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灯もちゃんと(考えてたんだな)

(じゅん)と出逢ったばかりの頃、(ひかり)よりずっと仲がいいように見えた(あかり)は、(ひかり)(じゅん)のことを<パートナー候補>として見てるのを、本音ではどう思ってるんだろうか。


と言っても、苛立ったりとかヤキモチ妬いたりだとかしてないのは、その表情や仕草を見てるだけでも分かる。不愉快そうな顔をするでもなく、それどころか(ひかり)(じゅん)に絵本を読み聞かせてやっている様子を見ている時の表情は、明らかに嬉しそうなんだ。


これは、俺が、普段から(あかり)の表情を見てたからこそ分かるんだと思う。いくら平気なフリをしたって、とぼけてたって、機嫌が悪い時はどうしても微妙に表情が違う。


よく、『嘘が上手な』人がいると聞く。中には本当にまったく表情に出ない人もいるのかも知れなくても、でも多くの場合のそれは、結局、嘘を吐いてる時の表情と吐いてない時の表情を普段から見比べてないから分からないんだろうなって気がするんだ。何一つそういうのが出ない人なんて、そんなにいるとは思わない。


それでも念の為、訊いてみる。


(あかり)は、(じゅん)のことはいいのか?」


すると彼女は、きょとんとした顔で俺を見て、


「? なんのこと? …って、もしかして私がお姉ちゃんにヤキモチ妬いてるかもってこと? んなわけないない。私、お姉ちゃんのことも(じゅん)のことも好きだもん。


それにさ、私がもし(じゅん)にそういう気持ちになったら、ママがパパにそうしてるみたいに、シェアしたらいいじゃん」


と、平然と答えた。この時の『ママ』は、(よう)のことだとイントネーションで分かる。そして今では俺のことを『パパ』と呼ぶのは特に甘えてる時だ。さらに、


「お姉ちゃんもそう言ってくれてるよ。だってここじゃ、雄は何人もの雌でシェアするのが当たり前じゃん」


だと。


俺がハーレムを築き、しかもそれが上手くいってたのを見てたからというのもあるのか、(あかり)はそういうことにまったく抵抗がなかった。(ひかり)もその辺りは割り切っているらしい。


もしこれが、(ひそか)達がいがみ合ってて険悪な状態だったら逆に、


『何人もで一人をシェアなんて無理!』っていう気持ちにもなってたかもしれないが、うちの場合はそうじゃなかったからな。


もちろん、シェアする相手にもよるかもしれないが。


それを裏付けるように(あかり)が続ける。


「お姉ちゃん以外の人とは嫌だけど、お姉ちゃんだったらいいよ。お姉ちゃんも私とだったらいいって言ってくれてるし」


だそうだ。


現実的に考えて、それは十分に想定される事態だった。(じゅん)のような存在が他にも何人もいるならまた話は別だっただろうが、滅多にいるものではない以上、当然、考慮に入れるべきことだったんだ。(ひかり)(あかり)は、俺が口出しするまでもなくきちんと考えて、その上でしっかりと結論を出してたってことか。



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