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俺は今日、修羅場に巻き込まれたらしい。

今回の話は前回に負けないくらい重要な話になってくるかもしれません。

暖かい目で見守っていただけたら嬉しいです!

 昨日の一件の後、特にどこに出かけるわけでもなく軽く昼食を済ませ解散となったのだが、敦士はまだ頭の中を整理できないでいた。

 「あっくんお弁当食べないの?」

 「あ、ああ・・」

 「どうした敦士、どっか具合でも悪いのか?」

 「い、いやそう言うわけではないんだけどな・・」

 ーー昨日の『ペックさん』女の子事件・・更にそれがあの愛里さんだったとはな・・さすがの俺も参っちまうな・・しかも今日学校で特になんの会話もなしときた・・うぅー・・。

 そんなことを考えながらも表向きはいつもとさほど変わらず弁当を食べている3人の元へ「ノーチェック太鼓マスター」こと愛里奏でが少し緊張した様子でやってきた。

 「あ、あの・・水瀬くん」

 「はっはいっ!」

 「えっと・・少し大事な話があるんだけど・・」

 「あ、はい」

 昨日一瞬立った告白フラグで心をおもちゃにされかけた敦士は言い回しがいやらしい奏の言葉責めに不動心で返事をした。

 「なになに!? あっくん!? え!? なんで愛里さんと知り合いなの!? しかも大事な話って何!?」

 「えーっとー・・うん・・敦士くん? ふぇ・・・・?」

 奏の話術にまんまとはめられた馬鹿2人は学校一の美少女がこんな冴えない男に告白するのではないかと言うとても楽しそうな妄想を頭の中で繰り広げていた。

 「い、いや別になんでもねえよ。愛里さんに頼まれて部活の手伝いすることになっただけだから」

 「部活の手伝いを頼まれた?! ええ!? あっくんと愛里さんはいつからそんな親しくなったの!」

 「ん、んー・・いつからだろうなー・・」

 ーー昨日!とは言えないしなぁ・・かと言って一年前からゲーム友達ってのも愛里さんに悪いし・・どうしたものか。

 「あ、あのー・・すいませんお弁当の邪魔をしてしまって・・。水瀬くんとは・・え、えっと・・おっ、親同士が知り合いで! よ、よく昔から遊んでたりして! 今回は私の相談に乗ってくれたんです!」

 そんなことは嘘の極みに過ぎないが、敦士は奏の素晴らしい設定にとりあえず全力ヘトバンして見せた。

 「あ、愛里さんとあっくんが・・お、幼馴染・・?」

 「なんだ敦士、このクラスになってからなんかおかしいと思ったら。そゆことね」

 「いやいやあのだな・・」

 「もう、あっくんひどい! 私の方が幼馴染なのに・・! 幼馴染は私だけなのに・・!」

 「い、いや・・」

 「うん。そうか。前の半分腐った魚みたいな敦士はもうお亡くなりになられたのか・・そっか・・うん・・」

 「いや・・お前ら何か勘違いを・・」

 ーー奏の話術によって今度は修羅場へと突入した敦士は、おそらく無意識でこの状況を作り上げた奏に魔王の素質さえも感じた。

 「と、とりあえず! 俺は愛里さんにお願いされたってだけで! なんもないからマジで!」

 「ほんとだね? 信じていいよねあっくん? あとでちゃーんと説明して!」

 「まぁ、うん、わかったぁあ」

 「そ、それじゃあ水瀬くん」

 「お、おう」

 そう言うと奏は人気ひとけのない廊下へと敦士を連れていき話を始めた。

 「ごめんね急に変なこと言っちゃって・・でもああするしかなくて・・」

 「い、いやぁあ! ぜんぜん大丈夫・・(じゃないです)」

 「えっとね! 今日声かけたのはね! 部活についてなんだけど」

 「えーっと、ちなみになんだけど愛里さんの部活は何部なの?」

 「それがね・・部活の名前とかはまだなくてね・・とりあえず自分の趣味とか好きなことをする部活なんだけど」

 「へ、へぇー楽しそうー(棒)」

 「嘘ついたでしょ・・バカ・・」

 「あ、はい。すみません」

 ーーニャ!ニャニャーーー!可愛いなコンチクショウ!

 「ん・・んとそれで部員は何人くらいいるの?」

 「それがね・・・・まだ私1人しかいないの・・・・」

 「へへぇー・・・・・・ふぇ?」

 「だって仕方ないの! 私の趣味を知られたらみんなに引かれちゃうでしょ! だから部員を増やすこともできなかったの・・」

 「・・・・つ、つまり・・つまりだよ? 俺が入ったら部員は俺と愛里さんの2人ってこと? だよね?」

 「今のところは・・そう・・だから是非入って欲しいの・・」

 ーー敦士は今まで生きてきた中で一番早い信号を脳から受け取り返事をした。

 「ヨロコンデ」

 こうして趣味や好きなことをするという謎の部活に俺は入ることになった。





 奏との話を終え2人の所に戻ってきた敦士は席に着くやいなや尋問をされ始めた。

 「ちょっとあっくん! どうゆうことなの!?」

 「いやだから、愛里さんとは昔っからの知り合いでだな。部活の人手が足りないから入って欲しいって相談受けてだな・・」

 「なんであっくんは愛里さんと幼馴染だったってこと私に教えてくれなかったの?!」

 「いや・・別に幼な・・わりい・・」

 「なんでそこで謝るの! もーあっくんのばか! コミュ障! オタク!」

 「いやいや関係ないやつあるから」

 「なぁ敦士ー。もしかしてお前と愛里さんってもうすでにできちゃったりしてんの?」

 その駿の発言に敦士と玲那は飲んでいたお茶を見事に吹き出すリアクションをして見せた。

 「んなわけねーだろ! ただの知り合いって言ってんだろ! 知り合い!」

 「そ! そうだよ! あっくんと付き合える女の子なんてわた・・! だからぁぁぁぁ!」

 「だよなぁ、これでもし仮に愛里さんが敦士の彼女だったら俺異世界転生してた」

 「んなことできんなら俺がとっくの昔にやってるわ」

 厨二チックなことを言う駿に敦士はさらに厨二チックに言い返した。

 「ところでさ愛里さんの部活って何部だったの?」

 そんな駿の当たり前な質問に敦士は少し困った顔をして返した。

 「んーなんかな。俺もよくわからんのだけど・・趣味とか楽しいこととかをする部活らしい」

 「それってもしや・・愛里さんと楽しいことしちゃうの・・?! うひひ」

 「ねえちょっと! あっくん! ダメだよそんなの!」

 「いや、そう言うことじゃねーよ。(ちょっとしたいけど)なんか普通に遊んだりすんじゃねーのか? 多分」

 「な、なんか怪しい! あっくん本当にダメだよそんなことしたら!」

 「いやいや・・しねえって」

 「玲那ちゃんこれはもしかしてもしかするかもだぞー・・うひひ」

 「おい駿てめぇ・・余計なこと・・玲那はこう言うのすぐ信じ・・」

 「あっくんやっぱり怪しい! あっくんが愛里さんの部活入るなら私もその部活入る!」

 「ん・・」「ん・・」

 玲那の唐突すぎる発言に一瞬思考回路が停止した敦士と駿だったが、この子の純粋さと馬鹿さ加減を考えたら「そうなるかもしれないですね」と納得しそうになった。

 「いやいや玲那・・そんな突然部活入るって言っても愛里さんだって困るだろう・・(絶対困るあの人)」

 「れ、玲那ちゃんさっきのは冗談だよ? 敦士に限ってそんなことないって! 多分!」

 「いやだもん! もう決めたんだから! 私もあっくんと一緒に部活入るもん!」

 一度こうなった玲那は誰が言っても意思を曲げないことは敦士も駿も知っていた。

 「決めたんだからとは言ってもな玲那・・んーーーーーーーー・・・・・・」

 「諦めろ敦士。この子は汚れなきガチもんロリ巨乳だ」

 悩んだ末に敦士はとりあえず奏に話をしてみることにした。

 「・・・・ぢょっど愛里さんにぎいでぐる・・」

 「あっくん! 私も行く!」

 「いやぁ・・お前はこんでも・・」

 「だめ! 行くの! 私が入るって決めたんだから私が直接言わなきゃ」

 「もう・・好きにして・・」

 ーーごめんよ愛里さん・・君に出会った時最後まで守り抜くって誓ったはずなのに・・でも安心して・・僕だけは君の・・君の『フレイさん』でいるから・・。

 「うっ、うん・・・・あのー・・愛里さん・・」

 「み、水瀬くんどうしたの?」

 「えっとですね。ちょっとばかり追加部員というかなんというか・・」

 「愛里さん! ちょっとお話が!」

 「え、えっとー水瀬くんのお友達の・・」

 「幼馴染! の宮野玲那です! えっとねあっくんが部活に誘われたみたいだから私も入ろうかなって!」

 その玲那の言葉に奏の表情はこれほどまでにない真顔になった。

 「そ、そういうことみたいなんだよねごめんね愛里さん・・あはは・・急でびっくりしちゃったよね・・あは・・」

 「え・・ええええええええ! ど、ど、どういうこと水瀬くん?!」

 「いやあの・・はい・・すみません」

 ーーさっきの幼馴染的な発言が見事に効き目抜群でしたぁとは言えないな・・・・。

 「宮里さんはあっくんの幼馴染なんでしょ! 私もそうだから! あっくんが他の幼馴染の女の子と一緒にいるのに私がいないのはおかしいじゃん?!」

 「いや、お前もう・・なんかこわいよちょっと・・・・」

 奏が先ほど作り上げた修羅場は、ここで本人さえも飲み込んでいった。

 (ちょ、ちょっとどうなってるの水瀬くん?!)

 (俺もようわからんのだが玲那の幼馴染スイッチが入ってしまったらしい)

 (そのスイッチってどうやったらオフになるの?)

 (すません、俺でもわからんのです)

 (も、もう・・こうなったら仕方ないです・・)

 敦士との小声のやりとりで玲那の止めるすべがないことを知った奏は彼女を仕方なく部活に入れることにしたのだった。

 「えーと宮野さん、こうなっては仕方がないので部活に入ってもいいです・・」

 「え?! やった! あっくんと同じ部活には入れる!」

 「で、でも、1つだけ条件があります」

 「条件?」

 ーーおいおい、愛里さんもしかしてあの秘密言っちゃうのか?いやしかし玲那ならまあ言っても大丈夫だと思うが・・普通にいいやつだし・・・・。

 「私たちの部活は趣味や楽しいことをする部活です。もしその・・えっと・・・・しゅ・・趣味が少し変わっていたりとかしても! わ、笑ったりとか・・バカにしたりとか・・しないでほしいな・・って」

 「ん? 私そんなことしないよー。愛里さんがどんな趣味だったからってバカになんかしない絶対。だってその人が好きでやってることなんだもん! バカになんてしちゃいけないでしょ!」

 ーー玲那、お前はそう言うところはいいやつだ!

 そう言われた奏は曇っていた表情がだいぶ明るくなった。

 「宮野さん・・なんかごめんなさい疑うようなこと言ってしまって・・・・」

 「いいよ全然! こっちこそ急に入らしてなんて言ってごめんね! あ、あと私のことは玲那でいいよ!」

 「そ、それじゃあ・・玲那ちゃんで」

 「うん! 私もこれから愛里さんのこと奏ちゃんて呼んでもいい?」

 「も、もちろん大丈夫ですよ!」

 「それじゃこれからよろしくね! 奏ちゃん!」

 「はぃ・・うん! こちらこそよろしくね玲那ちゃん!」

 ーーなんか丸く収まってとりあえず・・・・よかった・・すごくよかった・・。

 「ところであっくん、あっくんは奏ちゃんと私、どっちが付き合い長いの?」

 「そ、そ、そんなの玲那に決まってるじゃーないか」

 「やった! ほらね! 奏ちゃんの負けー」

 「むぅ・・」

 「お前ら、いい雰囲気のまま・・ね・・・・」

 



  


  俺は今日、修羅場に巻き込まれたらしい。






 

 









 

 

 

 

 


 

最後まで読んでいただきありがとうございました!

あっくんのことになると玲那は前しか見えなくなってしまう性格でそれと同時にとても純粋でいい子なんです!

次の話もお楽しみに!

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