第6話♪肩パン祭り♪
冒険者ギルドで暴れ猪の素材を買い取ってもらい、手に入ったズッシリと重い金貨の袋。
夕方の爽やかな風が吹き抜ける中央広場で、桜子さんがその袋を僕の手にポンと乗せた。
「はい、サン。今日の臨時収入のぶんよ!」
「えっ!? 僕、解体をしただけなのに、こんなに貰えませんよ!」
「何を言ってるの。サンの神業解体と絶品BBQのおかげで手に入ったお金なんだから、受け取る権利があるわ」
「そうそう! というわけでサン、今日はこの金貨で市場の美味しいもの買い占めようぜ!」
アーシェスさんがニカッと八重歯を見せて笑い、僕の肩にポンポンと軽快な肩パンを二発入れてきた。
お姉さんたちに連れられてやってきたのは、夕方の活気に満ちた『王都の大市場』だ。
露店からは香ばしい焼き肉の匂いや、揚げたてのパンの甘い香りが漂ってきて、歩いているだけでお腹が鳴ってしまいそうになる。
「わぁ……美味しそうな食材がいっぱいだぁ……!」
新鮮な野菜や高価な珍しいスパイス、ツヤツヤした果物が並ぶ露店に、僕は目を輝かせた。
料理人としてじゃなくても、このたまらなく香ばしい匂いには到底勝てそうにない。
「ふふ、サンったら本当に料理が好きなのね。あ、何食べる? お姉さんが買ってあげるわ!」
「えっ、僕が出します!」
「いいの! お姉さんたちに任せて、サンは美味しい料理を作るために、まずは美味しい料理をたくさん食べて!」
「桜子の言う通り! サン、あっちの焼き鳥屋で全種類買おう! 私が全部奢ってやるからな!」
「あ……サン……飲み物。私、買ってあげる……」
お姉さんたちが競うように僕を甘やかそうとしてくる。
なんだか照れくさくて、心がポカポカと温かくなった。
「みなさん、ありがとうございます! じゃあ、お礼に僕から食材を見繕って、出来立てのおやつを差し入れさせてください!」
僕は市場の角にある人気の露店に走り、甘酸っぱい果汁を搾った冷えた果実水と、熱々の『ポテトとチーズの揚げパン』を人数分買ってきた。
「はいどうぞ! 火傷しないように気をつけてくださいね」
「まぁ……ありがとう、サン」
「んじゃ、いただきまーす!」
アーシェスさんが熱々の揚げパンを大きく頬張る。
サクッという心地よい音とともに、中からとろ〜り伸びる濃厚なチーズとほくほくのポテトがあふれ出た。
「はふっ……熱っ! でも、うっまーーーい!! 外はサクサクで中はモチモチだぁ!」
「ん……甘酸っぱいジュースと相性最高。サンの差し入れ、心にしみる……」
「甘いものと温かいご飯……連戦の疲れが本当に吹き飛んでいくわね……」
冷たい果実水をゴクゴクと飲み、みんなで顔を見合わせて微笑み合う。
夕日に染まる市場の中、こうやって賑やかにお買い物をして笑い合えるのが、たまらなく愛おしい。
「サンと一緒にいると、なんだかただの女の子に戻れた気がするわ……」
桜子さんがジュースのカップを両手で包みながら、柔らかい笑顔でつぶやいた。
第一線で街を守り続けてきた最強パーティの彼女たち。その肩にのしかかっていた重い緊張感が、僕の周りで少しずつ解けていくのが分かった。
「ふふ、みんなで食べるから美味しいんですよね! 宿に戻ったら、今日買った食材で特製の夕飯を作りますからね!」
「「「「サン、すぐ戻ろっ――!!」」」」
お姉さんたちに肩パンされまくり僕たちは宿へダッシュで向かうのだった。




