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招かれざる客
火曜日の夕方6時、路地を入ったところにある酒屋は賑わっていた。ここは店先で簡単なつまみで酒を飲める「角打ち」だ。
仕事を終えた北條貴久は常連に挨拶をして空いたテーブルに肘をついた。
「ゲソ焼きと瓶ビール。」
「はぁい。」
大将の娘の香奈が応える。程なくして醤油の香りを立ててゲソ焼きが運ばれてきた。
「お待たせ。」
「ありがと。香奈ちゃん。」
「貴久さん、早くいい人に作ってもらえるようになったら?」
「香奈ちゃんがそうなりゃいいじゃねえかよ!」
常連客の声に店内が沸く。貴久は苦笑し、香奈は赤くなった顔を隠すようにうつむいた。
“ガラガラ”
乱暴に扉を開ける音が響いた。
「何だ?この狭苦しい店。ホントに美味いのかよ?」
入ってきたのは金髪に薄い色のサングラスをかけた若い男と、控えめなメイクに似合わない、肌の露出が多い服を着た女だった。
「おい!おしぼりも出さねえのかよ!」
「ウチはそういうのない分、安くさせてもらってます。」
香奈は男に申し訳なさそうに言う。
「何だよそれ。あ?おめえ北條じゃねえのか?」
店内を見回した男が貴久に目を留めた。
(え!?)
声に振り向いた貴久は目を見張った。
男は何かと貴久に突っかかってきた高校の同級生、篤。そして篤の横にいたのは二年前に突然居なくなった貴久の元カノ、梨沙だった。




