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子供を叱らない(と言うと勘違いするのがいるが)

メイトギアはロボットだから、人間よりも確実に正確に記憶や経験を受け継ぐことができる。だからものによっては数千年分の記憶や経験を受け継いでいる機体もあったりする。


それらの多くは個人情報に紐付けされた記憶なのでそのままコピーして他人が所有する機体に使うことはできないものの、所有者から提供された情報の一部はメイトギアを含むロボットのOSやアプリケーションの開発に役立てられ、より緻密に、よりロボットが人間を深く理解する為に利用される。


それにより、人間ならついつい個人的な感情に振り回されて冷静に対処できないこと、面倒臭くて蔑ろにしがちなことといった状況にも、的確に対応できるようになっていったそうだ。


で、これまでにも何度か触れてきたように親の育児の補佐もメイトギアの重要な役割の一つなんだが、メイトギアは決して子供を『叱らない』。


すると、『子供が悪さをしても叱らないのか』と勘違いする人間が必ず出てくるらしいな。ただしこれは、完全な誤解である。


『叱らない』のは、メイフェアのように試験的にそれを再現されたもの以外では感情を持たないから、『感情的に怒らない』という意味で『叱らない』だけだ。子供が何か良くないことをした時には、当然、それがどう良くないことなのか、何が間違っていたのかを、冷静に、簡潔に、的確に、感情に振り回されることなく論理的に子供を諭してくれるんだ。


人間の親は、子供が何か良くないことをした時にそれについて子供が事情を説明しようとすると、つい、『言い訳するな!』と怒ってしまいがちだが、『弁明を聞く』というのは実は非常に大事なことだというのが分かっている。この時、どんな不合理な言い逃れに聞こえようともまずは子供本人に話をさせ、状況説明をさせるということが、


『報告・連絡・相談を行うという習慣を身に付けさせる』


『他人の話に耳を傾ける姿勢を身に付けさせる』


ことに極めて役立つらしいんだ。


ここで『言い訳するな!』と叱り飛ばして委縮させると、その<言い訳>と親が切り捨ててしまう情報の中に本来なら重要なものがあったとしても、『どうせ聞いてもらえない』と学習してしまうことで、重要な情報を『これを言ったら嫌な目に遭う』と考えて報告しなくなる傾向があるんだと。特に、ネガティブな情報を自分より上を立場の人間に伝えるという状況において。


かつ、親が子供の話に耳を傾けない姿勢を見せることで、他人の話に耳を傾けない人間になる傾向にあるらしい。


無論、これらは『そういう傾向がある』というだけの話であって、必ずそうなるという訳じゃない。そうなってしまう原因は他にもあり、それらが複雑に絡まり合い相互に作用し合うことで結果が生まれる訳だからな。


とは言え、<原因の一つ>である以上は、軽んじちゃいけないんだろうな。



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