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どうしようもなく救いがない世界  作者: 十ろろ昆布
第一部 そうだ、宝探しをしよう
9/11

これからどうする?

『今回のフィールドは森林遺跡です。勝利条件または、エリア条件に注意して下さい』






これから先輩たちの試合が始まるのか~楽しみだなあ、って辺り一帯が全部木で覆われて見えないけどなんで!?

ここ観客席じゃなかったの?これじゃあまるで()()()()()()してるようなもんじゃん!

隣を見ればあかねも同じような感想を抱いているような顔でこちらを見ていた。


「これどうする?」


「まずは安全確認からしたほうがいいの、かな?」


珍しくあかねがテンパってて思考が整理しきれていないようだ。

そもそも私たちって転送陣?ってやつに乗った記憶ないし、もし仮に事故だとして他にも何人か観客席の方には人はいたから、私たち2人だけってわけではなさそう。


「薫は何でそんなに平気なの?」


そう言われましてもな~、なんで平気かなんてこれにつきる。


「今日はもう疲れた!早く寝たい!!」


「ごめん、薫に聞いた私が馬鹿だったわ」


「ばかって言った方が馬鹿なんです~!」


「はいはい、私は所詮馬鹿ですよ~」


先に煽っておいて何開き直ってんだ!こっちのストレスしか溜まらない攻撃するのやめなよ。イライラするからさ!

しかし、それにしたってここ、


「何か環境音うるさすぎない?」


「森林なんだからそれぐらいは設定されてあるんじゃないの?」


それにしたって鳥とか虫の音があまりにも耳に触る。

しかも木がミシミシいってる音もどこからか微かに聞こえてくるし、あまりにもリアルすぎるけどなあ。


「ねえ、なんか変な足音が聞こえてこない?」


「うーん、ごめん、わかんないや」


あちこちで先輩たちが戦っている戦闘音のような爆発音が聞こえてくることもあって、正確に音をとらえきれない。

けど、こういう時のあかねの嫌な予感って結構当たるから油断できない。

そもそもここって現実の世界なのか、それとも創られた世界なのかよく分かんないし、どうすれば出られるの!?


ドスン、バキッ。


「すごい嫌な音が後ろから聞こえてきてるって!」


何この音!明らかに自分達より大きめのサイズがこっちに向かって来てるの!?

でも、今までこの学校で起きてることから考えると誰かの能力なんだよ。


「い、いや、これも先輩達の力なんだよ、キット、ウン、ソウニチガイナイ」


「薫、現実みた方がいいよ!これマジでヤバいやつだって!」


ゆっくり後ろに振り返るとそこには青い恐竜らしきものが木の上からこちらを見ていた。




「グギャアアアアァアアアアア」


これ絶対人間食べてる系のモンスターじゃん!!!









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


回想終わり!

てかいつまで追ってきてんの!かれこれ10分以上は全力で逃げてるのに全然差が開かないし、誰も助けにきてくれない。このままじゃいつか食べられる運命じゃん!


「あ、あかね、この、じょうきょう、どう、にかなん、ない?」


「あるには、ある、けど、やって、みる?」


「やる!」


「なら、なにがなん、でも、まっすぐ、はしる!」


真っ直ぐ走るにも木の根や枝を避けながらはこれ以上の速さは期待できない。

何か横の方で赤い光が2つ見えた気が……。どんどん近づいてきてるね!これ以上は無理無理無理!一応速度はこちらの方が速いようで追い付かれる心配はないが、ちょっと増えるのは想定外!

後ろは振り向けないから、どんな姿か分かんないけど、同じやつじゃありませんように。


「薫!後ろ見てみて」


「この状況で!?」


さすがにあかねとはいってもこの状況で振り返ることが結構危険なのは分かっているだろう。でも逃げるの優先では?てか、さっきから後ろの音うるさぎない?うう、自分の自我がだんだん好奇心>危機感になってきてる。

もういいや、後ろ見よっと。死んだらあかねのこと恨めばいいし!


「おお、これが自然界ってやつですか」


どうやら先ほどまで横から目を光らしていた物はどうやら狼?だったようだ。でもさっき光ってた数は2つだけだったから1匹しかいないと思うが何故か10匹ぐらいの数がそこにはいた。狼?でまさかいわゆるGさんのような現象が発生するもんなら私は外には出たくない。

狼?側は上手く木の枝や幹で跳び回りながら傷を与えているようで、対して恐竜は下手に暴れずに自分の近くに着地しようとしているやつを1匹ずつ頭や尻尾を使いながら応戦していた。動物はここまで賢いのか~。余計に家に閉じ籠りたくなってきた。


ん?というか今の状況的に逃げるチャンスなのでは?

少し観戦して息も少しは整ってきたし、逃げるのは今しかない。どうやらあかねの同じようで丁度目が合った。互いにアイコンタクトをし、逃げ出すタイミングを見計らう。

少しずつだけど後ろに下がりながら距離をとっていく。

このままこっちに気がつかないままでいて欲しい。そう願ったけど、どうやら神様はさっき見捨てたことを根にもっていたらしい。

現に恐竜の口元が赤く光始める。これ絶対逃げた方がいいやつじゃん!


「薫!」


()()()()()()!」


お互いにすべきことを行い、空に避難する。

その瞬間私達のいた場所が焼け野はらになり、狼っぽいやつらのほとんどは燃え尽きていた。


「おおー!(ブレス)とかもちゃんとするのか」


本当に竜は息を放つもんなのか~。ゲームでしか見たことなかったけど、結構迫力があるもんだ。

焼け跡からして射程はだいたい200mってところかな。走ってたら間に合ってないかもしれない。

尚、避けれなかったらどうなっているからなんて考えないものとする。

あとは空を飛んだら完璧だね。


「そろそろ落ちるから足下気をつけて」


もうそんな時間か。

何か生き残ってた狼が何かに変身してたように見えたからこの先どうなるか気になってたのに。


しかし現実は私達を休ませてはくれないらしい。

先程息をはいた竜がこちらをじっと見つめていた。


これは厄介なことになってしまったようだ。

いったいいつになったら家に帰れるようになるのだろうか。

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