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付喪神

付喪神(つくもがみ)


 人間や鬼が永きにわたって「モノ」(1)を大切に使用することで魂が宿り、付喪神と変化する。現在、付喪神は龍造国や遠敷国、大烈華民国といった歴史ある国に多く存在している。

 その姿は多くの場合、人間と同じ姿であるが、「モノ」の愛用者の認識や付喪神本人の趣味などによって多様な姿を取る。そのため、犬のような姿を取るものもいる。


 彼らは人間よりも長命であり、理論上寿命はないが、「モノ」本体が大破(おおよそ全体の70%以上の破損・喪失)する、あるいは人間の記憶から忘却される、必要とされなくなると消滅してしまう。

 付喪神が消滅する際はもとの「モノ」の形に還るが、そのような「モノ」は神が宿っていた器でもあるため丁重に扱う必要があり、多くの国では付喪神の「葬儀」に特殊な手順を設けている。(2)

 付喪神たちは本体となる「モノ」の基本的な知識や関連する知識・技術を体得しており、その知識・技術を以って人間や鬼などに交じって生活することが多い。(3)

 また、「モノ」の愛用者の性格や趣味、あるいは自身につけられた銘や号などが、付喪神の性格や人柄に多大な影響を与えており、愛用者とともに釣りに興じたり、動物に苦手意識を持つなどする。(4)


 付喪神は自身以外の「モノ」の意思や思考を読み取ることが可能である。そのため、中古市場において彼らは仲介役として大変喜ばれるほか、「モノ」の修復を行う業種においても引く手あまたとなっている。(5)


 彼らは「神」の末席であるが、「モノ」の特性、環境や用途などによって神格は下級から上級まで様々であり、過去には上級の「神」に比肩するほどの付喪神も存在したと考えられている。 

 また、付喪神は人間の集団(社会)の中から顕現する神であるため、「個人(道具の主な愛用者)」や「仲間」「協調性(あるいは調和)」を重視する傾向がある。それゆえに相手の身分に関わらず姿を見せることが多い。だがその一方で、認めた相手以外にはいかなる身分であっても、姿を見せないということも多い。また、彼らは基本的に現実世界にいる存在であるため、召喚によって喚び出せず、上位の神格であっても真名を持たないという特徴がある。(神格・真名の詳細は個別記事【神格】(https://ncode.syosetu.com/n0632jg/22/)を参照のこと。)

 彼らは人間と同様に食事・睡眠を取る必要があるが、これは生命維持活動のために行われるものではなく、食事は「モノ」の愛用者やその周囲の人物、付喪神などとのコミュニケーションと、それを通した神格維持を目的とし、睡眠は生命活動によって蓄積した穢れを祓い、神気を回復することを目的に行われている。


 付喪神となる「モノ」に条件はなく、使用者が愛着を持って、長期間使用するすべての「モノ」が付喪神となる可能性がある。そのため極端な話ではあるが、使い捨てカイロなども付喪神となり得る。

 ただし、この「長期間」が、どの程度の期間を指すのかという点は「モノ」によってまちまちである。これは「モノ」によって、一般的に想定される使用期間が異なるため、と考えられている。例えば、人間と文鳥が10年生存した場合、人間であればまだまだ子供であるといえるが、文鳥では非常に高齢といえよう。これと同様にしゃもじと刀剣を10年間使用したとしても、しゃもじであれば付喪神になり得る程度には長期間といえるが、刀剣からみるとやや短期間であるといえる。

 そのため、「長期間使用」に統一的な基準はないが、付喪神に変成したもっとも早期の報告例では300年間の使用で付喪神に変成した刀剣の付喪神がある。

 また、一般には「付喪神にならないモノがある」という認識が広がっているが、実際には付喪神への変成のしやすさというものがある。これは使用者の「モノ」に対する愛着の湧きやすさともいえ、身に着ける「モノ」や使用者の命を守る「モノ」などが付喪神に変成しやすい傾向にある。そのため、「長期使用しても付喪神にならない」のではなく、実際にはすべての「モノ」が付喪神となり得るが、「付喪神に変成しにくいモノがある」というのが正しい理解であるといえる。

 付喪神に変成しにくい「モノ」としては魔法の杖、絵画、無生物を象った彫刻、鉄道関係物品(線路など)などが挙げられる。(6)

 反対に変成しやすい「モノ」は武器(刀剣、鎧、銃など)、ぬいぐるみ、人形、土偶(はにわを含む)、生物を象った彫刻、楽器、ほうき、調理器具(鍋、しゃもじなど)である。


 

 

 かつて専門家の間では、修復を繰り返した「モノ」は付喪神になり得るのか、という問題が取り扱われたことがある。これは、修復を繰り返し、もともとの「モノ」を構成していた素材や部品がすべて交換された場合、同一の「モノ」といえるのか、という命題に沿ったものであるが、近年の研究により、「使用者が同一のモノと認識していればよい」ということが判明した。



 以上、付喪神についての説明であるが、例外や各国・地域による慣習、あるいは「モノ」の種類などによる差異が多く、全て説明すると煩雑になる。そのため、本項目では基本情報としての記述にとどめ、専門家による統一見解や一般的な理解に基づく情報のみ参照している。



註釈

 (1)ここで定義される「モノ」とは物理的に触れることができ、移動させることが可能な人工物全てを指す。そのため、不動産や食品などは含まれない。

 (2)特殊な葬送儀礼文化を持つ国として、遠敷国(https://ncode.syosetu.com/n0632jg/12/)などが有名である。

 (3)例えば鍋の付喪神は料理の知識や火の扱いに長けているため、食堂などで調理補助を行うなど。

 (4)龍造国陸軍の馬切行安(まぎりゆきやす)小隊長(号・馬切)は号の影響により、馬の扱いがやや苦手であると語っており、軍馬の就任記念式典に出席し、コメントを求められた際は「馬からも嫌われております…」とぼやいていた。

 (5)買い取りの際に持ち込み人が、入手経路など虚偽の情報を提供していないか、ということをモノに直接訊ねることが可能であるため。修復業においては、破損部位などの特定が容易であるため。

 (6)これらの「モノ」も付喪神に変成しにくいというだけであり、付喪神に変成しないという訳ではないと考えられており、魔法の杖の付喪神などの例が確認されている。魔法の杖が変成しにくい理由は起源となる文化圏の違いによるものと考えられている。鉄道関係物品の付喪神は現在確認されていない。

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