*papers―書類―
外に出ると、辺りは少し薄暗くなっていた。
コインロッカーを後にしてからは、再び電車に乗り、コンビニに寄ってから家に帰る。
時刻はまだ七時過ぎ。
みんなまだ仕事中だよな、なんて考えながら、少し得した気分になったり。
駅からしばらく歩くと、車の通りが少しまばらになったころに、三階建てのアパートが見えてきた。
壁は長年風雨にさらされたために黄ばんでおり、鉄の階段は錆びつていて、ポストのメッキは所々はがれている。
俺はその年季の入ったアパートの一階の角部屋に住んでいる。
家賃月二万五千円、6畳の1LK。
まるで貧乏な学生だ。
しかし、駅もコンビニも割と近く、古いこと以外は特に不便もない。
それに、こんなボロアパートなら泥棒も近づかないし、なんだかんだで好条件だったりする。
立て付けが悪くなり、開くと僅かに軋むドアを開けて部屋に入る。
薄暗い部屋の電気を付け、鞄を畳張りの床の上に投げおき、その隣にどっかと座り込んだ。
コンビニの袋を布団の掛かっていないこたつテーブルの上に置き、弁当を開ける。
簡易な夕飯を食べながら、鞄の中から封筒を取り出して封を丁寧に破いて開けた。
中には薄い紙が二枚。
それを並べて床に置く。
一枚は、少年の顔写真付きの、個人情報がびっちりと綴られたもの。
名前・性別・年齢から始まり、通っている学校・経歴・家族構成・家族関係・友人関係・持病の有無…
それに薄い灰色の紙に、少年と同い年くらいだろうか、少女の同様のものがもう一枚。
少女の方には両親と思われる男女の写真もクリップで留めてある。
「こいつが今回の…。まだ若いのにご苦労なことで」
ほぼ無意識にそう呟いてから、資料の内容に目を通していった。
そのままどのくらいたったのだろうか、ふと気が付いた時にはいつの間にか時間は過ぎ、部屋の外からは風がアパートの壁に吹き付け、窓ガラスが静かにガタガタと揺れていた。
それまでにらめっこしていた二枚の書類を重ねて封筒に戻し、倒れるように隣に敷きっぱなしの布団に横になると、日頃の疲れもあってかすぐに眠気が襲う。
眠い頭で、これから数日の段取りをぼんやりと考えた。
しかしいつの間にか、俺の意識は闇へと沈んでいっていた。
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