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天敵だらけ(考えてみればそうだ)

ただ、群れには加わったものの、同時に、今一度言うが、(じゅん)にとっては驚きの連続というのも事実だろうとは思う。


その一つが、ボノボ人間(パパニアン)にとっては最大の天敵であるカマキリ人間(マンティアン)がいたことだろう。だから、普段は気配を消してその存在を悟らせなかった(じん)の姿を初めて見た時にはあまりに距離が近かったことで固まってしまい、その場でおしっこさえ漏らしてしまったくらいである。


「ありゃ~? (じゅん)、おしっこ漏らしちゃった」


一緒にいた(あかり)が思わずそう声を上げた。


本来なら遠くにちらっと姿が見えただけで全力で逃げなきゃいけないような相手だ。それが僅か数メートルの距離に突然現れたことでパニックになってしまったんだろうな。それどころか死を覚悟したかもしれない。


(あかり)もそれは察したみたいで、


「大丈夫だよ。(じん)は私達の家族だから襲って食べたりしないよ」


と、(じん)の体に抱きついてみせたりもした。


「……」


すると(じん)も、そんな(あかり)の頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。


他のカマキリ人間(マンティアン)には見られない行動だが、俺が(ひかり)(あかり)だけじゃなく、(めい)(じょう)に対してもそうしていたから、真似するようになってくれたのかもしれない。とにかく、まったく危険そうには見えなかったと思われる。


とは言え、さすがにすぐには(じゅん)も納得できなかったらしく、その後もしばらく怯えていた。


それでも、(あかり)(ひかり)もまるで恐れていないのを見て、しかも(じん)の方も(じゅん)に対して特に意識を向けることもなかったことで、数日も経てば『この群れにいるこいつは危険じゃない』とは理解できたようだ。


ただし、決して近付こうとはしなかったが。まあ、そのくらいは仕方ない。


だが、この<群れ>にいるボノボ人間(パパニアン)の天敵はカマキリ人間(マンティアン)だけじゃない。


そもそも(あかり)自身が本来はタカ人間(アクシーズ)の血を引いてる訳で、その母親である(よう)が俺のローバーの屋根に巣を作ってそこで寝泊まりしてるのである。


そのことに気付いた時にも当然、(じゅん)は怯えた。だがそれも、早々に危険がないことを察することはできたらしい。


ただし、近付こうとしないのは同じか。


さらには、ヒョウ人間(パルディア)によく似たライオン人間(レオン)である、(ふく)(しん)(さい)(りん)もいる。


こちらはまああくまで『似ている』というだけでヒョウ人間(パルディア)そのものじゃないからかいきなりパニックになったりはしなかったが、明らかに緊張はしていたようだ。


しかも家の周りにも得体のしれない<怪物(=ドーベルマンDK-a)>がうろついていたり、ボクサー竜(ボクサー)の群れがすぐ近くにいたりと、お化け屋敷も目じゃない(まあ、お化け屋敷には基本的に大きな危険はないからな)恐怖の場所だっただろう。


なので最初は、光莉(ひかり)号に匿ってやっていたのだった。



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