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親の気持ちと(社会全体としての是非とは)

先に結論から述べてしまうと、この数年後、(ほまれ)は見事群れのボスの座を射止めることになる。


もちろん、その時点でボスだった雄と闘って勝ち取ったんだ。それでいて、元ボスも自分が負けたことを納得して群れに残り、余生を全うする形になった。(ほまれ)が敢えて追い出さなかったんだ。


そんなことが成立するだけの<器>を、あいつは見せたんだ。


(ほまれ)が見せた形こそが正解、だなんて別に言わない。自分が倒したボスも群れに残れるように取り計らうことこそが立派な行いだと言うつもりもない。野生に生きている以上、それが許されない状況だってあるだろう。食料だって、常に余裕を十分に確保できる保証もないからな。


その点については、(ほまれ)の群れの場合はたまたま、<埒外の超戦力>にして<超高性能な頭脳>でもあるメイフェアを(ほまれ)が従えていたからこそ、<食料の確保>という点において何も心配が要らなかったからこその余裕なわけで。


ボノボ人間(パパニアン)に比べれば途方もない長い期間、存在し続けることができるメイフェアと言えども永久不滅という訳じゃない。メンテナンスさえ受けていられれば千年二千年と機能を維持できるとしてもいつか必ず限界は来る。


そうなればもう、彼女がいる頃のような<余裕>は確保できなくなる訳で、メイフェアの存在に依存した体制の維持もできなくなる。となれば当然、他の一般的なボノボ人間(パパニアン)の群れと同じような体制に戻らざるを得なくなる。そうなった時に、その時点でのボスが無能だったからか立派じゃなかったからかと言えば必ずしもそうじゃない訳で、だからたまたまメイフェアという存在がいたおかげでそれができた(ほまれ)をことさら『立派だ!』と持ち上げるのもおかしいと思うんだ。


……なんて考えながらも、親心としては、


『立派なボスになったな…!』


と、諸手を上げて心の中で喜んでたのも事実だよ。


親としては素直にそう感じるのも、きっと悪いことじゃないと思う。<親の気持ち>と<社会全体としての是非>とは必ずしも一致しないというのさえちゃんと理解していられれば。


それがあれだな、


『たとえ世界中が敵になっても親だけは我が子の味方でいる』


っていう話にもつながるのかもしれない。


ただし、その場合の<味方>というのは、あくまで、


『我が子を見捨てない』


という意味であって、子供が悪行を犯した時にそれに手を貸せとか正当化しろっていう意味じゃないというのも忘れちゃいけないな。


自分の子が悪いことをしたのなら、それについてきちんとたしなめられる親でいることも大事だろうし。



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