でます
『廻天』
第二十四話 休職
サイレン。
近づく。
店内。
十二。
床。
倒れている。
レン。
壁。
寄りかかる。
澪。
椅子。
座る。
カイ。
真紀。
前。
正座。
「……。」
真紀。
腕。
組む。
「説明。」
カイ。
「はい。」
「まず。」
真紀。
受付。
指す。
「受付。」
「はい。」
「壁。」
「はい。」
「鏡。」
「はい。」
「ベッド。」
「はい。」
「床。」
「はい。」
「天井。」
カイ。
上。
見る。
「……。」
穴。
ある。
「はい。」
真紀。
「何したの。」
カイ。
「戦闘。」
レン。
吹く。
「そのまま言うな!!」
真紀。
レンを見る。
「あなたも?」
「……。」
「はい。」
澪。
静かに。
「私もです。」
真紀。
「三人で?」
「はい。」
「店で?」
「……はい。」
真紀。
深呼吸。
⸻
その時。
十二。
指。
僅か。
動く。
誰も。
気づかない。
いや。
一人。
気づく。
カイの内側。
シュウ。
『……。』
十二。
流れ。
弱い。
《穿牙》。
直撃。
ではない。
寸前。
止めた。
それでも。
人工経路。
崩壊。
している。
このまま。
本部。
来れば。
拘束。
解析。
尋問。
そして。
敵組織。
十二を。
回収。
しに来る。
あるいは。
前回と。
同じ。
口封じ。
⸻
シュウ。
十二を見る。
『カイ。』
返事。
ない。
カイ。
真紀に。
怒られている。
『……悪い。』
シュウ。
静かに。
触れる。
カイの。
意識。
ほんの。
一瞬。
沈める。
⸻
カイ。
目。
伏せる。
次。
上げる。
レン。
気づく。
「……シュウ?」
シュウ。
「静かに。」
レン。
顔。
変わる。
「何する。」
シュウ。
十二。
近づく。
澪。
立つ。
「シュウ。」
「問題ない。」
「説明してください。」
「後で。」
十二。
胸。
触れる。
⸻
《観流》。
見る。
壊れた。
人工経路。
切れ。
絡まり。
逆流。
シュウ。
息。
吐く。
「……雑だな。」
十二。
薄く。
目。
開く。
「……お前。」
シュウ。
「喋るな。」
「シュウ……。」
「そうだ。」
十二。
笑う。
僅か。
「本当に。」
「いた。」
シュウ。
「残念だったな。」
⸻
手。
置く。
《解流》。
崩壊。
絡まり。
ほどく。
《結流》。
切れた。
最低限。
繋ぐ。
そして。
《流転》。
滞った。
異能。
生命。
身体。
流れ。
元へ。
戻す。
完全。
ではない。
戦える。
ほどでもない。
ただ。
歩ける。
程度。
⸻
レン。
「おい。」
シュウ。
「何だ。」
「逃がす気か。」
「そうだ。」
レン。
刀。
持つ。
「理由。」
シュウ。
十二を見る。
「こいつを。」
「本部に渡したら。」
「どうなる。」
澪。
「尋問。」
「検査。」
「人工経路の解析。」
「敵組織の情報収集。」
シュウ。
「その前に。」
澪。
止まる。
前回。
思い出す。
胸。
黒い。
結晶。
口封じ。
死亡。
「……。」
シュウ。
「また殺される。」
⸻
十二。
シュウを見る。
「何で。」
シュウ。
「知らん。」
「俺は。」
「お前を殺すために――」
「俺ではない。」
十二。
止まる。
シュウ。
「お前が殺すために作られたのは。」
「カイだ。」
「俺ではない。」
一拍。
「だから。」
「俺が逃がす。」
レン。
「屁理屈だろ。」
シュウ。
「そうだ。」
⸻
十二。
立つ。
ふらつく。
澪。
止めない。
レン。
見る。
「澪。」
「私は。」
少し。
考える。
「見ていません。」
レン。
「お前なぁ……。」
シュウ。
「助かる。」
⸻
裏口。
十二。
向かう。
途中。
止まる。
「シュウ。」
「何だ。」
「カイに。」
「……。」
言葉。
探す。
結局。
「何でもない。」
シュウ。
「そうか。」
十二。
消える。
⸻
数秒。
カイ。
戻る。
「……。」
見る。
床。
「十二は?」
レン。
シュウを見るように。
カイを見る。
「……。」
澪。
「逃走しました。」
カイ。
「え。」
シュウ。
内側。
『俺が逃がした。』
カイ。
止まる。
(なんで。)
『死ぬからだ。』
カイ。
「……。」
少し。
黙る。
(そっか。)
『怒らんのか。』
(別に。)
シュウ。
『……そうか。』
⸻
そして。
本部。
到着。
榊。
岳。
他。
数名。
真紀。
さらに。
警察。
店。
地獄。
カイ。
「終わった。」
レン。
「何が。」
「人生。」
⸻
榊。
店内。
見る。
「かなり。」
「壊れていますね。」
カイ。
「修理いくら。」
「分かりません。」
「営業できないよね。」
「無理でしょうね。」
カイ。
しゃがむ。
「……。」
「予約。」
頭。
抱える。
「全部キャンセル……。」
真紀。
「まず店心配しろ。」
「予約も店だよ。」
⸻
その時。
本部。
一人。
入ってくる。
作業着。
五十代。
くらい。
眠そう。
工具箱。
持っている。
カイ。
「誰。」
榊。
「修復担当です。」
「修復?」
男。
店。
見る。
「壁。」
「床。」
「設備。」
「配管。」
「電気。」
「鏡。」
「……。」
一周。
見る。
「八分。」
カイ。
「何が。」
「直すの。」
「……。」
「八分?」
⸻
男。
手。
壁。
置く。
異能。
発動。
《復元》。
ズズズズズ。
壁。
戻る。
カイ。
「……。」
床。
塞がる。
鏡。
破片。
浮く。
逆再生。
みたいに。
戻る。
受付。
組み上がる。
ベッド。
戻る。
天井。
閉じる。
照明。
点く。
カイ。
「……。」
真紀。
「……。」
スタッフ。
「……。」
レン。
「便利だろ。」
カイ。
「便利で済ませていいのこれ?」
⸻
七分。
四十一秒。
男。
工具箱。
閉じる。
「終わり。」
カイ。
店。
見る。
完全。
昨日。
いや。
戦闘前。
そのまま。
真紀。
受付。
触る。
「……。」
「傷もない。」
男。
「じゃ。」
帰る。
カイ。
「ちょっと待って。」
男。
「何。」
「うちで働かない?」
「嫌。」
即答。
帰る。
⸻
カイ。
店。
見る。
直った。
全部。
元通り。
明日。
営業。
できる。
予約。
キャンセル。
しなくていい。
普通なら。
喜ぶ。
でも。
カイ。
黙っている。
真紀。
気づく。
「カイ。」
「何。」
「どうした。」
「……。」
⸻
受付。
ここ。
十二が。
来た。
客。
スタッフ。
いた。
真紀も。
いた。
今回。
誰も。
怪我。
しなかった。
でも。
次。
分からない。
敵は。
カイを。
探して。
店に来た。
⸻
カイ。
「店長。」
「何。」
「俺。」
少し。
考える。
「一回。」
「店出る。」
真紀。
表情。
変わる。
レン。
澪。
黙る。
⸻
真紀。
「辞めるってこと?」
「違う。」
即答。
「辞めない。」
「じゃあ何。」
「休む。」
「どのくらい。」
「分からない。」
真紀。
カイを見る。
「理由。」
カイ。
店内。
見る。
スタッフ。
客。
真紀。
ここ。
自分が。
帰る。
場所。
「今回。」
「俺を探して。」
「ここ来た。」
真紀。
黙る。
「また来るかもしれない。」
「次。」
「営業時間かもしれない。」
「お客さん。」
「いるかもしれない。」
「スタッフも。」
⸻
カイ。
手。
見る。
エステ。
するための。
手。
同時に。
敵が。
欲しがる。
能力。
持っている。
「俺がここにいると。」
「ここが危ない。」
⸻
真紀。
しばらく。
何も。
言わない。
そして。
「分かった。」
カイ。
「……。」
「ただし。」
真紀。
指。
一本。
立てる。
「退職は認めない。」
カイ。
「うん。」
「勝手に辞めたら。」
「家まで行く。」
「怖。」
「連絡。」
「する。」
「生存報告。」
「する。」
「戻れるようになったら。」
真紀。
店。
指す。
「戻ってくる。」
カイ。
「……うん。」
真紀。
「以上。」
⸻
美奈子。
翌日。
予約変更。
連絡。
受ける。
「カイ君。」
「しばらく休み?」
スタッフ。
「はい。」
「そう。」
少し。
黙る。
「じゃあ。」
「戻ってきたら。」
「また予約取ります。」
それだけ。
⸻
夜。
カイ。
店。
最後。
荷物。
まとめる。
制服。
ロッカー。
置く。
持って。
いかない。
真紀。
「制服。」
「置いとく。」
「なんで。」
カイ。
「戻るから。」
真紀。
少し。
笑う。
「そう。」
⸻
外。
レン。
車。
待つ。
澪。
助手席。
カイ。
後部座席。
乗る。
レン。
「本部行くぞ。」
カイ。
「嫌だ。」
「この流れで!?」
「本部住むのは嫌。」
「じゃあどこ行くんだよ!」
カイ。
「知らない。」
澪。
振り返る。
「少なくとも。」
「自宅も。」
「安全ではありません。」
カイ。
止まる。
「……。」
シュウ。
内側。
『カイ。』
(何。)
『家の毛糸。』
カイ。
「……。」
レン。
「何だよ。」
カイ。
顔。
青い。
「毛糸。」
レン。
「は?」
「家の毛糸どうすんの。」
レン。
ハンドル。
叩く。
「今それかよ!!」
シュウ。
内側。
珍しく。
深刻。
『あれは置いていけん。』
(量分かってる?)
『だから言っている。』
澪。
静かに。
スマホ。
出す。
「トラック。」
「手配します。」
レン。
「お前も乗るな!!」
⸻
車。
走り出す。
店。
遠く。
なる。
カイ。
後ろ。
見る。
戻る。
場所。
そこに。
ある。
でも。
今は。
離れる。
敵。
十二。
実験体。
組織。
旧世。
《廻天》。
そして。
七つ。
日常は。
終わった。
少なくとも。
しばらくは。
⸻
同じ頃。
街。
裏路地。
十二。
壁。
寄りかかる。
胸。
押さえる。
シュウが。
戻した。
流れ。
まだ。
残っている。
十二。
手。
見る。
「……。」
殺すため。
作られた。
その相手に。
殺されず。
その中にいる男に。
助けられた。
「意味。」
「分かんねぇ。」
その時。
奥。
足音。
十二。
顔。
上げる。
暗闇。
一人。
立っている。
十二。
表情。
凍る。
「……十三。」
声。
返る。
「十二。」
一歩。
出る。
首元。
刻印。
人工経路。
しかし。
構造。
十二とも。
カイとも。
違う。
十三。
笑う。
「逃げたんだって?」
十二。
構える。
十三。
首。
傾ける。
「回収しに来た。」
そして。
もう一人の。
実験者。
動き出す。
――第二十四話・了




