車に乗り込むとゆっくり上昇を始める。


 観覧車の中から二人で眼下を眺めると、赤青黄色に点灯するクリスマスツリー、そしてイルミネーションで彩られた街路樹が見える。手をつなぎながらそれを眺めていると観覧車が四分の一を過ぎたあたりでイルミネーションから目を放し咲夜さんを見ると同じタイミングでこちらを見たのか目が合った。


 心臓がドキドキしている、去年は俺の思い違いで逃してしまったけど今年こそはという思いがあった。しばらく無言で見つめ合う俺と咲夜さん。遠くで花火が上がっているのかドンという音と共に観覧車内の色を赤や青に染めている。


「怜、私はあなたのことが好きよ」


「はい」


「この好きは姉妹としての好きじゃないし、いにしえの血の繋がりによる好きではないわ」


「はい」


「あなたが元々は男の子とか関係なく、今の怜が……怜だから好きなのよ」


「はい、私もお姉様の事が好きです」


「そう、ならそのお姉様というのはやめて、二人でいるときは名前で読んでほしいわ、他の人がいる前だとそうもいかないでしょうけど二人でいるときはね」


「では咲夜様とお呼びすればよろしいですか?」


「違うわよ、咲夜とだけ呼んで、姉妹でもなく年齢も関係なく対等の存在として私はあなたとありたいのよ」


「えっとその咲夜……さんでお願いできませんか? なんだかその呼び捨てみたいであまり慣れなくて」


「仕方がないわね、それで許してあげるわ」


 そう言って咲夜さんは俺の頬を撫でながら顎に指を添え少し上向に顎クイをする。目元が潤んでくるのがわかる、目の前に見えている咲夜さんの目元も潤んでいる気がする、そして咲夜さんの顔を近づいてくる、自然と目を閉じ俺の唇が咲夜さんのやわらかい唇に触れるのがわかった。


 そのまま俺と咲夜さんは抱き合う、嬉しいという気持ちがあふれるように涙が流れ出す、心が魂が震える、出会うべくして出会った咲夜さんと言う存在を体で魂で心で感じる。これはやばいかもしれないと思ったと同時に俺の位階が一つ上がるのがわかった、そしてそれは咲夜さんも同じだったようだ、魂の触れ合いによって咲夜さんの位階が上がったのが感じられた。


 バッと離れる俺と咲夜さん、想定外の事態に二人して驚く、咲夜さんの顔も驚き顔だ。なんだかやってしまった感が否めない、本当なら石榴の実を食べて位階を上げるつもりだったのに咲夜さんと唇を触れ合わせただけで位階が上がってしまうとは思いもよらなかった。


「怜、私位階が上がってしまったわ、あなたもそうみたいだけど」


「はい私も位階が上がりました、自覚はあまりないのですが多分半神の領域に至ったような感じがします」


「私もそうみたいだわ、変化は感じられないのだけど」


 思いもよらずとうとう半神と言われる領域になってしまったようだ、咲夜さんの方も俺と同調するように位階が引き上げられたように感じられる。


「それにしても、怜と観覧車に乗ると何かがないといけないのかしら」


「確かにおお姉、咲夜さんと観覧車に乗るのは控えたほうが良いですね」


「「あははははは」」


 なんだかおかしくて二人で笑っていると観覧車の扉が開いた、気づけば地上に戻ってきていたようなので急いで二人で観覧車から降りた。


「とりあえず家に帰りましょうか」


「そうね、考えるの後に回しましょう、お祖母様とも話しをしたほうが良いかもしれないわね」


「主殿、何か変化したかの?」


 駅ビルから出ると朱天が待っていた。


「朱天お帰り、その話は家に戻ってからにしようか」


「ふむ、まあよかろう、特に悪い影響などは感じられぬからの」


「まあね、悪いことではないと思うけどどうなのだろうね」


 悪いことではないと思う、だけど俺や咲夜さんにとってはどうなのか判断に迷う所ではある、半神になることにより何が変化したのかによるだろうけど、今は考えても仕方ないか。朱天と咲夜さんと俺はタクシーを拾うと家路につくのであった。

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