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『この世界、悪が足りない。』   作者: よしお


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22/27

番外編② 会社ロゴを作ろうとしたら、全員センスが壊滅してた件。



「――というわけで、アクオビのロゴ、作りましょう!」


朝。

新人のミナセ(通称シャドウ・ミナセ)が、

ホワイトボードの前でテンション高くプレゼンしていた。


「せっかく会社作ったんですし、ロゴとか欲しいじゃないですか!

 信頼ってまず“見た目”からですよ!」


「……いや、うちは“悪役”会社だぞ?」

「悪役でもブランディングは大事です!」


まっすぐすぎて眩しい。新人らしい発想だ。



「じゃ、まず社長から案をどうぞ!」

ミナセがペンを渡してくる。


俺はホワイトボードに、

ドーンと“悪”の字を描いた。


「どや!」

「……昭和かよ」


ミナセの目が、完全に“教育者のそれ”だった。

「今の時代、“筆文字ドーン”は流行りません!」

「じゃあお前やってみろよ」


ミナセはタブレットを取り出して、スタイラスを走らせる。

数分後、画面には――


「A」の形をした黒い稲妻マーク。


「おお、悪くないじゃん」

「でしょ!? “アクオビ”のAを稲妻風に――」

「……ん?」

赤間が覗き込み、スマホを見せる。

「これ、某配達アプリにそっくりっすよ」

「――あああっ!?!?!?」


ミナセの顔が真っ青になる。

「ま、まぁ、たまたま似ただけで……」

「“アクターズ・オブ・イービル”なのに“配送業感”出てるの草」

「社長、笑ってる場合じゃないですよ!」



その後も提案は続く。


・赤間案:「ドクロにネクタイ」

→ 「完全に中二病企業」


・ミナセ案②:「Aを反転させてEと重ねる」

→ 「子供の落書き」


・アオト案②:「黒い円にトゲをつける」

→ 「爆発マークにしか見えない」


もうカオスだった。


「うーん……どれも悪くはないんですけど……悪すぎるっていうか……」

「悪の会社だからな。」



最終的に、妥協案が出た。


黒い背景に、赤い筆記体で

《A.O.E.》


その下に小さく

Actors of Evil — “We act so the world stands still.”

(俺たちは演じる。世界が止まらぬように。)


「おお……なんか急に、ちゃんとした会社っぽい」

「海外ドラマのロゴみたいっすね」

「お前ら……普段のノリとギャップありすぎだろ」


ミナセが照れ笑いしながら言う。

「社長、やっぱ“悪”って、ちゃんと見せ方大事ですよ」

「そうだな。中身がふざけてても、外見はシリアスに限る」



その日の夜、事務所のドアに新しいロゴが掲げられた。


株式会社アクターズ・オブ・イービル(A.O.E.)

――悪を演じ、世界を支える。


外から見たら、立派な会社。

でも中では、赤間と新人がロゴで揉めてる。


……まあ、これくらいが“アクオビ”らしいか。



次回:

番外編③「新人研修:悪のポーズ講座」

――「“悪の笑い方”で一日終わった件。」


読んで頂きありがとうございます!

次回更新、11/5日を予定しております。

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