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実質付き合ってる二人が「「AI作家クソくらえ!」」って言いつつ書籍化目指しながらイチャイチャするラブコメ  作者: 瑠火
実質付き合う前

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第十八話:【結】実質付き合ってる二人まで

◆白雪詩歩さんの目覚め。



 私はガバっとベッドから上半身のみを起こします。


「……。あんまり眠れなかった……」

 

 それでも私の習慣は崩れません。

 

 時計を見ると朝の六時。

 

 今日は家に置いてあるエアロバイクを漕ぐところから。

 

 運動用のグレーのスポーツショーツとスポーツブラに着替えます。有名なカルバン・ク◯インと言ったら伝わりやすいでしょうか。

 

 私以外誰もいないので、気兼ね無くこういった格好で運動を行うことが出来ます。

 それに、鍛えるときは、できれば自分の体を視界に入れたいのです。その方がモチベーションになるので。


 というわけで、鏡の前にある、エアロバイクを今から一時間漕ぎます。




 ◆1時間後



「よし。」


 汗のしみた下着をドラム式洗濯機の中に入れて、そのままシャワーを浴びます。

 

 出ます。タオルで体を拭きます。

 最後に制服。

 そしてご飯の準備。頂いて、覚悟を決めて。


 この一連の流れを終えた私は、意を決して紡くんにメッセージを送ります。


『昨日はごめんなさい。あなたのことを嫌いになったわけじゃないんです。なので今日も一緒に登校してください』


 私が勝手に期待して、勝手に泣いて、勝手に怒っただけです。


 いやまあ、もし彼が昨日告白してたらまた、一緒のベッドの中で眠れたのにな―なんて思ったりもしました。


 でも良いんです。これから少しずつ。今度は恋愛関係に持っていけば。


 私が急ぎすぎました。反省反省。


 そんな事を思っていると、彼から返信。

 


『こちらこそごめん。僕、ようやく分かったから。放課後楽しみにしてて』



 ……何をでしょうか……?



  

 ◆詩歩さん。紡くんの家の玄関前。


 


「おまたせしました、紡くん。改めて昨日はごめんなさい」


 

 お母様はもう、働きに出かけられたのですね。またお会いしたいです。

 今の現状を猛烈に相談したいです。可能であれば。


 

「こちらこそ。ごめんなさい。あのね。詩歩さん……、いや……」


 なんでしょう……。なんだか、彼は今自信に満ちています。顔も何故かテッカテカです。保湿でもしたのでしょうか?

 

「……? いや?」


「は、ハ」


 ——ハニー……——


(ハニー……!?)


 

 なんでいきなりラブロマンス感のある呼び方をしだしたのか。


(私のことをハニーって呼んでるんですよね? これ?)


 正気なんでしょうか。いや、見たところ彼は正気です。顔が真っ赤っ赤ですけど。


 そう言えばさっき、彼のメールにはこんなことが書いてあったような。


『こちらこそごめん。僕、ようやく分かったから。放課後楽しみにしてて』


 うーん。このメールとハニー呼びの意味するところは……。

 


(彼なりにムードを作ろうとしているってことでしょうか……!?)

 


 これどうしましょう……?

 

 一応私も何かしらで返事をしたほうが良いのかな……?


「あ、あの! 紡君!」


「……? なんだい……? ハニー?」


「だ、ダ……」

 


 ——ダーリン……!——



「よし! 行こうか! ハニー!」

「は、はい! ダーリン!」


 いや馬鹿でしょこれ。バカップルっていうか。馬鹿でしょ。


 ダーリンは……。今何故かガッツポーズをしていますね。

 

 なんか達成してるようです。

 知らずの内に。

 

 先が思いやられます。彼は何を考えているのでしょうか?


 

◆ハニーとダーリン(壁ドン狙い)登校中


 

 私は今、ダーリンと登校中なわけですが……。


( ᯣ _ ᯣ ) じ〰️っ


 なんかずーっと見られてるんですよね……。

 しかも並走しながら。

 

 これ何かしようとしていませんか?

 なにか企んでいるってことでいいんですよね?


「あ、あの、紡くん」

「どうしたの?」

 

「……何でそんなに私の方を見つめるのでしょうか……?」

「え、えーっとね。今、詩歩さんと、君の奥にある壁までの距離を測ってるんだ」

「それ何のためにやってるんですか?!」

「いや! ちょっとドン! ってしたくて!」


 

 

「私を押して壁に激突させようとしてるんですか!?」

「いや! 違うんだ! そうじゃなくて!」


 これ交差点に出たら後ろから押されて殺される可能性もありますね。

 ダーリンを絶対に後ろに立たせてはいけません。

 

 そして隙を見せても駄目です。

 

 つまり……。私も彼から目を離したら駄目ってことになります。

 

 

雪(っ・ω・c)ジーッ

紡( ᯣ _ ᯣ ) じ〰️っ



「……なんだか周囲の目が痛いですね」

「……そうだね……何でだろ?」



 

△彼らを見る周囲の人たち(おばちゃんず)


 


——あのカップル歩きながらずっと見つめ合ってる……!——


 

「お盛んねえ」

「でも男の子の方、目が血走ってない?」

「そんなもんでしょ。男の子なんて。女の子超かわいいもん」



◆詩歩さん。


 

 私達は並走しながら見つめ合い、なんとか無事に学校までたどり着きました。


「紡くん、理由を本当に説明してください……。今日は奇行が過ぎます……」

「ごめん、言えないんだけど……、でも絶対いい日にするから。たのしみにしてて」


 いやこっちは結構怖いですよ?

 

 いきなり友達からハニー呼ばわりされて。

 しかも壁にドンとしようとしてたと。


 割と命の危機を感じるのですが。



◆お昼休憩



「白雪さん。一緒に食べよう。」

「はい。今日は、お弁当を作ってきたのですが」

「僕もだよ!」


 初日の時と同じ様なお弁当に、お野菜が追加されています。偉い!


「あ、あのさ。詩歩さん」

「なんでしょう?」


「ちょっとアーンをさせてくれないかな?」

「……教室で?」

「いや! ここじゃなくても良いけど! あーんしたくない?!」

「いや別に……」


「いややろう! はい! あーーー―――ん!」

「ちょちょちょちょちょっと待ってください!」

「何?!」

「そんなに強引にやるものなんですか!? アーンって!?」 




 

「うん! そんなに強引にやるものだよアーンは!」

「そんな訳無いでしょう!?」

 

 いつもなら周囲の目を気にしそうな紡くんなのに……。


 何故か今日は人目も憚っている様子がありません。


「ちょ! ちょっと一旦落ち着いてください!」

「はあ……はあ……。ごめん。トイレ行ってくる。一旦頭を冷やしてくるね」

「その方が良いです……。」


 紡君が去っていきました。

 私、今日常々気になっていたことがあるんです。

 彼の鞄の中。少しだけ頭を出しているもの。


 あれ絶対に巻物ですよね?


 何でそんなもん持ってるんですか? 忍者の末裔?


 それに何で分割キーボードとか最先端のガジェットを持っているのに今日は巻物?


(……ちょっと中身を見せてもらいましょう……)


 私は彼の巻物を手に取り、周りには見えないようにちろっと中身を確認しました。



 

『詩穂さんへの告白プロット』



 

 ……。

 

 


 ええええええええええええええええええええええええ!?


 

 巻物に私への告白までの道のりが書いてあるってことですか?! なんで?!

  


 と、取り敢えず一旦巻物を鞄に戻します!

 


 数分後、彼が帰ってきました。


「おまたせ。ごめんねさっきは、変なこと言って」


「い、いえ! お気になさらず!」


 ……。大変です。全容を確認していないので、何がなんだかわかりませんが……。



 ——やっぱり彼は私のことが好きだったんだ!——



「えへへへへへ……」


「どうしたの?」


「んー。なんでも無いんですけど」


「無いんですけど?」


「あーん。しましょうか。」


「いいの!?」


「はい。勿論!」


 周りの生徒達(特に男子生徒)の視線が突き刺さりますが、そんなの関係ありません。



  

 だって私達、実質付き合ってるようなものですし。



 

 後は、紡君の告白待ちです。

 

「唐揚げがいいです。たまには身体に悪いものも良いですよね……?」


「う、うん。」


 彼が唐揚げを箸で摘みます。目の前まで持ってきてくれます。その後私の上と下の唇でハムッと固定させた後、口の中に押し込みます。


「うーん」

「どう? 冷凍食品だけど」


「美味しいです……!」


 それはあなたが、食べさせてくれたからでしょうか? なんて。



 ▲彼らを見る周囲の人たち(男子生徒AとB)




——白雪さんが高槻にあーんさせられてる……!——


「いいなー俺も白雪さんにあ~んさせてえよ。高槻が羨ましいわ」

「羨望。死に晒せ。高槻(ヤツ)の血を祀れ。」

「……お前怖えよ。まあでももう入る余地ねえだろあれ。」


 どう見ても、付き合ってるようにしか見えねえし。



 

◆放課後:下校時◆


「じゃあ、白雪さん。帰ろう」

 

 彼は恐らく、私への告白のタイミングを探っているところでしょう。


 それならパスを出してあげましょう。


「ねね、紡くん、今日は何処かに寄る予定でしょうか?」


「うん。今日はアニメイトにまた寄り道して、その後できれば僕に、何も言わずに付いてきてほしいんだ」


「……分かりました」


 私は何も言わずに、彼に従います。

 だって私はもうプロットの一部。

 演者なんだから、彼の後ろを追って、彼の匂いを嗅いで。


 彼の告白に『はい』と言うだけでいいんです。

 

◆アニメイト◆


「ねね。紡君」

「なあに? 詩歩さん」

「なんで、ラノベコーナーの前に来たんですか?」


 私達は二人並んで、書棚の前にいます。

 目の前にはずらりと並ぶ、有名作家たち。 


 その中の、た行を指差す彼。 

 

「いつか僕はね、『ドラセナ』っていう仮の名前じゃなくて、本名で堂々と活動できるようになりたいんだ」


「……はい」


「このた行に、『高槻紡』の書籍が入るように僕頑張るから」


「……なら私も、いつか……さ行に私の名前が来るように、頑張ります。あなたと一緒に」

 


 ……でも本当は、あなたと一緒の「た行」で、隣並んで……



「詩歩さん。後もう一箇所来て欲しいところがあるんだ」


「はい……」


 本当は、この時手を繋いでしまおうか、悩んでいましたが。まだ私達は付き合っていません。


 ちょっと名残惜しげに、でもすぐに来る告白イベントに備えながら、私達はこの場を後にしました。 



 ◆二人がお互いを認識しあった場所へ。



 私達は電車に揺られて、初めてお互いがお互いをWeb小説家であると認識した場所に向かっています。


  

 後一センチ、ズレたら手が触れる距離感のまま、並んで座ります。


 この時、彼は何も言いませんでした。


 私からも何も言いません。だって、彼は今、覚悟を決めている最中なのですから。


 電車が停止します。扉が開きます。降ります。

 階段を登ります。通路を真っすぐ進み、曲がると改札が見えます。

  タッチ決済を用います。ゲートが私達を通してくれます。


 階段を降ります。

 流石に、『カフェカフェ』の前だとお店に迷惑なので、少し離れた人気のない公園に移動します。


「詩歩さん」

「はい……」


 彼の選ぶ言葉はなんだろう。


 僕と付き合ってください?

 君を抱きしめたときから、僕は君を自分のものにしたかった? とか先に言うのかも。

 

 ……もしかして、卒業したら結婚してくださいとか?!


 どれを選んでも、私の返事は決まっているのもしれません……。

 結婚だけは、ちょっと考えるかな?


 でも私は、今すぐ彼と、付き合いたい。

 なので答えは『はい』に決まっています。


 私は『はい』という準備をして、彼の告白を待ちます。


「……詩歩さん!」

「……はい!」


 彼が私の手を両手で取ります。

 その後私の手を、自身の胸に当てます。

 彼のドクドクという血脈と、心臓が破裂しそうになるくらいの鼓動が私の手を伝います。


 ——大好き……。高槻君——


 

 「詩歩さん!」





 「はい!」

 

 






 

「書籍化したら僕と! 付き合ってください!」







 

「……」


 この告白は、私が想定していたどれでもありません。


 いや……。嬉しいんだけどね……。嬉しいんだけど!


「…………紡君!」

「……なに?! 詩歩さん!? もしかして駄目……とか……?」 


 違うよー! 紡くん!

 違うの! そうじゃないの!


「もー……!」


 そう言って私は彼の胸をポカポカ叩きました。


 だって! それ……!



 

 書籍化出来なかったらどうするつもりなんですか……!?






 

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