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どうしようもなく救いがない世界  作者: 十ろろ昆布
第一部 そうだ、宝探しをしよう
11/11

無理難題はこりごりです!

このままあかねと一緒に死ぬのは嫌だ、でもお互い魔力がなくてあいつを倒せる手段もない。

頼みの綱であった先輩たちによる救援もなさそうだ。


「もう覚悟きめるしかないか」


ほとんど体力がないはずなのに剣を握って私の前に立ってくれる。

あかねはいつもすごいなあ。

自分だって怖いのに私を生かそうとしてる。私に道を示してくれる。

だったらそれに、私は答えるしかない!


「先に倒れた方がスイーツ食べ放題を奢るってのはどう?」


「いいねそれ、私行きたいとこあるからそこにしよう」


「財布の事情的に5000が限度だからそのつもりで」


こんなたわいない賭けをして状況は変わんないけどやる気は出る。

そろそろ攻撃を仕掛けてきそうだ。

さあ、こっちの準備はいつでもできてる。いつでもかかってこい!


「今年の新入生はなかなか骨がありそうなやつが多いじゃない」


突然、竜と私たちの間に赤いドレスを着ている女性が空から降ってきた。いや降ってきたと言うよりも舞い落ちると言ったほうが適任かもしれない。それほど音もなく静かに降りてくる姿だったのだ。


「ここは少し暑いわね、ちょっと場所を変えましょうか」


気づけばあたりの炎が段々消え燃え尽きた木々が姿を表し、そして空には大きな火の玉が周りの炎を吸収しながら大きくなり浮いている。いつの間に目の前から姿が消えており、その少し下に先ほどの女性がいる。

後ろ姿的にミュリアさんではないけど、どうやら助けに来てくれたようだ。


「ミュリアじゃなくて悪かったわね」


もしかして心読まれてる!?後ろだと顔が見えないからどんな表情をしているか分からないのが余計に恐怖に感じる。


「あ、いやそのがっかりしたとかではなくて、その」


「無理に取り繕わなくてもいいわよ、初対面よりかは見知った姿の方が安心するのは分かるから」


「薫がダメな後輩ですいません。後でしかっとくので」


急に母親面して何言ってんだ、あかねだって多少はミュリアさんを期待してたくせに!

先輩がこの変なくだりをみて呆れた顔でこちらを見ていた。


「くだらないやり取りができるなら、案外助けに来なくても何とかなってたかしら?」


そう言いながら先ほどのようにゆっくりと降りてくる。

しかし、まだ上空には火の玉が残っているし、なんなら竜も立ったままこちらを見ていた。

てか、あんなに火の玉って大きかったかな?最近のやつは成長するもんなの?


「あいつまだ生きてそうなんですけど大丈夫ですか?」


あかねがそのことについて疑問に思うのも仕方ないと思う。実際、根本的な原因である火を吹く竜が倒れたわけでないはずなのにこの人は既に片付いたかのように落ち着いているのだ。


「あれがどんな敵か分からないのに敵対してたの?」


「いや、気づいたら後ろから追いかけられたんでがむしゃらに逃げてただけです…。」


「ということは何も知らない状態で()()に来たってっことで合ってる?」


あかねの顔を一度見て恐る恐る頷いた。

あれ、もしかしてとんでもない敵だったりする?


「あいつらの尻拭いとかしたくないんだけど…、どうしたものかしら」


難しい顔をしながら悩まれましてもこっちはいつ死んでもおかしくなかったし、無事に生きてるってことで許してくれないですかね?


「あ、いいこと思い付いたわ。」


そんな悪そうな顔してこっち見ないでください。

だいたい想像つくますけど、まさかねえ。


「あなた達あのデカブツ倒してきなさいな」


「「遠慮します」」


「ちょっと対応早すぎないかしら!?」


いや、普通に無理です。こっちは満身創痍ってこと忘れてません?何なら最初から全力で戦ってから実力差も分かってるつもりなので余計に戦いたくない。


「何事も経験が大事って言うでしょ?私も後ろから援護してあげるから。ね?」


「申し訳ないんですけど、魔力がほぼカラなんで何の役に立ちませんよ?」


無理なもんは無理ってちゃんと言った方がいいと思うけど、ちょっと泣きそうな顔になってこっち見てくるから罪悪感が生まれてきてる。


「アシリア様、魔力なら与えてやればよろしいかと。」

「うわっ!」


急に目の前にメイド服を着た女性が姿を現した。そして助けてくれた人はアシリアさんってう言うのか。名前からしてやっぱり貴族かもしれないな~。この出会いになんか少し慣れちゃってる自分が怖く思った。


「それもそうね、さっさと済ましちゃいましょうか」


いや、ちょっと私たちの意見が無視されてませんか?民主主義はどこにいった?


譲与(ギフト)


彼女の言葉を契機にもうほとんど校舎みたいな大きさになった火の玉が私たちに近づいてくる。近づいてくる速さはゆっくりしているが、不思議と熱くはない。でも、普通に怖いんで逃げてもいいですかね?


「下手に動くと失敗して死んじゃうかもしれないからじっとしてなさい」


いや、自分よりも大きいものが近づいてくるのに抵抗なしでその場にいるなんていないでしょ。

そう思ってあかねの方を向いてみると目を閉じてじっとしていた。


(もしかして、あかねはあいつを倒す気なの?)


いや、これ抵抗することに諦めただけっぽいな。

顔をよく見たら死んだような表情で青ざめていた。

ちょっと潔すぎではないでしょうか。このままだと私も受け入れないとダメみたいな空気が出来上がっていて断れにくくなってる。


「あなたは、どうする?いちようまだ間に合うけど」


「…、頑張ってみます……」


「大丈夫よこの私がいるのだから、あんな雑魚一匹なら守ってあげるわよ」


今までみた顔で一番の笑顔になってる。なんなら悪役がしそうな笑い声が出てきそう。

本当に何とかなるのだろうか。もしかして最初からこの人が仕組んてたんじゃ……、いや、流石にそれはないか。アリシアさんに失礼だね、ごめんなさい。


「終わったわよ」


ゆっくりと目を開けて自分の状態を確認する。

特になにも変わってなくみえる。うーん、確かに気だるさっぽいのは感じなくなったから魔力は回復してそう。


「見た目じゃ何も変わってないから、一度あいつに攻撃してみなさい」


「さ、さすがにそれは無理なのでは」


「まだ、動けないから大丈夫よ、多分」


「それってダメな時が多くないですか?」


「口答えせずにさっさとやりなさい!」


あかねの方をみてどうするかのアイコンタクトをして……、既に剣をもって戦おうとしていた。

諦めるのに徹底してない?少しはためらっもらわないと私の味方いなくなっちゃうよ。


「なら始めましょうか!」


せめてなんか明確な安全策をください!


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