黎明編 批判的に見る者もいるだろうが
一方、黎明と未来は携帯していた<飲料にもできる水>で顔を洗っただけだった。帰ってから風呂に入ればいいと考えてるからだ。
まあ実際、この辺りの水場で体を洗っても帰ってからまた風呂に入ることになるからなあ。獲物もそれぞれ担いでるし。いくら血抜きはしているといってもしばらくはそれなりに血も滴ってくるし、なにより汗をかく。
全体的に地球人よりもはるかに身体機能は強靭ではあるものの汗をかかないわけじゃないし。
ちなみに<飲料にもできる水>はここで新しく作った<濾過器>でも十分に安全なものがいくらでも確保できるから顔を洗うのに使っても惜しくない。それでもイザベラの全身を洗えるだけの量を携行していくのはさすがに実用的じゃないからな。
で、狩りが非常に上手くいって、獲物を肩に担いでいる黎明もすごく上機嫌な様子だった。ルコアのことでもやもやはあっても今は存分に発散できたようでありがたい。この<レクリエーション>もしっかりと意味があるということだ。
地球人社会にはこれについても批判的に見る者もいるだろうが、<娯楽としての狩猟>や<趣味としての釣り>みたいなものとも言える上に実際に<食用肉の確保という目的>も兼ねているんだからとやかく言われる筋合いはないと思う。本当に単なる娯楽としてやってて、
『狩った獲物もただのトロフィーにするだけ』
だったりしたら俺もあまりいい気はしないものの、今日は帰ったら<肉パーティ>になるだろうし、『命を無駄にしてる』わけじゃないから勘弁してほしいかな。
なお、<釣り>は今も許可された場所であればできるものの<娯楽としての狩猟>については<総合政府の統治下>はもちろん完全自治を得た植民惑星でもほとんどが禁止している。ごく一部の植民惑星で『禁止されていない』だけだ。しかも禁止されていないところでもあくまで『限定的に許可されている』だけでしかないというのが現実か。<魚>はそもそもの<種としての生存戦略>の時点で、
『大量に生まれて大量に死ぬ』
という形を取っていたりするから、<趣味の釣り>程度で個体が失われるくらいじゃ痛くも痒くもないそうだ。もちろん魚の中にも<そうじゃない種>はいるからあくまでも<釣っていい魚の種類>自体は限られてるとのこと。しかも釣りが許可されている公園施設内だけの話。
その辺も、人間自体がもう完全な自然の中で自分の力だけじゃ生きていけない存在だから、管理の目の届かない場所で勝手にやるというのは自己矛盾が過ぎるというものだろうし当然か。




