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第一話 始まり

今回の作品が初めての投稿となります。もともとプロットはあるのですが、幼い頃に書いたものですので添削したり展開を変えたりで更新頻度は遅めになっちゃうかもです。そんなですが、どうぞお付き合いのほどよろしくお願いします。

ルークは追われていた。


村には炎が燃え盛り、人々が逃げ惑っている。戦士たちは逃げ遅れた人たちを助け、あるいは──ルークを殺そうと必死に探していた。


ルークの手は、血でべっとりと汚れていた。

なんでこんな事になったんだ。あれをやったのは俺じゃない。あんなの俺は知らない。俺じゃないんだ。


「俺は一体、何なんだ……!」


激しい炎の照り返しの中、ルークの澄んだ水色の瞳だけが、絶望に激しく揺れていた。その時、近くの物陰からカサリと音が聞こえた。ルークは咄嗟に息を潜め、腰の剣に手をかける。


もう後戻りができないのなら、躊躇する必要などない。

そう思い、ゆっくりと近づく。その時、物陰から一気に人影が飛び出してきた。


「がはっ……!?」


その影に猛烈な勢いで押し倒され、ルークは地面に組み伏せられた。身動きが取れない。

ルークの顔を覗き込んできた、その人物の目は──。



──数日前。

ここルビー村では、3年に一度開かれる、村の守り神ギュルデルを祀る祭りが開かれていた。


「ついにこの日がやってきたな、ルーク!」

「ああ、この日のためにずっと道場で準備してきたからな」


熱気に包まれた大通りを歩きながら、隣を歩くジャックが朗らかに笑う。


ここフューチャー島は、ドラゴンやペガサスといった伝説の魔獣たちが息づく島だ。人々は魔獣を狩り、あるいは共に暮らしている。

今日はその魔獣の襲撃に備えるための、ルビー村特産の鋼を使った武器が屋台にズラリと並び、外からも多くの冒険者が買い付けにやってきていた。


だが、全員が注目しているメインイベントは他にある。

16歳になった若者たちが一人前になるために競う、真剣勝負のトーナメントだ。


「俺達のビクトリーロードはまさにここからだぜ!」

「おいジャック、気が早すぎる。まずは予選を勝ち抜かないとだろ」


苦笑するルークだが、その少し明るい茶髪の下にある瞳には、確かな闘志が宿っていた。

何しろルークは、同年齢相手なら20戦負けなしを誇る、村一番の剣の使い手なのだ。対するジャックも、一回り大きい体から繰り出されるパワーでルークに続く戦績を持っている。


二人は間違いなく、今年の優勝候補の一角だった。


「そう気張んなって。それにほら、噂だと今回は、あの『灰色の鋼鉄グラウ・シュタール』が帰ってきてるらしいぜ?」

「えっ……あのSランク冒険者チームが!?」


ルークの目の色が変わった。冒険者協会の上位1%未満しかいない伝説の存在だ。


「印象に残ったら、メンバーの一員になれるかもしれないぞ!」

「……いや、Sランクチームがわざわざオファー目的で来るか? もっと別の目的があるんじゃ……」


「別のって、何だよ」


「うーん、惜しい線言ってると思うけどね。でも、男の子ならもっと大層なロマンを追いかけなさいよ」


上から降ってきた小気味いい声に、俺とジャックは揃って顔を上げた。

そこにいたのは、道場の一個上の先輩であり、村一番の槍使い──テールだった。


彼女は長い髪をいじりながら、からかうような目で俺たちを見下ろしている。

俺は剣の腕に自信があるけれど、この先輩にだけは一度も勝てたことがない。今年の最有力優勝候補だ。


「テール先輩。もっと大層なロマンって……何を知ってるんですか?」


俺が尋ねると、テールは得意げに人差し指を立てた。


「あのね、前線で特殊な力をもった異端の戦士が暴れたらしいの。そいつだけで、国が認定するAランク相当の冒険者10人分を壊滅させたっていう大事件。その警告と調査に、協会が動き出したって話よ」


「そ、そりゃお前のおじさんが言ってたのか?」

ジャックが身を乗り出すと、テールはふふん、と鼻を鳴らしてジャックの額を指先で小突いた。


「当たり前でしょ? もうちょっと頭を使いなさいよジャック。そんなんじゃ本戦に上がる前に頭のいい奴に騙されて落とされるわよ。冒険者協会の重役であるうちのパパが言ってるんだから、情報の確度は100%」


そう言ってから、テールは少しだけ表情を和らげ、俺とジャックの顔を交互に見た。


「……まぁ、あんたたち二人が、あの『灰色の鋼鉄』に目をつけられて、さっさと村の外にスカウトされちゃうのを心配して見に来てあげた、っていうのも、ちょっとだけあるんだけどね」


「え?」


「何よ、変な顔しないでよ。あんたたちがいない道場なんて、私の練習相手がいなくなって退屈でしょ? ……だから、絶対に予選で無様な負け方は許さないから。特にルーク」


テールは俺の前に一歩近づくと、悪戯っぽく微笑んだ。


「決勝で私にリベンジするんじゃなかったの? 楽しみに待ってるんだから、途中で折れたら承知しないわよ」


「……っ、分かってます。先輩の槍、今度こそ叩き折るつもりでいきますから」


「ふん、口だけは一人前ね。──あ、そういえばあなた達、武器はもう買ったの? ぐずぐずしてたら、屋台の上物は全部よその冒険者に売り切れるわよ」


「やべ! 早くいこうジャック! ありがとなテール先輩!」


二人は一目散に走り出したが、武器屋の屋台はすでにパンパン。人混みに押し出されてしまったルークは、諦めて近くにある黒曜石のギュルデル像へと向かった。


威厳たっぷりの像の前で、ルークは静かに目をつぶる。

(どうか、俺にチャンスを下さい。今回で一人前になれますように──)


カチャン。


澄んだ金属音が響き、目を開けると、先ほどまで何もなかった像の足元に、立派な片手剣がぽつんと置かれていた。

驚きながらも柄を握ると、恐ろしいほどに手に馴染む。シンプルな作りだが、名刀の雰囲気が肌に刺さるようだった。


「……天からの、贈り物か?」


ルークは導かれるように、その一本の片手剣を腰にこしらえた。


「ルーク! 探したぞ!」


背中に立派な弓を背負ったジャックが走ってくる。


「ジャック、やっぱり弓で勝負するんだな」

「ああ、弓は男の戦士らしくないって言われるけど、そんなことないって俺が証明してやるんだ」


ジャックが固く拳を握りしめる。


「ああ、絶対に勝とう」


ルークは腰の新しい相棒──片手剣の手応えを確かめながら、熱気に満ちた予選会場の門をくぐった。


──そこには、彼らの運命を狂わせる数々の敵が、冷酷な笑みを浮かべて待っていた。

いかがだったでしょうか。今回が初めての作品と云うこともあり、どのようなペースで進めていいのかわからず、説明のパートが多いところや逆に会話だけのパートなど、色々ばらつきがあったと思いますが、だんだん修正していきます。さて、次からはルークたちの予選トーナメントを書いていきますが、冒頭にも書いた通り、このトーナメントが終わったとき、ルークは村を追われる立場になります。それは一体なぜなのか。ルークは何をしたのか。そもそも予選をルーク、ジャック、テールは勝ち上がれたのか。そして前線から帰ってきた灰色の鋼鉄の目的は何なのか。これらの他に、主要キャラクター3人の外見などの深堀りも少し入れようと思っています。そこら辺も楽しみにしていただけると幸いです。また、感想などがありましたら遠慮せずどんどんください。執筆の励みになります。それではまた、次話でお合しましょう。

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