表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

318/2932

鋭の角(これはまさに…)

元々、(じん)は気配を断ってることが多く、家の中にいてもその存在を掴ませなかったりしたから。いないような感じがするのが当たり前の筈だったのに、やっぱり何かが違う気がする。


それが俺の思い過ごしであっても関係ない。俺はそう感じてしまってるんだから。


でもそれを気にしてばかりもいられない。日々は変わらず過ぎていき、やらないといけないこともそれなりにあるからな。


それに、(めい)(じょう)も元気だ。(めい)(かく)の息子の(えい)も元気である。


ただ、(えい)本人は元気そうなんだが、彼の外見上のことで少し気になることがある。


と言うのも、元からあった頭の<でっぱり>が成長と共にさらに大きくなって、今では完全に<(つの)>になってしまっていたんだ。鬼のそれを思わせる、二本の立派な(つの)だ。


父親である(かく)の頭にも(つの)を思わせる突起があったから<(かく)>と名付けたんだが、(えい)のそれは父親のものを遥かに超えて立派だった。


なんて、(つの)まで備えた凶悪そうな見た目をしているにも拘らず、(えい)は割とおとなしい性格のようだった。ボノボ人間(パパニアン)を襲うような素振りも見せず、普段の食事は昆虫や小さなトカゲに似た小動物が主だった。しかも<小食(あくまでカマキリ人間(マンティアン)としてはだが)>だ。


これはカマキリ人間(マンティアン)としては致命的な<欠点>かもしれない。俺と一緒に暮らし始めたころの(じん)から始まった食の変化が、ここにきて決定的になったということだろうか。なにしろ(めい)も、彼女が生まれてから一度もボノボ人間(パパニアン)を食べていない。


ボノボ人間(パパニアン)は体毛が多く長いだけで、<コスプレした人間>にも見えるから、そういうボノボ人間(パパニアン)カマキリ人間(マンティアン)が食べるというのは、パッと見、食人行動(カニバリズム)にも見えてしまって、正直、気が滅入るというのもあった。映像でも何度か確認されてるが、そういうものだと割り切ってても気分までは変えられないからな。


とは言え、俺自身としてはカマキリ人間(マンティアン)の生態まで変えてしまうつもりはなかった。が、現にそうなってしまった以上、見守るしかないのか。


ただ、今のところは、何か困っている風には見えなかったけどな。他にも獲物が豊富にいる分には、わざわざボノボ人間(パパニアン)を食べる必要もないのは事実なんだろう。


さりとて、もし、他の獲物が捕らえられず、目の前にはボノボ人間(パパニアン)しかいなかった時、(めい)(えい)はそれを食べて生き延びることができるんだろうか。


まあ、飢餓状態になって追い詰められれば人間だって死んだ仲間を食べた何ていう話も聞くし、ひょっとしたらそんなに心配しなくてもいいのかもしれないが。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ