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一体何がそんなに(駆り立てるんだろうなあ)

今日の調査予定の場所に着いた途端、(ばん)が近付いてくるのが分かった。三メートル近い巨体だから、いくら潜もうとしてても木がしなってしまってバレバレなんだ。


それでも、圧倒的なパワーと巨体に似合わぬ俊敏性で非常に強大な存在ではある。


真っ向からぶつかり合えばカマキリ人間(マンティアン)でさえ勝てるかどうか怪しい。


が、それはあくまで生物同士ならの話。要人警護仕様のメイトギアであるエレクシアが相手ではそもそも勝負になどならない。


イレーネとそこそこ互角の戦いをした(みずち)ですら、エレクシアの前では一分もったかどうかというレベルだろう。


だからそういう意味では驚異にはなりえないので、毎回、撃退するだけで命までは奪わない。


で、今日も、


「マスターとシモーヌはローバー内で待機をお願いします」


とエレクシアが言うのでその指示に従い、ローバーの中から勝負を見届けさせてもらう。


すると、樹上からエレクシア目掛けて(ばん)が身を躍らせた。恐らくボノボ人間(パパニアン)ならこの距離で襲いかかられればひとたまりもなかっただろう。


しかしエレクシアにとっては犬にじゃれつかれた程度に等しい。まったく勝負にならなかった。


飛び掛かる(ばん)をするりと躱してその体が地上に降り立つと、体勢を整える暇も与えず胴体部分に組み付いて、それを掴み破ってしまわないように手加減しながら自らの体勢をわざと崩してその勢いをそのまま活かして、地面から引っこ抜くかのように放り投げた。


推定重量二百キロ弱、見た目の印象よりはずっと軽いと言えど人間なら持ち上げることさえままならないそれが、まるでクモの玩具のように宙を舞う。


そのままなら二十メートルは飛ばされただろうが、さすがに密林の中だけあって木にとまり、人間の頭のようにも見える部分をエレクシアの方へと向けて睨み付けてきた。


一応、<表情>のようなものも作れ、歯を剥き出して激しく怒っているようにも見えるし実際怒っているんだろうが、人間のそれとは全く違うメンタリティを持ってることは確認されている。それでいながら<恨み>なのか何なのか、こうしつこくエレクシアを付け狙うというのは、何なんだろうな。


まあ、カラスなどでも、特定の人間をしつこく狙ったりすることもあるというから、そういう感じなのかもしれないが。


それでも、殺すことまではしない。グンタイ竜(グンタイ)(みずち)の時には『家族を守る為』というのもあって厳しく対処させてもらったが、(ばん)の場合だと基本的に狙われているのはエレクシアなので、そこまでする必要もないし、俺達に手を出そうとしてもこういう目に遭うぞという、他の動物達に対するアピールにも利用させてもらってるんだよな。



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