合間エピソード ──ユウ救護、二人の祈り──
雷帝ゼウガルの雷槍が大地をえぐり、
世界が白く塗りつぶされた——その直後。
「ユウ!!!!!」
リリアが叫び、
弾き飛ばされたユウの身体へ走り寄った。
服は破れ、腕には深い火傷。
意識は朦朧としている。
「ユウ……ユウ!! しっかりしてよ……!!」
リリアは震える手でユウの腕を掴む。
その手が……氷のように冷たい。
「ダメ……ダメだよこんなの……っ」
涙がぽたぽたとユウの頬に落ちた。
◆ エルザの焦り
「どいて、リリア……!!!」
珍しく声を荒げてエルザが駆け寄る。
彼女は普段の冷静さを完全に失っていた。
「ユウッ……どうして……どうして無茶するの……!?」
エルザの両手から氷の魔法が優しくユウの傷を包む。
しかし——
その手も震えていた。
「治癒魔法が……うまく……!
お願い……応えてよ……ユウ……!」
氷の女王が泣いていた。
ユウの呼吸は浅い。
消えてしまいそうな頼りなさ。
胸の奥が締めつけられる。
◆ 二人の言い合い(涙混じり)
「ユウは……私の……大切な人なの……!」
リリアは泣きながら叫ぶ。
「違う……私だって……!!
ユウに救われた……
あのときの温かさ……絶対に忘れない……!」
エルザも必死だった。
二人の声は震え、涙で滲む。
そして気づく。
二人とも……
ユウが大切で仕方ない。
((……ユウを失いたくない……))
敵対じゃない。
恋敵じゃない。
“同じ人を本気で想っている者同士の涙”だった。
◆ ユウ、かすかに意識を戻す
「……リ、リリア……エル……ザ……?」
微かにユウが呟いた。
「ユウ!!!」
「ユウ……!」
二人の顔がぱっと明るくなる。
「よかった……本当に……よかったぁ……」
リリアは涙を止められない。
「……怖かった……あなたが……消えちゃうかと……」
エルザも思わずユウの手をぎゅっと握る。
ユウは弱い声で言う。
「二人が……呼んだから……戻れた……みたい……」
「「ッ……!!/////」」
二人は顔を真っ赤にした。
◆ 二人からの“お願い”
リリアはユウの手を胸の上でぎゅっと握り直す。
「お願い……もう自分だけで戦おうとしないで。
私……絶対支えるから……!」
エルザも涙を拭って、ユウの額に手を当てる。
「次は……私たちも一緒に戦うの。
あなただけを傷つけるなんて、もう許さない……」
二人の声は、
雷帝の暴風の中でも温かかった。
「……ありがとう……二人とも……」
ユウはそっと微笑んだ。
その微笑みに——
リリアは胸が熱くなり、
エルザは頬を染める。
二人はユウの両側にそっと寄り添い、
しばらく離れようとしなかった。




