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群れに嫌われて孤立すると(命に係わるからな)

(ひかり)の服を着て、(あかり)に髪を梳いてもらった(じゅん)は、パッと見ではすっかり女の子みたいになってしまった。


しかしその行動はやはり雄のそれで、特に求愛行動については非常に情熱的だった。(ほむら)達にも負けていない。


部屋に(ひかり)がいると、壁となく柱となく跳び回って激しくアピールする。


そんな熱心さがまんざらでもないみたいで、(ひかり)も決して邪険にはしなかった。


まあ、元々彼女は、態度は冷たそうだが根は優しい子だからな。


だが、どちらかと言うとあんまり激しいアピールよりは、一緒に絵本を読んでくれる感じの方が好きなようではある。だから、むしろ求愛行動で疲れた後の(じゅん)の頭を優しくなでたりしてて、(じゅん)もそれをうっとりした表情で受け入れていたりもした。


それがまた仲のいい姉弟、いや、<姉妹>のようにも見えて、俺もホッとする。


(じゅん)はやっぱり余所者な訳でその辺りを少し心配もしていたが、本当に上手く馴染んでくれてると思う。


この辺りは、(ほまれ)をはじめとした俺の子供達との経験が役に立ってるのかもしれない。(じゅん)にとっても馴染みやすい環境を作れているんだろう。


(ほむら)達とも上手く折り合ってくれてるようだ。(ほむら)達にしても、(じゅん)が上手く合わせてくれてるからか意地の悪いこともしない。(じゅん)は、(ほむら)達が寛いでるところには近付かないようにしているのが分かる。


それは決して、恐れてるとか嫌ってるとかいうのとは違う、絶妙な距離感。


最初は確かに寛いでるところに踏み入ってしまって(ほむら)達の機嫌を損ねてしまったりもしたが、すぐに<ちょうどいい距離感>のようなものを掴んだのかもしれないな。


この辺りは、群れを作る種族の中でも特に社会性が発達してるボノボ人間(パパニアン)ならではか?


人間も社会性動物の筈にも拘わらず、どうも感覚が鈍ってしまったのか上手く距離感が掴めなかったりするが、より野生に近いだけにそういう部分が鋭敏なんだろうか。群れに嫌われて孤立するとそのまま命にも係わるだろうからな。


そういう点ではかなりシビアとも言える。


まあ、うちの<群れ>ではそこまでシビアなことは要求するつもりはないものの、(ひそか)(ほむら)達は俺やシモーヌよりは厳しいだろうし、嫌われて群れに居辛くなるようなことは回避して欲しいと思う。


だから今の調子で行けてくれると嬉しいんだ。


実際に(ひかり)のパートナーになれるかどうかは分からなくても、もう家族みたいなものなんだし。



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