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現在の社会保障は(ロボットなしでは成り立たない)

人間がロボットを嫌う原因の一つに、


『人間じゃないモノが人間のフリをしていることに対する生理的嫌悪感』


というものがあるらしい。俺がメイトギアに対して感じていたものもこれだったようだ。


ただ、俺の場合はあまりに重度のそれじゃなかったらしく、エレクシアのように、人間性を感じさせないくらいに冷淡で超然としててくれると大丈夫だったみたいだな。


で、エレクシアと付き合ってるうちにメイトギアに慣れて、人間っぽい振る舞いをするセシリアや、感情まで備えたメイフェアのことも受け入れられるようになったという訳だ。


とまあ、好き嫌いといったものも状況や経験や時間の経過によって変化していく場合もある訳だから、(あらた)(りん)の間で価値観のすれ違いが生じたことも、残念ではあるが起こり得ることだったんだろう。


最初は些細な食い違いだったとしても、それが積み重なれば折り合いが付けられないようになっていくこともある。人間の夫婦だって、生涯同じ相手と添い遂げるのは、既婚者全体の一割以下だそうだ。


まあ、人間の場合は、健康寿命が二百年を超えたこともあって、<結婚生活二百年>なんていう夫婦もぼちぼち出始めてたようだし、さすがに同じ相手と二百年も一緒に過ごすというのもよほど相性が良くない限りは結構苦痛だったりするかもしれないな。


だから、離婚も再婚もすっかり普通で、平均、三回から四回だという話もあった覚えがある。


そうなると、結婚の度に子供ができることがある(なにしろ女性の妊娠可能期間も百五十年を超えるか超えないかって感じだそうだし)から、人によっては十人以上産むことだってあるんだとか。


その分、まったく産まない人の割合も、二十パーセント強とかとも言われてたな。


で、社会保障については、完全に自分が納めた分を自分の将来の保障に充てるという形になってるから、『現役世代が高齢者を支える』という、世代別の人口比率によって負担が変わってしまうような制度はほぼ存在しないんだ。


もっとも、健康寿命が二百年を超え、つまり健康な現役世代として働ける期間自体が二百年近く、それでいて現役引退後の人生が長くても四十年やそこらだから、現役世代の人口が圧倒的に多くて、かつ二百年の間に四十年分程度の貯えを作る形になるから、人生設計も無理なく行えるんだよな。


まともな計画性を持ってる人間なら。


とは言え、そうじゃない人間もやっぱりいて、ロクに貯えも作らず、年金保険料も滞納しまくりで保障を受けられないのもいたりはするんだよなあ。


そういう人間は最終的に家族とも疎遠になって、生活のすべてをメイトギアに依存して、介護を受けて、メイトギアだけに看取られて最期を迎えたりもするらしい。


これが人間のヘルパーとかだったりしたら『面倒みきれるか!!』となるところだとしても、どんなにロクでもない人間でもメイトギアは見捨てないからな。


人件費もかからないし、メンタルヘルスも考えなくていいし、現在の社会保障は、メイトギアをはじめとしたロボットの存在によって成り立ってるってのが現実だそうだ。



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