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やられたらやり返すは(裏返すと)

(りん)との関係が上手くいかなかったのは残念だが、(あらた)も優しくていい子なんだ。だから自分の仲間が悲しんでるのを見て放っておけなかったんだろう。ただ、俺に対しては、ボスだし、まあ、迂闊に『よしよし』とかできないんだろうが。


実はこの時、(ひかり)も俺達の様子を見て泣いてしまってたらしい。しかもそれを、(じゅん)が『よしよし』してくれてたようだ。


ボノボ人間(パパニアン)は、人間由来の種族の中でも特に社会性という特質を強く残していて、仲間が辛そうにしてるとそれを労わるというメンタリティも残してるらしい。


だからこそ、(らい)の振る舞いが許されなかったんだろうなっていうのも感じる。人間と同じで、嫌なことをされるとしっかりと覚えていて、『やられたらやり返す』発想がしっかりあるんだろう。


ただ、それは言い換えれば、


『してもらったことは返す』


という方向にも働くものでもあるだろうから、労わってもらえた場合にはそれを返すということもできるんだろう。


(あかり)は、(あらた)に対しても優しかったからな。でもまあ、やり過ぎると(りん)がヤキモチを妬くからあまり構うことはしなかったが。


それでも、(あかり)に優しくしてもらえたことを(あらた)も覚えてたのかもしれない。


つまるところ、他人を労われば自分も労わってもらえる可能性が高くなるし、他人に攻撃的になれば自分も攻撃される可能性が高まるということなんだろうな。もちろん、必ずそうなるという訳じゃないにしても、少なくともはっきりと体感できる程度の差はあるんじゃないだろうか。


とは言え、周囲にいる人間が揃いも揃って人でなしだったりするといくら労わってみてもそれをいいように利用されるだけだったりするかもしれないから、そういう場合は、そんな人間に囲まれている環境をまず何とかしないといけなかったりもするかもしれないが。


その点でも、(あらた)に対しては、ここでは誰も理不尽なこと(子供同士のじゃれ合いで無茶をされたことはあったとしても)をしなかったことで、(あらた)の方も優しくできるんだろう。


でも、気を付けないといけないのは、


『こっちが優しくしたら相手も優しくしてくれるのが当然』


とか思わないことだという気がする。自分が優しくしたからって相手も同じようにしてくれるとは限らない。それは事実だ。だから、『優しくしたら優しくしてくれて当然』と考えてるとその通りにならなかった時に苛々してしまって、結局自分も攻撃的になり、それがまた自分に返ってくるだろうし。


優しくされても態度が柔らかくならない人間は、元より相当根深い病巣を抱えてるんだろうから。


昔の俺がまさにそれだったな……



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