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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
6章 最悪と最善の狭間の結末

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第10話 最後の攻防

「みな逃げろ、わしと兄貴で殿しんがりを務める」


 幻夜さんの声に反応しそれぞれ逃走を試みようとした、俺は寝かせたままの織ねぇに駆け寄り抱き上げる。お祖父ちゃんと幻夜さんは俺たちを守るように前へでる。


「コザカシイ、ヒトリトテノガスワケナカロウ」


 女郎蜘蛛はそう言うと、その背中から大量の糸が吹き出し広場を囲むように白いドームを作り出した、咲夜さんが弓で黒い九尾が火球で攻撃しても焦げ目すらつかない、どうやら閉じ込められたようだ。


「そうやら閉じ込められたようじゃの」


「千手姫? 気がついたのですか」


 倒れていたはずの千手姫がいつの間にか立ち上がっている。


「楔の浄化ようやってくれた、その方には礼を言わねばならぬようじゃの」


「今はそんな事どうでも良いです、この状況をどうにかしたいのですが力を貸してもらえますか?」


「言うに及ばずじゃ、女郎蜘蛛にはわらわ達も操られた恨みがあるでの、そうであろう迦陵カリュウ黒狐姫こっきよ」


「うむ」


「そうですね」


 いつの間にか近くに来ていた迦陵と九尾がそう答えた、やっぱり九尾なだけあってちゃんと喋れるんだね、それもなんだろうすごく可愛らしい声だった。一瞬黒狐姫に睨まれた気がするがその視線は女郎蜘蛛の方を向いている。


「さてと行くとするかの、人の子らよ邪魔にならぬように下がっておるが良い、そこな鬼人らよ、わらわ達も蜘蛛退治に加えてもらうぞよ」


 そう言って千手姫が飛ぶように駆け出し、それを追うように切られたはずの腕が回復した4本腕の迦陵が追随、九尾はその場で火球を複数浮かび上がらせると女郎蜘蛛に放った。


 俺は織ねぇを抱いたまま戦いの邪魔にならないように後ろに下がることにした、俺の周りに咲夜さんと明美ちゃん、桜さんに楓、刀矢くんに茜さんが集まってくる。俺は少しだけ回復した神気を使い全員を囲うように結界を張り戦いを見守ることにした。


 防戦一方だったお祖父ちゃんと幻夜さんだけど、千手姫たちが加わることで余裕が出来たようでなんとかしてクモ糸を切ろうとしているがどうも切ることは出来ないように見える。黒狐姫の火球も無数に張られた糸に阻まれ女郎蜘蛛までは届かなかったようだ、そして火球でも糸を燃やす事は出来なかったみたい。


 女郎蜘蛛は足場の糸を使い縦横無尽に移動しながら攻撃をしているけど、大体の攻撃は千手姫の手で相殺されている。朱天とお祖父ちゃんに幻夜さんと迦陵はなんとかクモ糸を足場として攻撃しようとしているが、女郎蜘蛛の移動速度についていけない見たい、黒狐姫は火球で攻撃をやめて尻尾を刃物に変えてクモ糸を切ろうとしているがやはり切ることが出来ないみたい。


 しばらくそういう攻防が続いていたけど時間は俺たちの方に味方したようだ、少しずつ女郎蜘蛛の動きが遅くなってきているように見える。


「アア、クヤシヤ、ワレノイノチモココマデノヨウジャ」


 そう叫びながら全方向に糸を飛ばしながら上空へ上り糸のドームの天井からぶら下がる、天井までの距離は50mくらいだろうか、流石にこちらがわからあの高さまで攻撃する手段がないので見守ることしか出来ない。いつの間にか女郎蜘蛛の全身からは血が流れているようでクモ糸を少しずつ赤い色へと染めていく。


「ソウジャノ、サイゴニ、キサマラヲ、ミチズレニ、シテクレヨウ」


 女郎蜘蛛の全身が血で赤く染まると同時に赤く染まった糸がドーム内で回転し始めた。


「これは危険じゃ、みな集まってなんとか凌ぐぞえ」


 千手姫の言葉に従うようにうみんな俺の近くによってくる。他より大きかった黒狐姫は変化の術を使い人形ひとがたとなり迦陵の肩にまたがっている、その姿は6歳位の少女と変わっている、めちゃかわいいなんて思っていたら睨まれた、その姿も可愛いのだけど。


 俺は全員を囲むように結界を出来るだけの強化を試みる。


「お姉様、明海ちゃん、力を貸してください」


「任せなさい」


「ここが正念場だね」


 咲夜さんが弓の弦をピンと弾く、明美ちゃんは笛を吹く。


「私もお手伝いします」


 星来さんが札を東西南北と上方へ放ち呪文を唱える手を組む。


「木火土金水にて相生の理にて、我らを守りたまえ、 急急如律令」


 俺の結界がそれにより強化されるのがわかった。結界には先程から何度も糸がぶつかっているのが、今のところちゃんと防げているようだけどガリガリと嫌な音が響いている。結界が少しずつ女郎蜘蛛の血で赤く染まって結界の外が見えなくなっていく。


 どれくらい時間が過ぎただろうか、結界にぶつかる糸の間隔が少しずつ空いてきているような気がする。そしてそれから数分後結界への攻撃がやんだようだ、その後も念のため結界を張ったまま様子を見る。


「ふむ、女郎蜘蛛は死んだかの?」


「少し待ってください確認してみます」


 楓がそう言ってメガネを外し赤色で染められた結界へ視線を向けて周りを見回す、その視線が上へとむいた時「ひっ」と息を飲む声が聞こえた。桜さんがそんな楓に子をかける。


「楓どうしたの、大丈夫?」


「気をつけてください、上にいます!」


 その声と共に結界がギシギシと軋む。俺はありったけの神気で結界を強化するが結界の軋みは止まらない。


「皆さん、ダメです、結界が壊れます」


 結界内の全員が武器を構えると同時に結界が割れた。


「クハハハハハハハ、ワラワトトモニ、シヌガヨイ」


 女郎蜘蛛の叫びとともに四方八方から赤く染められた糸が俺たちに向かってくるのが見えた。

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