美しさは罪です。
「ルドルフはなんであんなに元気なんだろう・・・」
昨日、散々いじめられた私はテーブルに顔を伏せた。
ルドルフはそのまま用事があって朝食を取った後、支度をして爽やかに出て行った。
フッと息を漏らした声が聞こえて顔をあげるとアンドリューが微笑んでいる。
いや、この人も無駄に爽やかだなぁ。
私だけダメ人間なのが浮き彫りにされた気分だよ。
「ルドルフ様はそれはもう鍛えていますからね。姫も少し鍛えた方が良いかもしれません。かの有名な初代王妃も乗馬を嗜んで体型を維持したと言われていますよ」
なるほど・・・鍛える事は確かに必要かもしれない。
「そう言えば、こちらには乗馬ができる場所はあるんですか?」
「はい。見学に行きますか?」
「お願いします!!」
私は早速、ジュディを呼んで服を整えて貰ってからアンドリューと一緒に出かけた。
これから行くところは宮殿を超えた先にある騎士が訓練に使う場らしい。
「王宮内にもございますが、騎士達の訓練を覗き見する方が楽しいですよ」
覗き見・・・まさか・・・。
アンドリューを見るとニヤリと笑った。
さっきの爽やかさはどこにおいてきたの?
「私、表向きにはまだ婚約者ですが」
「ええ、ですから隠れて見てみましょう!昔、良い場所をルドルフ様と見つけましてね。さぁ、ご案内しますよ」
アンドリューの方が楽しそうだ。
私がアンドリューを若干引いた目で見ていたら、いつの間にか前から歩いていた人とぶつかってしまった。
「姫!」
「大丈夫ですか?」
抱き止められた私は香水なのか優しい香りに包まれて、ゆっくりと顔を上げた。
プラチナブロンドのストレートヘアにサファイアの瞳・・!!
間違いない。
この人は・・・。
「おや、貴方は・・・」
とても驚いて動揺した様に見えたけれど、それは本当に一瞬だった。
次の瞬間にはふんわりと笑う。
その顔は神々しい上に色気があった。
そう、この人は4人目の攻略対象のゲイリーだ。
私をしっかりと立たせてくれると、髪の毛を整えてくれた。
アンドリューがゲイリーにお礼を言ってそのまま立ち去ろうとするとゲイリーがすかさず名乗った。
「ゲイリー・パティンソンと申します。アリア・バーキン様ですよね」
おっと、顔バレしている。
しかもこの流れ、前に経験したことのあるくだりだ。
攻略対象との接触の定番なのかな。
講義で会った時に、名乗る流れで行こうと思ったのに。
私は淑女らしく礼を取り「失礼いたしました、アリア・バーキンと申します。支えてくださりありがとうございました」と言って微笑む。
そしてさりげなく、アンドリューに早くこの場を離れようとアピールをする。
ルドルフがいない今、とりあえず離れたい。
私達はゲイリーが口を開いた瞬間に別れの挨拶をして足早にゲイリーの元を去った。
「姫、危険に晒して申し訳ございませんでした」
アンドリューがしゅんとする。
少しだけ可愛くみえた。
「大丈夫です!さあ、早く馬を見に行きましょう!」
私の言葉にアンドリューが頷き道案内を続けた。
とりあえず乗り切った!
私は後でルドルフに怒られる事を覚悟しながらも、せっかくの見学なのだから馬を見ることに専念しようと心に決めたのだった。




